チイサナコドモ 1974年 岩手県 鍛冶屋には小さな子どもがいたが、家人には見えてもよその者には見えない。客が泊まると夜中に腹や胸がくすぐったくて眠れないという。家がかまどを返す前に顔の赤い小さな子どもが飛んで行き、その後客にいたずらすることもなくなったという。
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ニオウ 1977年 神奈川県 仁王様が夜遊びに出かけ、ある家でお婆さんが糸をつむいでいるのを覗いたところ、そのお婆さんが大きな屁をした。仁王様がおかしくてくすりと笑ったところ、お婆さんが「におうか」と言ったので、仁王様はびっくりして逃げ帰った。
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アカオニ,アオオニ 1997年 宮城県 刀鍛治が百本の刀を献上することになり、刀打ちを始めるにあたって、家内に仕事が終わるまで七日間絶対に鍛冶場に近寄るなと厳命した。ふしぎなことに相槌の音がするので、家内が厳命を破ってのぞいてみると、赤鬼・青鬼が相槌を打ち、主人が真っ赤に焼けた鉄を口に銜えて打っていた。家内が覗いたのを察したか相槌はやみ、鬼の姿は消えた。
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ムジナノタタリ 1984年 新潟県 炭山で仕事をしていて、寝ているムジナに小便をかけてしまい、その祟りで気が狂った男がいたという。
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タヌキ 1942年 不明 昔じさまが染屋をしていた頃、兄が弟に「明日こけとりに行こう」と誘った。その夜兄は幼児ができたので、弟子に「明日はいけない」と言いに行かせた。しかし、翌朝早く「こけとりに行こう」と戸をたたくものがいる。弟子に断りにやらせたのに、これは狸に違いないと思い、ふしの穴から覗いたら、たぬきが外でたたいていたので、ガラッと戸を開けてたぬきの行くほうへ走った。たぬきは大きな桶に入ったので、石を桶の中に放った。三日目に行ってみると大きな狸が死んでいた。
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ムジナ,タヌキ 1976年 新潟県 滝ノ口というところの、左目の悪い爺さんが暮れに津川に買い物に出たのを見て、ムジナが婆さんを騙そうと爺さんに化けて出た。ところが正面から見て化けたので、右目の悪い姿に化けていた。婆さんは化け物だと気づいて、ムジナが囲炉裏で油断してきんたまを炙り出したところに、真っ赤に焼けた鉄瓶の蓋を投げ込んだ。ムジナは逃げていき、山の中で死ぬ思いをして唸っていた。
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ムジナ 1975年 新潟県 爺さんが山へ炭焼きに行き小屋に泊まっていると、夕飯を終え寝ようとしたとき、女が訪れ、とめてくれといって炭火に手をかざした。爺さんが炭火をぶっかけると、女はムジナの正体をあらわして逃げた。
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キツネ 1990年 長野県 野菜を作る畑にシシが出るので、それを追うために小屋を建てて毎晩泊まっていた。あるじい様が小屋で寝ていると、「寝たか」と言ってばあ様が鼻の辺りに手をかざした。不審に思ったじい様が朝にきたばあ様に尋ねても知らないと言うので、きつねが化けて出たのだと短刀を持って寝ていた。するとまたばあ様が来て手をかざしたので、小柄で突いた。すると悲鳴を上げてきつねの姿で飛び出したので、朝に血の跡をつけていくときつねが死んでいた。
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カミサマ,ホトケサマ 1995年 青森県 暗い夜に母屋から便所への土間の途中で古材につまずいて前に倒れ、顔面が古材の釘にささる寸前、体がそり返り元に戻った。そばにいた母は手を合わせて神仏を拝んでいた。
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ヘッピリヨメゴ 1956年 宮城県 屁っぴり娘が年頃になり嫁にいったが、屁をこらえていたので顔色が悪くなった。心配した姑が話を聞いて、「心配せず屁をたれろ」と言ったので、嫁は「炉ぶつにつかまって」と言ったので姑は言うとおりにした。嫁が屁をやらかすと姑は向い山までふっとんだ。腰をさすりながら帰ってきた姑に追い出されて、嫁は実家にも戻れず、街道をずっと歩いていた。途中木綿屋の前で木いっぱいになった梨を落とせなくて困っていた。嫁が全部取ると言うと、木綿屋のおやじが「取れるもんならとってみろ、とれたら反物をうんとやる」という。嫁が屁をやらかすと梨は大風にあったようにすべてもげた。約束どおり反物をいっぱいもらい家に戻ると、姑ガガも喜び、「お前の屁はそんなに役に立つのなら家にいろ」と嫁はまた家に戻れたという。
