ロウバニバケタオオガマ 1956年 宮城県 昔,名木沢の谷川の土橋の辺に一軒のあばら屋があった。夜になると行灯のもとで一人の老婆が糸を紡いでおり,魔性のものに違いないという評判であった。鉄砲の名人紋兵衛が,ある夜銃を携えて様子を見に行った。土橋の辺まで行ったが,振り向いてニタッと笑った老婆の顔が物凄い。紋兵衛は老婆の胸元目掛けて銃を撃ち放したが,行灯の光が消えただけで何の手応えもなく,真っ暗になったので逃げ帰ってきた。翌晩も行ってみると,やはり同じように老婆が糸を紡いでいた。故老に相談したところ,それは魔性のものに違いなく,行灯の灯を狙えば射止めることができると教えてくれた。そこで三日目の夜,老婆が振り向いた瞬間に行灯の光を狙って撃つと,ギャッという異様な叫びとガラガラという音がして辺りが真っ暗闇になった。翌朝行ってみると,それは三尺余の醜い大蝦蟇であった。
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チカラモチノオンナ,オオグモ 1965年 高知県 漁師(※原文ママ。あるいは猟師か?)が道を歩いていると、力持ちの女が出て来て脅した。漁師が鉄砲で女を撃つと、正体は大蜘蛛だった。
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キツネ 1933年 長野県 ある侍がまだ夜のうちに猟に出かけた。すると美しい女が現れた。狐の仕業だと思い鉄砲で撃つと、女は銃弾を手のひらの上で転がした。侍は夢中で逃げて家に帰った。
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アンドン 1956年 宮城県 太郎山の麓にいた二人の兄弟が山に行くと、白髪の老婆が行燈のそばで麻績みをしていた。この老婆を化け物だと思い、何度も鉄砲を撃ったが死なず、弟が家に玉を取りに行って戻ると、兄はすでに食われていた。弟が老婆ではなく行燈を撃つと化け物はいなくなった。狸が化けていたのだという。
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ババ,タヌキ 1941年 秋田県 ある狩人が山路に迷って、婆の家に泊めてもらうが、その家では夜中に人を喰っていた。狩人が鉄砲で婆を撃つと、大きな古狸の正体を現して死んでいた。
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オンナ 1913年 岩手県 ある猟師が、女を鉄砲で撃ち殺そうとしたら、手足がしびれて声が出なくなり、そのまま女はにたにた笑いながら行き過ぎてしまった。この猟師はあとで病気になった。この女を見た者は、病気になるか、死んでしまう。
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イトトリウバ 1975年 山形県 村の東山に毎晩火がともり糸車をとっている老婆の姿が見える。老婆めがけて鉄砲を撃ったが効果はなく、火をねらって撃つと止んだ。火のあった辺りには大判小判が散らばっていた。大判小判が世に出たかったためか、狸が集めた金を見せるためだともいう。
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ドウサイ 1936年 岐阜県 山小屋へ毎晩美しい女が来て糸車で木綿糸を引いた。女が怪しいので木こりは猟師に頼んで撃って貰った。何度撃っても当らないので行灯を撃ったところ、翌朝どうさいの目に弾が当り死んでいた。それは3尺程の大きさだった。
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キツネ 1975年 福島県 ある家の婆様が狐に憑かれていなくなった。爺様が山に向けて鉄砲を撃ったら叫び声が聞こえたのでそちらを探すと、竹やぶに婆様が倒れていた。裸足で、服はボロボロになっていた。
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タヌキ 1969年 三重県 鉄砲名人のじょもんが化物退治に出て、行灯の火で機を織る女の化物の行灯を撃って退治した。狸が目玉を行灯にして化けていた。
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バンバ 1965年 山形県 暗くなって大風が吹き、生暖かい風が吹いてきて山鳴りがした。ひとつまなぐが現れ、鉄砲で撃つと提灯の明かりのようなものがぶらさがり、白髪の婆んばが糸車をくるんくるんと廻していたのでこれも撃った。血の跡を辿った先の穴に火を付けると煙は虻になった。
