オニ 1966年 新潟県 昔、ある男が飯を食わない嬶を欲しがったので、鬼が来て嬶になった。様子をそっと覗くと嬶は釜で飯を炊き、頭を開けて食っていた。男が覗いているのを見つけた嬶は蒲団を入れる箱に男を入れ、担いで山に走った。箱の底が抜け、男は菖蒲畑に隠れて助かった。以来、五月節供の5月6日には、菖蒲が流れるように雨が降ったほうがよいという。
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メシヲクワンカカ,(クワズニョウボウ),(マシン) 2000年 高知県 欲の深い男が飯を食わない女を嫁にもらう。不思議に思って藁の中に隠れて様子を見ていると、昼に大量の飯を炊いて、頭にある大きな口から飯を食べていた。その晩、男が風呂に入っていると、嫁は風呂桶ごとかついで山奥へ入っていった。男は木をつかんで風呂桶から出たが、魔神はクモに化けて歳の晩にやってくると言っていた。それを聞いていたので、火を焚いて待ち、自在から降りてきたクモを火にくべた。
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ヤマンバ 1965年 岩手県 けちな男が飯を食わない女を女房にしたくて、口のない女房をもらった。飯が減るので不思議に思って隠れて見ていると、女房は髪を掻き分けて頭の口に飯を入れていた。頭に口のある山婆だった。山婆は男を追いかけてきたが、男が蓬と菖蒲に隠れたので、見つけられなかった。以来、五月には菖蒲と蓬で屋根を葺く。
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ムジナ 1975年 新潟県 爺さんが山へ炭焼きに行き小屋に泊まっていると、夕飯を終え寝ようとしたとき、女が訪れ、とめてくれといって炭火に手をかざした。爺さんが炭火をぶっかけると、女はムジナの正体をあらわして逃げた。
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クワズニョウボウ 1962年 徳島県 嫁に来た女がご飯を食べないのを不思議に思った夫が夜中に隠れて見ていると、女は頭の中に飯を入れていた。女は見られているのに気付くともえばしを投げつけた。女は男が風呂に入ると風呂を頭に載せて山奥に向かった。途中男は木につかまって逃れたが女は気付かずに仲間の元に行った。獲物を見せようとしたら男がいないのに気付いた。
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バカシソコネタキツネ 1956年 宮城県 後山に炭焼きの夫婦が住んでいた。夫が晩遅く帰ると、妻が鉤に鍋をかけて炉端にあぐらをかいてうたた寝をしている。「ガガ(妻)はいとこの家に泊ってくるはずだし、行儀が悪いし・・」と疑っていると、「あんた1人で淋しいと思って帰ってきて、小豆飯を炊いていた」と言う。妻はあぐらなどかいたことがなく、小豆飯など神仏にお供えするとき以外炊かないのでいよいよ不審に思い、小豆飯を強く勧められても食べず、今夜は寒いからとますます火を燃やした。そのうちまたうたた寝をしはじめた妻をよく見ると、両腕に毛が生えているので、これは狐だと思い、ますます火を焚くと、尻の方にも口があるようで、その口があくびをした。今だ、とそこめがけて焼火箸を刺そうとしたら正体をあらわして2匹の狐となって逃げた。1匹の狐が肩に脚をかけてもう1匹の狐の股に口がくるようにぶらさがっていたのだ。帰ってきた妻は「小豆御飯ではなくマン糞でも煮てたんだべな、気がついてよかった」と言った。
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ヤマンバノムスメ 1988年 静岡県 嫁がちっともご飯を食べないのを不思議に思った夫が密かに観察すると、嫁はこわ飯をふかしてにぎり飯にし、頭の真ん中にある口から投げ入れるように食べていた。夫が風呂に入ると、嫁は風呂にふたをして頭に載せて山へ向かった。途中でふたが外れ、夫はひいらぎの木にひっかかったすきに逃げた。嫁は山姥の娘だったという。
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クチノナイヨメゴ 1956年 宮城県 ある寺に慾深かな和尚様がいて、嫁ごがほしいが、おまんまを食べない嫁ごがよいので、口のないのが一番だと、あちこち探してやっと見つけて大喜びしていた。しかし毎朝毎朝おまんまをたくさん焚くので、和尚は不思議がって、ある時どこかへ行くふりをして庭の角のコガの中に隠れて見ていた。嫁ごは誰もいないと思って、ビンコを解き、中ずりのとこの大きな口におまんまをどんどん詰めていたので、和尚は「おっかねえ!」と叫んだ。嫁は和尚の入っているコガをかついでどんどん走り、途中で和尚を食べようと、草の中にコガを落とすと、コガは堀の中に転がって落ちた。嫁はまた追っかけたが、大きらいな菖蒲と蓬が岸から中までいっぱい生えていたのでそこに行くことが出来なかった。だから五月の節句に鬼が来ないように、菖蒲と蓬を挿し、お湯にも菖蒲と蓬を入れるのだという。
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ヘビ 1977年 福島県 ある男が飯を食わない嫁をもらったが、その正体は大蛇だった。大蛇は後に美しい男の姿でその家の娘のところに婿に来た。娘はそっと着物に糸のついた針を刺しておいた。それを辿っていくと、沢に大蛇の親子がいた。子は「子どもが産まれる」と言ったが、親は「人間は五月節句に菖蒲湯にはいるから、子は流れる」と言った。大蛇は死んでしまった。
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クハズニョウボウ 1931年 岩手県 昔、男が物を食べない女を女房にした。里へ節句礼に行くとき、女は大量の食料と男を担いで山奥へ入っていた。怖くなって逃げ出すと鬼の騒ぐ声が聞えた。菖蒲と蓬の茂みに隠れて助かった。別伝では、女は山姥であったという話になっている。
