テング 1995年 長野県 三河峠で真っ暗になって困っていたら、白髪の爺さんが現れて肩へ乗るよう言い、言う通りにすると直ちに家に到着していた。それは天狗様だったという。
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シリョウ,タマ 1941年 岐阜県 山の中を歩いているとき、供の者が主人を殺し、死体を竹薮に放ったまま山を下りた。そこへみずぼらしいお坊さんがやってきて、「お前は殺した死骸に取り付いていないと死ぬ」と忠言する。そこで供の者が主人の死体に取り付いていると、朝になると魂が戻ってきて「今日も探し出せんで残念な」と言って死体に入る。夕方また出て行って「今日は地を六尺掘っても探し出す」といい、そのたびに大きな音を立てる。三日目「この位探しても見つからないならあの男は死んだに違いない。これで成仏できる」といって魂は死体に入った。供の男は助かった。
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ジョウブツデキナイヒト,コエ 1976年 愛媛県 筆者の父が、今治の医王山の国鉄のトンネルの土の峠を越えた所の、大きな池のそばを通るとき、池の方からなまぬるい風が吹き「こちらへおいで」と呼ぶ声を聞いた。前に死んだ人が成仏出来ずにいて、つれをつくるという。
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テング 1961年 静岡県 小杉原の三河のお爺は14か15の時、1人で草刈りにいって、いなくなり、村人が総出で鐘太鼓で探した。それから3・4日目の夜にお爺は帰ってきた。彼は天狗に負ぶさって美濃国に連れて行ってもらっていた。その間はおなかが空いても飯の匂がして腹がくちくなった。美濃国はお爺の生国で、始終行きたいと念願していた。
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シンイ,(ヨチ) 1984年 長野県 ある年の夏、木曽山へ登った団体のうち一人がはぐれて行方不明になった。焦った先達が、探し回って木曽にちょうど泊まっていた清海に神意を聞いてもらった。すると不明の方は心配せぬとももう間もなく此処へ来られると予知された。するとその人が到着した。
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キツネ 1973年 三重県 昔、山仕事をしていた男性が、女性の家に柴を運ばせた。遅れて家に帰ると、女性がいない。狐にやられたと思い祈祷師に尋ねると四日市の方にいるという。数日後、男性は四日市に探しに行った。すると宿に巡査が女性を連れてきたという。
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カミカクシ 1978年 山梨県 女の人が行方不明になり、大勢で探したら岩の上に座っていた。3日間座っていたという。その間のことは何も覚えておらず、神様に連れて行かれたのだといわれた。
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(リンシタイケン) 1964年 福島県 話者の祖父が三十三歳の時に死にかけた時の話。おとぎの国のような赤や青の光のするきれいなところを歩いていた。途中何度も名前を呼ばれたので、あちこち隠れながら三途の川を渡った。川幅は広いが浅かった。その向うの死出の山も丘みたいなものだった。向うは一面の平野で花畑、その向こうにすばらしい鉄の門と御殿があって、赤鬼と青鬼が立っていた。通してくれと頼んだら、「お前はここに来るのは早すぎる、帰れ帰れ」と怒られ、金棒を振り下ろされた、と思ったら息を吹き返した。
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ヒダルボウ,オニ 1972年 兵庫県 有馬へ湯治に行く途中、座頭が死んだ。座頭谷を通ると、ひだるぼうが付く。昔、六甲山に鬼がいて、死人は置いて行けと言うので、背に負い、生きているように話しかけながら山を越した。
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テング 1915年 滋賀県 今から4代前の主人が天狗になったという家がある。この人はある日外出したまま帰ってこず、死んだということにしていたが、数日後下女が畑の物置で寝ているのを見つけた。驚いて飛んで帰り家人に知らせたが、再び戻って来て見ればすでにおらず、すぐ側の山を2足で登っていき、行方知れずになった。人は皆天狗になったと言っている。
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キツネ 1938年 長野県 ある人が峠にさしかかったとき、真っ暗になったので困っていると、女が現われ道を教えてくれるというのでついていくと、もうどこともなしに変なところに連れて行かれた。
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テング 1970年 滋賀県 次助集落のある人が、山講の日に中の谷に行ったら天狗につままれて飛ばされ、行方不明になった。探したが見つからず、そのうち帰ってきたが、頭が変になっていた。
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シンメイサマ 1964年 福島県 ばあさんの死後は信心する者がなくなって神棚にあげておいたら、しんめいは歩くのが好きな神なので、隣3軒ぐらいは歩かせねばならないといった。約1年後、富岡町の人が信仰したいからと持っていったが、その人の死後また帰ってきた。その後金房村の人が借りていき、現在は北海道の辺りをまわっているという。
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ユルギイシ,ナナフシギ 1974年 高知県 四国遍路八十八ヶ所の三十八番、土佐の蹉跎寺の寺僧が海岸に望んで「御亀様御亀様」と呼ぶと、大小の亀が多く浮き出てきて、岸下に集まる。これは補陀落山の使者であるという。但し呼ぶと出てくる理由はわからない。
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キツネ 1996年 香川県 当吉さんは山へ行って、きつねに化かされて、いつまでたっても家へ戻って来られなかったことがあった。村の人が行くと、そこに当吉さんがいることがあった。
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(カミカクシ) 1971年 福井県 夜、人がいなくなった。捜して山で見つけて連れ戻したが、その人は夜になると「今行くぞ、今いくぞ」と言っていたという。
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キツネ,(ツキモノ) 1989年 長野県 昔、まだ雪が残っているときに老婆が行方不明になり、探したところ山の岩陰にいたがキツネが乗り移っていて追いつけなかったが、やっと捕まえて帰った。この老婆は座敷に寝ていても、外から自分の家に向かってくる人の名前を言い、またそれが当たっていたという。
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コウボウダイシ,サンココンゴウショ,イヌ 1932年 和歌山県 弘法大師が密教相応の霊地を占うため、唐の明州から三鈷金剛杵を投げた。その後帰朝し各地を巡歴していた折、狩場明神の化身なる猟師に出会い霊地を尋ねると、猟師の連れていた犬が大師を導き、高野山に到達した。山上の老松には唐から投げた三鈷金剛杵がかかっていたので、この地に霊場を開いた。
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トイギキ 1984年 新潟県 可愛がっていた子どもの弔いの時に、棺が「三途の大川」(雨垂れの落ちる所)を越えたときに、生前大事にしていた玩具を入れるのを忘れたと、母親が呼び止めて戻した。四十九日を過ぎてから母親がトイギキに行くと、呼び止められてなかなか三途の川が渡れず、他の人からも遅れてしまって容易に仏の元へ行けない。自分を供養してやろうと思ったら、どうか和尚さんに着物を上げてくれ、と霊媒から告げられた。
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ロウジンステ,ウスヤブ,ユウレイ 1950年 岐阜県 この土地では、以前は60歳以上の老人を山に捨てていた。山に行く途中に薄藪という処があり、ここに捨てられた老人の魂が群がり道行く人にすがったという。この声を聞くと悲しさが増し、何時しか老人を捨てることを止めたという。
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