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怪異・妖怪伝承データベース
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怪異・妖怪とは

あいさつ

 高度成長期以降、急速に私たちの周囲から消え去っていった河童や天狗、鬼、あるいは不思議な能力をもった狐や狸、蛇、猫といった動物たち——昔の人はこれらを「もののけ」とか「化け物」、「変化・魔性の物」などと呼んで恐れていました。その伝承世界は、日本人の心の「ふるさと」の一翼を担ってきたと言っても過言ではないでしょう。このデータベースは、そうした「もののけ」「化け物」等についてのデータベースです。

 このデータベースでは、特に民俗学関係雑誌や江戸時代の随筆類・各県史類に採録されている、この種の存在によって引き起こされたとされる「怪異・妖怪」現象に関する書誌情報を集めています。扱っているデータはすべて文字資料で、絵画資料はまったく扱っていません。
 
 このデータベースのタイトルを「怪異・妖怪伝承データベース」と名付けることになったのは、次のような理由からです。

 ある人がある所で、不思議だ、奇妙だ、と思うような現象に遭遇したとしましょう。その現象は、音だったり、臭いだったり、姿かたちであったり、あるいはその組み合わせであったりです。たとえば、気味の悪い不思議な音がしたとか、生臭い臭いがしてきたとか、グロテスクな姿かたちのものが出現したとき、そうした現象に遭遇した者が、神とか霊といった存在の仕業ではないかと判断したとしましょう。そのとき、私たちはその現象に「怪異・妖怪」現象というラベルを貼ることが可能となります。

 そうした現象のなかには、遭遇者あるいは周囲の人びとの知識に照らして、「河童の仕業だ」とか「それは狐火だ」といった判断(より正確に言えば「名づけ」)ができるような現象もある一方で、判断ができないような現象、すなわち「その形はかくかくしかじかの異様なものであった」としか説明できない現象もあります。じつは民間伝承のなかの「怪異・妖怪」現象には、後者のたぐいがけっこう多いのです。そこで、私たちは、こうした現象をも幅広く拾い上げるために、「怪異」という語を採用することにしたわけです。

 データは、民俗学関係の雑誌と各県史・民俗編及び民俗誌に近い性格をもった随筆類から、体験談もしくは体験談の集積として形成されたと思われる伝承、すなわち「どこそこには妖怪が出る(と伝えられている)」という伝承を拾い集めています。しかしながら、昔話のように、明らかにフィクションと思われる話は除いてあります。昔話のなかの「怪異・妖怪」現象・存在については、このデータべースとは別途に作成する必要があるでしょう。

   このデータベースの作成には、多くの方々のご協力をいただいています。心から感謝いたします。

国際日本文化研究センター
怪異・妖怪伝承データベース作成委員会
委員長 

小松和彦

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