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クワズニョウボウ,クモ,ヨモギ,ショウブ 2001年 青森県 物のなかった時代に、物を食べない嫁が欲しいと言っていたところ、本当にそのような嫁が来た。しかし、食べずとも働くのでおかしいと思って夜に起きて見ていたところ、大きな釜でご飯を炊いて、クモのように頭にある口からそれを食べていた。見られてしまった嫁が追ってきたのでヨモギと菖蒲が沢山育っている湿地に隠れたところ、嫁はそこに入ってくることが出来なかった。
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ムジナ 1978年 石川県 長太という木挽きが山に行くと、ムジナが化けて出てきて「相撲をしよう」と持ちかけた。長太は粥を食べるふりをしてムジナをヨキで殴った。長太は浜へ逃げ出し、そこで嫁をもらい3年経つと、嫁が「夫のかたき」と言い出した。長太は「今殺したら子がお前を殺す、代わりにお前の夫を成仏できるようにしてやる」と言ったという。
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ダイジャ 1963年 山梨県 けちな親子が息子の嫁に「飯の嫌いな子」をもらいたがる。ある日息子が山で泣いている女に出会う。「誰かに嫁にもらいたい」と女は言い、息子が「飯が好きか」と尋ねると、女は「飯ほど嫌いなものはない」と答えるので嫁にした。息子の留守中に女は大釜で飯を炊いて一気に食い、押入れに入って「人くさい」という。息子はただものではないと思い、「山へかえれ」というと、女は「帰るが飯を籠一杯に持っていく」という。籠を背負って山へ行くが籠がだんだん軽くなるので振り向くと女の着物を引っかけた大蛇がいた。
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クモ 1941年 愛媛県 ある人が飯を食べない嫁を探していたら、ある女性は自分がそうであるといい、嫁になったが、食べていないのに米の量が減る。不思議に思った夫が夜中妻の行動を観察すると、妻は米を炊いて頭の中の穴に入れているところを見た。後日、夫は妻を追い出そうとしたら彼女に騙されて捕まえられたが、上手く逃げ出した。そして、妻が蜘蛛に化けて復習しに来るという話を聞き、さらにその蜘蛛の弱点まで知りえたので、やってきた時に無事に退治できたという。
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キツネ 1978年 岐阜県 欲深な男が、飯を食わない嫁が欲しいと言ったら、その通りの嫁が来た。嫁の正体は狐で、男の留守に沢山の食物を食べていた。気づかれたと感づいた狐は、男が風呂に入ったとき、風呂桶ごと担いで山へ連れて行った。男は風呂桶から逃げ出して帰ってきた。
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クワズニョウボウ 1976年 長崎県 昔強欲な男が飯を食わない女房を貰った。ある時隠れて嫁を見ていると大量の米などを食べていた。男は見つかり樽に入れられ山に連れて行かれそうになった。途中で葉につかまりその葉に隠れていたので助かった。
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ヤマウバ 1984年 岐阜県 雪の夕暮れ、50歳くらいの大食いで力持ちの女がやってきて滞在する。女は仕事を手伝ったがいくら苧績をしてもまったく苧環が大きくならない上に大食いなので家人はこれを疎んで茶碗の中が空洞になるように飯をよそってやっていた。春が来て女は「ひんぬりごきにごちそうさま」と飯の盛り付け方に皮肉をいって笹の葉にくるんだ薬を置いて出て行った。女の残した小さい苧環は紡いでみるといくら繰っても繰り切れなかった。繰っているうちに放置していた赤ん坊が泣き死んでしまったが、この薬を与えると生き返ったという。女は猪ノ洞谷の一の滝近くの岩穴に住む山姥だろうと言われた。
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クワズニョウボウ,クモ 1981年 鳥取県 欲深い男が物を食べない嫁をもらった。しかし屋根裏で見ていると、髪をほどいて頭の中に大量の飯を入れているのを見てしまう。男が嫁に帰るよう言うと、嫁は男をだまして俵のなかに閉じ込め、山のおくの蜘蛛の子供たちに食べさせようとする。しかし男は途中で逃げ出し難をのがれた。
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キツネ 1974年 山梨県 ある男がキツネに憑かれて、毎日釣りに出かけるが岩の上で寝ているだけで1匹も釣らずに帰ってくるようになり、お稲荷様のお赤飯やアブラアゲがなくなるようになった。男に何が食いたいか聞くと「お赤飯、油揚げ」と言い、戌年の人を嫌うようになったので犬をけしかけたら布団に潜って隠れた。「祠を建てて赤飯に油揚げを供えてくれたらそこにいく」というのでそうしてやったら、腕が膨れてコクンと音がして憑き物は落ち、おとなしくなった。
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メシクワヌニョウボウ 1948年 新潟県 桶屋が飯を食わない嫁がほしいと言うと、その通りの女が嫁にしてくれとやってきた。その女を女房にしたが、隠れて一俵飯を頭の後ろの口からぺろりと平らげていた。桶屋は女房を追い出そうとしたが桶に捕まってしまった。男は途中で抜け出したが、大桶のなかに瓢箪と飯粒の中に針を通したものを仕掛けておいた。女は蛇で、もって帰ってきたものを子蛇に食わせ、自分も食べたが、針が仕掛けてあったので死んだ。
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