カミカクシ,テング 1919年 京都府 西陣辺りの大きな織屋の「少し低能な下男」は時々神隠しにあったり、天狗に憑まれたりする。あるとき突然二三日いなくなったので尋ねると、天狗に連れられて安芸の宮島へ参詣したと話した。詳しく問いただしても返答が事実にぴったり合っていたという。
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テングノキタオシ,タイボクニオノヲアテルオト,キノタオレルオト 1982年 新潟県 木挽の三吉という人が、夜なかに台島から藤沢へ帰るとき、山中で大木に斧をあてる音が、カーン、カーン、カーンとだんだん大きくなって聞こえてきた。やがて、メリメリ、ドーンと木の倒れる音がした。不気味だったので、そのほうへ行ってみたが、木などは倒れていなかった。昔から天狗の木倒しといっていた。
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デング 1957年 和歌山県 天狗に連れて行かれた徳蔵は、天狗に呼ばれて1時間もすると東京の方まで行ってきたという。
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キツネ 1926年 福島県 又吉という百姓が狐に石を投げたところ、狐の足に当たった家に帰ると熱病を病み、たわごとを言った。狐に憑かれたのだった。7日後に元に戻った。
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テングサマ 1996年 石川県 天狗様に山の中を歩き回らされたうえに金縛りをかけられ、神社の門に磔の様にくっつけられた人がいた。
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テング,テングトビキリノマジュツ 1932年 奈良県 この村に他惣治という男がおり、ある夜天狗にさらわれて天狗飛切の魔術を修行した。それ以来他惣治は空を飛んで奈良へ行ったり、隠れ蓑を使って伊賀上野へ行き買い物をしてきては村人を驚かせた。また、他惣治の娘は雀の子を笊に2杯半も産み落とした。他惣治は3年後に行方をくらませた。
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カミカクシ,テング,トブコ 1926年 静岡県 男の子が天狗にさらわれた。町内の人々が探したが、10日目に戻ってきた。その後も度々連れて行かれた。
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テング 1970年 滋賀県 次助集落のある人が、山講の日に中の谷に行ったら天狗につままれて飛ばされ、行方不明になった。探したが見つからず、そのうち帰ってきたが、頭が変になっていた。
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テング 1972年 石川県 天狗にさらわれて33年目に帰ってきた男がいる。その男が一番忙しかったのが、天狗に飛騨の高山の町を焼けと命じられたときだった。粗末に扱われた穢れた火を火種にして高山の町を焼いたのだという。
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テング 1932年 高知県 この村にいた久六という男が、ある時天狗に攫われて虚空高く舞い上がってしまった。村人が騒ぐ内に、天狗は見えないが久六の体だけが前の山の松の梢をすれすれに飛び去って行くのが見えた。翌日村人が探してみると、3里ほど隔てた岡豊村の瀧戸という所の巌に、久六の皮が張りつけてあった。
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キツネ 1956年 宮城県 明治の中頃,北郷の者が大河原で魚を買い,酔って帰ってきたところ,洞門附近の杉山で身の丈一丈六尺以上もあるような大男に襲われて背後から羽交締めにされた。しかし男は柔術の心得があったのでこれを投げ飛ばし,麓の茶屋まで駆け下りて事の顛末を話した。茶屋の老爺から何か生臭物を持っていなかったかと聞かれて調べると,魚を包んで首に結んでいたはずの大風呂敷が無くなっていた。背負い投げで飛ばしたのは自分の大事な包で,狐に一杯くわされたのである。
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テング 1933年 長野県 森林を刈りに行った人の中に、3人も4人も天狗にさらわれた者がいた。そのたびに村中の大騒ぎになり、探しても3‐5日は見つからなかった。そのうち抜けたような顔つきをして帰ってきた。
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テング 1931年 兵庫県 博奕打が負けて帰る途中の峠で独り言を言っていると天狗が来て、さいと羽扇を交換した。天狗は博奕の稽古をしていたところを村人に見つかり、逃げようとしたが扇がないので逃げることができず、とうとう捕らえられてしまった。
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テング 1988年 富山県 昔は天狗さんにだまされて山を越えて山を歩くことがあった。本人は全然わからない。
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テングサマ 1936年 石川県 天狗が山を足場にして村々を遊び回った。天狗の爪がかかったため山は禿山になった。
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テング 1932年 山口県 東郷峠を夜半に越えていて苔むしたところへ来ると気が遠くなり、木がつくと下の田に落ちていた。天狗に投げられたのだと言う。
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ヒメテング,テングサマ 1983年 東京都 おじいさんが山鳥を捕まえようとすると逃げる。また捕まえようとするとまた逃げる。1時間ほど追い回したが逃げられた。姫天狗にだまされたということであった。他に、橋を2本にしたり、馬方に石をぶつけたりといたずらをした。
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テング 1932年 熊本県 肥後の龍峯山の天狗に隠れ蓑と隠れ笠を借りた彦一は町で飲み食いして返さなかった。天狗は怒って彦一が嫌いといった金と餅を彦一の家に投げ付けた。彦一が大喜びで天狗が嫌いと言ったフルイをかぶって出て行くと、天狗は二度と現われなかった。
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テング 1928年 愛知県 山へ草を刈りにいった帰り道、馬の背につんだ荷の縄が何度直してもすぐに解けてしまい、長い時間かかってやっと村に帰ることができた。天狗の悪戯ではないかということになった。
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マンキチコロバシ 1956年 宮城県 明治の初め頃,烏頭ヶ浜部落に万吉という酒好きの若者がいて,七曲りを通るたびに狐に騙されて谷や沢をひきまわされ,土産の魚を攫われたりしていた。口惜しがった万吉は復讐を決心する。お薬師様の宵祭りの晩に酒に酔ったふりをして七曲りを通ると果たして男の姿をした狐が出てきたので,万吉は男を縁日の掛茶屋の奥に誘って酒や肴をたらふく馳走した。二人でグウグウ寝ていたが,万吉は相手が寝込んだ頃そっと起きだして茶屋の主人に「代金はあの男から貰うように」といって立ち去った。翌朝狐の正体が見顕されて大騒ぎとなり,棒で散々叩かれて命からがら逃げ出してきた。万吉は大得意であったが,二,三日後七曲りの崖下で万吉の墜落死体が発見された。以後そこを「万吉ころばし」と呼んでいる。
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