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ヤマンバ 1962年 徳島県 山姥が化けて鍛冶屋の嫁に行った。夜の内に刀を何本も打たないと山姥に喰われてしまう鍛冶屋は、木に留まっていたにわとりの足に湯をかけて鳴かせた。山姥は朝になったと思って逃げて行った。
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ヒヒ 1960年 福島県 昔鉄砲撃ちの兄弟がいた。兄が山深く入ると、女が苧績みしていたが、兄は化け物と思って鉄砲を撃ったが、女は手で受け止めてしまい兄は食われてしまった。弟も山に入り食われる危険を感じたが、叫び声の後静かになり、朝見ると狒狒が死んでいた。
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テング 1972年 石川県 女土工が朝太股を打って出血した。モンペには異常がないのに、深さ7・8分、長さ5・6寸ほど鋭利な刃物で切られてかのような傷があり、女土工は流血を見て失神した。山中で原因不明の怪我をしたり死んだ場合、天狗の剣にかかるという。
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ボウレイ,ヒノタマ 1966年 愛知県 美しい女がいて、殿様が見惚れて連れて行くと言った。その義兄が弓矢で射られて死に、女は殿様の側女となったが、兄を思慕するあまり狂死した。その後、雨の夜毎に火の玉がさまよう亡霊となって人の目に触れた。
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コエ,ボン 1914年 島根県 盂蘭盆の最後の日の夕方、農家の男が鍬の手を休めて亡き女房のことを思い出していると、人が通っていないのに「あまりに泣くから、囲炉裏の中に突っ込んでおいた」という声が聞こえた。不思議に思い家に帰ってみると、男の子が家の中で焼け死んでいた。盆の間は一家の不和叱言を言ってはいけない。
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クモ,ヤマンバ 1952年 島根県 大工のところに綺麗な女が来る。女房にしたが何日経っても食事をしない。こっそり見ると、頭の中に握り飯を放り込んで食べていた。離縁を告げると別れの風呂に入れと言う。そして風呂桶に閉じ込めて山へ運ぶ。大工は逃げ出して待ち伏せし、追ってきた山姥を焼き殺した。
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キツネ 1915年 愛知県 隣村の某が師走の頃に町へ出て正月用の絹糸を多く買い入れ、夕方田んぼの中を通った所、後ろから子供を背負った女に焚火をしようと声をかけられた。同意して田畔に腰を掛けると、女は杉の葉を抱えてきてマッチで火をつけた。眠気を催してその場で寝てしまい、目が覚めると絹糸が灰になっていた。狐の仕業であるという。
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テングサマノツメ 1988年 富山県 喧嘩の声がうるさかった次の朝、見たら血だらけの天狗様の爪が落ちていた。
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バカシソコネタキツネ 1956年 宮城県 後山に炭焼きの夫婦が住んでいた。夫が晩遅く帰ると、妻が鉤に鍋をかけて炉端にあぐらをかいてうたた寝をしている。「ガガ(妻)はいとこの家に泊ってくるはずだし、行儀が悪いし・・」と疑っていると、「あんた1人で淋しいと思って帰ってきて、小豆飯を炊いていた」と言う。妻はあぐらなどかいたことがなく、小豆飯など神仏にお供えするとき以外炊かないのでいよいよ不審に思い、小豆飯を強く勧められても食べず、今夜は寒いからとますます火を燃やした。そのうちまたうたた寝をしはじめた妻をよく見ると、両腕に毛が生えているので、これは狐だと思い、ますます火を焚くと、尻の方にも口があるようで、その口があくびをした。今だ、とそこめがけて焼火箸を刺そうとしたら正体をあらわして2匹の狐となって逃げた。1匹の狐が肩に脚をかけてもう1匹の狐の股に口がくるようにぶらさがっていたのだ。帰ってきた妻は「小豆御飯ではなくマン糞でも煮てたんだべな、気がついてよかった」と言った。
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ヤマンバ 1999年 静岡県 山姥を何とか退治しようとして、鍛冶屋で働いていた人たちが、小石を焼いてきび団子だといって食べさせた。喉が焼きついた山姥は水を求めたので、用意していた油を注ぎ込んだ。山姥はいっそう苦しみ、川で水を飲もうとして顔を突っ込んでいるところを水中に落とした。
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