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ヤキネズミ,キツネ,ロウジン 1964年 福島県 鉄砲打ちの古老が焼いたねずみを木の枝につるし、あらかじめねらいを定めて銃を構えておいてきつねをとった。ある夜、見知らぬ老人がやってきて、そんなせっしょうをするものではないと説教して帰ったが、かれはいうことを聞かず打ち続けた。鉄砲打ちの家は零落し、しあわせなことがなかった。
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オニ 1963年 徳島県 昔ある所に仲の良い夫婦がいたが、女房が魚と大量の飯を食うので怪しんだ夫が、隣に住む神主に偵察させると、女房の正体は頭の割れる鬼であった。正体を知られた鬼は男達を食い殺そうと追いかけたが、生えていた蓬と菖蒲で殴られると倒れてしまった。
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ダイジャ 1965年 高知県 鉄砲の達人の「せっしゅのおかね」が、夫が山に行って帰らないので、お守りと鉄砲をもって探しに行った。鹿の皮の中の笛を吹いて獲物を呼ぶと、ブスブスと音が近づいてきた。この正体は大蛇に違いないと待ち構えると、火の玉が二つ近づいてくる。鉄砲を撃って木に登ると、火の玉は大蛇の両眼で、おかねは生臭い匂いをかいで眠たくなった。お守りの力で目覚めると、大蛇は隣の木に登っておかねを飲み込もうとしているところだった。鉄砲で撃ち殺して腹を割ると、夫がいた。
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バケネコ 1956年 宮城県 明治初年頃,山地の部落の老マタギ源左衛門が翌日の猟の準備をしている時,トラ猫が炉辺でその様子を見ていた。翌日猟に出かけ,夜が迫ってきたので急ぎ足で下りてくると,見慣れない一軒家にたどり着いた。離れた所から窺っていると,老婆が恐ろしい顔でこちらを見た。化生の物と思って銃で撃つと,手応えがあったのに老婆は平気な様子であった。源左衛門が弾丸を全て撃ち込んでしまうと,老婆が「もう弾丸はあるまい」と言う。源爺は腹掛けに秘蔵していた命弾をそっと取り出し,今度は行燈目掛けて撃ち込んだ。すると悲鳴が上がって灯も小屋も一瞬に消えてしまった。源左衛門が翌朝未明に現場に行ってみると,骸は人間の老婆の姿をしている。しかし,やがて朝日と共に大猫が正体を現した。よく見ると我家の古猫らしい。果たしてトラ猫は昨夕から見えないということであった。
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タヌキ 1976年 新潟県 鉄砲撃ちから狸を買って吊るしておいたところ、死んでいた狸が生き返って眼を剥いて唸った。鉄砲撃ちに聞いたら、「この家に妊婦がいるだろう。身持ちの女がいるところに行くと、死んだ狸は生き返る」といわれた。実際、その家には身重の嫁がいた。
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ヒヒ 1960年 福島県 昔鉄砲撃ちの兄弟がいた。兄が山深く入ると、女が苧績みしていたが、兄は化け物と思って鉄砲を撃ったが、女は手で受け止めてしまい兄は食われてしまった。弟も山に入り食われる危険を感じたが、叫び声の後静かになり、朝見ると狒狒が死んでいた。
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オオニュウドウ,ヤマノカミ 1964年 福島県 ならの枯れ木のところに何メートルともしれない大入道が立っていた。鉄砲で撃つと、1発は手ごたえがなく、2発目からはから引きに終わった。法印に見てもらうと、山の神に魅せられたのだといわれた。
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ダイジャ,マショウ 1991年 香川県 高清左衛門が20間余りもある大蛇を鉄砲で撃った。大蛇の逃げた先にいた老婆を大蛇の化身と考えた彼は、老婆を撃ち殺した。彼が老婆の家の家人や近所のものに殺されてしまうと、老婆に化けた魔性は正体を現した。
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ダイジャ 1973年 岩手県 鉄砲撃ちが山に行って大蛇に遭い、目を撃った。蛇にやられる前に下山しようとしたが、晴天かき曇り大雨になった。山中に家を見つけて休んでいたら、先に撃った蛇が水に乗って流れてきて、体を横にして水を溜めて大水を出し、家ごと鉄砲撃ちを流してしまった。蛇は何代も仕返ししてやると言い、その子孫は祟りで眼の不自由な人が多い。
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