ムジナ 1930年 長野県 往診の帰りの晩に人気のない道をあるいていると、男の子が一緒につれていってくれと言ってついてきて、かんのんさまの辺りでいなくなった。次の朝きた患者が、ゆうべむじなをとって食ったと言う。昨夜の男の子はむじなだったらしい。
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ムジナ 1972年 千葉県 ある秋の夕暮れ、おやじさん2人の帰りが遅かった。途中で若いおっかさんに会い、むすびをもらって食べたと言う。そのままぼうっとしてしまい、家の玄関につっ立っていた。後日、その場所で大きなムジナが捕まった。そのムジナが化かしたので、おやじさんは馬糞を食べさせられたのだろう。
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ヘッピリヨメゴ 1956年 宮城県 屁っぴり娘が年頃になり嫁にいったが、屁をこらえていたので顔色が悪くなった。心配した姑が話を聞いて、「心配せず屁をたれろ」と言ったので、嫁は「炉ぶつにつかまって」と言ったので姑は言うとおりにした。嫁が屁をやらかすと姑は向い山までふっとんだ。腰をさすりながら帰ってきた姑に追い出されて、嫁は実家にも戻れず、街道をずっと歩いていた。途中木綿屋の前で木いっぱいになった梨を落とせなくて困っていた。嫁が全部取ると言うと、木綿屋のおやじが「取れるもんならとってみろ、とれたら反物をうんとやる」という。嫁が屁をやらかすと梨は大風にあったようにすべてもげた。約束どおり反物をいっぱいもらい家に戻ると、姑ガガも喜び、「お前の屁はそんなに役に立つのなら家にいろ」と嫁はまた家に戻れたという。
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オヨメサン,キツネ 1938年 長野県 夜遅い帰り道、持っていた提灯が突然消えて、月夜のように明るくなり、向のほうに美しいお嫁さんが歩いていくのが見えた。気味が悪いのでたばこを吸うと、そこは川の中だった。家へ帰るとみやげのごちそうがなくなっていた。
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オニトムスメ 1956年 宮城県 2人の姉妹が、天気の良い日に栗拾いに山の奥まで行った。そのうち夜になって道に迷い困っていると、柴を抱えた同じ年頃の娘が来たので、その娘の家に泊めてもらった。そこは山の崖下にある粗末な掘っ立て小屋だったが、「自分は鬼にさらわれてここにいる。鬼が来たらどんな目にあうかわからないから、長持に隠れていろ」と娘が言う。鬼が帰って「人くせえ」というが娘がなんとかごまかし、鬼は「誰か来たら逃がすな」と言い残して去る。逃げる機会をさぐっていた娘も一緒に、一鞭あてると千里走る車を奪って逃げる。帰ってきた鬼は残っていたもう一つの車に乗って追いかける。海まで来て鬼は一息に海の水を飲み、娘たちの車が鬼の目の前に来たとき、娘たちはしかたがなくなって、3人で腰巻も何もかもひきあげて尻を丸出しにしてぴたぴたと叩いた。すると鬼が大笑いし、その拍子に水は鬼の口から出て、娘たちの車は無事に対岸へ着いたという。
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タヌキ 1972年 千葉県 ある秋の夕暮れ、奉公人2人が戻ってこなくなった。帰ってきたので聞くと、途中のお宮の近くで女に会い、むすびをもらって食べたと言う。後日、狩をする人がお宮のそばで大きな狸を捕まえた。その狸が化かしたのだろう。
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キツネ 1981年 神奈川県 きれいな娘に狐が憑いて、油揚を手で食べたり、行燈の油をなめたりした。家の者が気付いて、娘を道の四ツ角へ連れて行き、「狐出てけ」とさんざんなぐったら娘の体から出ていった。
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キツネ 1993年 岩手県 話者の祖父が山へキノコ取りに行って道に迷い、割烹着を着て手拭をかぶった女の人を見た。不思議だなと思ったが、道を聞こうと近づいたとき、きつねだ、と気がついた。祖父は迷いながらも帰ってきた。
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ミソチョウジャ 1928年 兵庫県 貧しい夫婦のところに、痩せ細ったみずぼらしい旅の坊さんが一夜の宿を求めてきた。夫婦は食事すら差し上げることができないからと断ったが、坊さんがそれでもいいと言ったので、夫婦は快く泊めてあげた。翌日、坊さんは家を去るときに何かを念じながら庭にあった古い瓶の周りを廻った。瓶の中には味噌が入っており、それはいくら使ってもなくならなかった。夫婦はそれを売って味噌長者と呼ばれるほど富裕な暮らしができるようになった。
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タヌキ 1990年 香川県 昔、夜中の3時頃ばくちを打っての帰り道で菅生橋にさしかかったとき、てぬぐいで姉さんかぶりをした娘さんに出会った。声をかけても返事がない。ふりむくと娘の姿はなく、青い目が光っていた。村の人に話すと狸の仕業だと言った。
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アカイクチノオンナ,ヒノタマ 1984年 長野県 夜歩いていると女が道を尋ねてきた。去り際に振返って見ると、女は赤い口で耳まで裂けていた。恐ろしくなって逃げると、途中で僧侶に会った。僧侶に女の話をして、ふと僧侶の顔を見ると同じように赤い口が裂けていた。
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サンニンノシマイ,ハッキョウジョウタイ 1975年 高知県 年頃の3人の姉妹が、山へたきぎ取りに出かけたが、夕方帰って来たときには3人とも発狂状態で、わけのわからぬことをしゃべり笑い転げたりするだけであった。
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キツネ 1972年 千葉県 サナブリのとき、お爺さんと近所の若い人が夕方歩いていて、ニイザカという山道で休んでいた。すると若い女が提灯を下げ、重箱を持ってやってきて、砂糖餅をあげるという。食べたら出来立てでほかほかとおいしかったが、翌朝見ると、歯に馬糞がたくさんついていた。狐の仕業。
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レイ 1985年 愛媛県 ある秋の夜国道56号線を走っていると、道端に犬を連れた娘が立っていた。「一緒に乗せてください」と言うので乗せて、「よろしいです」という所で降ろした。後をつけると灯の点った一軒家に玄関を開けずに入って行った。その家では嫁に行った娘が亡くなったという知らせを受けた所であった。
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コドモノナキゴエ,チョウチン 1985年 和歌山県 夏のある晩夜道を一人で歩いていると、向こうから子供の泣き声が聞こえてきた。ちょうちんを灯して誰かやって来るようだったので立ち止まって待っていた。しかし誰も来ず、歩き出すとまた泣き声がした。そのときは煙草をのみながらやっと家までたどり着いた。
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ダイジャ 1936年 新潟県 女達が歩いていると、途中の堤で若い衆が行く手を遮った。急いでいるというと、若い衆は女の腰にかけた手ぬぐいを貸せと言った。帰りには同じ所に牛が寝ていた。これは若い衆に化けていた大蛇が待っている間に眠ってしまい、牛になったのだろう。
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イッスングライノニンゲン,テ 1935年 岐阜県 その昔、秋の末の雨の降る晩に両親が留守の時、娘が食べた木の実の種を囲炉裏に捨てうたた寝した。気がつくと1寸程の人間が行列をなし声を上げていた。それが囲炉裏から何かを出そうとしているので気味悪くなり灰の中に払い落とした。
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キツネ 1983年 東京都 油揚げを背負って歩いていると、目に見えない何かがあとになり先になりする。あまりにこわいので途中の家に泊まって、迎えの2人と合流し、それでやっと安心して帰ってきた。キツネらしい。
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キツネ 1983年 東京都 女郎屋だか芸者屋だかに遊びに行った帰りに森を通ると、きれいな女の人がでてきて「一緒になりましょう」と言うので一緒になった。出来た子供は油揚げばかり食べるという話であった。
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テン,ウツクシイムスメ 1941年 新潟県 客が寺に泊まっていると、若い娘が何か用はないかと尋ねた。水を一杯貰って飲むと、娘の後をついていっているつもりが、いつのまにか蜘蛛の巣を被って物置の隅をうろうろしていた。これは寺の貂の仕業だろう。
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