フルムジナ 1934年 兵庫県 昔は人身御供があった。霜月の初めに、美しい娘の家に怪しい装束が立てられる。その娘を潔斎させ、白木の箱に入れ、川を渡って岩の上に置かなくてはならない。御供になった長者の娘を愛犬が追い、山中で激しく格闘した。翌日愛犬と狢が死んでおり、娘は無事だった。
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オニオドリ,フルダヌキ 1916年 静岡県 昔、毎年祭りの夜に1人の処女を人身御供として白木の櫃に入れて神前に供えた。供えた娘は神の生贄になって帰ってこなかった。ある時、訪れた六部が怪物の仕業だろうと怪しみ、白木の櫃の中に犬を入れて供えた。果たして、古狸の仕業であり、古狸は犬に噛み殺されてしまったという。
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イシ 1923年 岩手県 荒神神社に小牛くらいの大きさの黒い円石がある。娘がこの石に腰掛けると石に密着して離れなくなった。石の言うとおり、山に上げて神として祭った。娘は巫女になった。
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イタチ 1966年 山形県 部落では弥彦さまに人年貢として年頃の娘を捧げなくてはならなかった。一人娘を捧げることになった家の者が旅の侍に相談した。侍が娘の代わりになって待ち伏せると、神様ではなく化物が現れ、侍が切って退治した。人々が神様と信じていたのは実は鼬の化物だった。
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サルカミ 2000年 昔々、白羽の矢が立てられた家が娘を献上することになったが、山伏がたすけてくれることになった。丑三つ時に神社の神様の後ろから化け物が現れた。娘の入った唐櫃の周りを踊りまわり、蓋を開けようとしたとき、山伏が連れてきた犬が放たれ、化け物をかみ殺した。夜が明けて化け物を見ると、年をとった猿であった。
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ダイジャ 1933年 大阪府 毎年、人身御供として処女を氏神に供えていた地域があった。氏神社の神職が、絡み付いてくる小さな白蛇を斬り捨てたところ、近くの清浄な池が血の池と化し、水面に大蛇の死骸が浮かび上がった。以来、人身御供の風習は廃れ、神饌のみが行われるようになった。
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タヌキ 1928年 山形県 祭りのときに、金持ちの娘を人身御供に上げる村があった。あるとき六部がこの村の社に入ると、6尺もある大入道が「丹波の国の和犬(メツケイヌ)に、ちっともこの事知らせるな」と言った後に生贄を食べるところを見た。六部は丹波の国から白い犬を連れてきて大入道にけしかけた。大入道との戦いで犬は死んでしまったが、血痕の先にあった洞穴には半死の老狸が横たわっていた。
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ケモノ 1980年 静岡県 遠州見付の天神さまに、人身御供の風習があった。通りかかった六部がお告げを聞いて、お告げ通りしっぺい太郎という犬を娘の代わりに箱に入れて連れて行く。しっぺい太郎は娘を食べようとやってきた獣をやっつけるものの、傷を追って、観音山まで来たところで息を引き取ってしまった。あるいは、観音山まで来たところで、しっぺい太郎は六部と大木の下で眠っていた。すると突然しっぺい太郎が吠えだし、六部に飛びかかろうとしたので、六部は鉄砲で撃ち殺してしまった。しかし、しっぺい太郎は木の上の大蛇に飛びかかろうとしていただけであったとも言う。
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ダイジャ 1941年 大阪府 昔、池に大蛇が棲んでいて、毎年村の娘が人身御供の犠牲になっていた。これを見かねた村の男が、神仏の加護を味方に付けて、大蛇を退治した。それ以後、人身御供の犠牲者は出なくなった。
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タヌキ 1976年 山形県 昔、3年に一度若い娘を人身御供に差し出さないと凶作になるという村があった。ある年の秋に、1人の僧が訪れ、老夫婦から習わしを聞いた。僧は明神神社の天井裏に潜み、古狸がべんべこ太郎という犬を嫌っていることを知った。翌年の春、人身御供を差し出す時、僧がべんべこ太郎を連れてきて、古狸を退治したという。
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ムラヲスクッテクレタオオカミ 1987年 長野県 ある年,娘が悪者に襲われそうになった時,山から狼が現れてその悪者をかみ殺した。このようなことがあったので,村人達はますます狼を犬神様として崇めた。
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ウジガミ,クロゲノヨウカイ,ヒヒ 1934年 静岡県 氏神の祭日の数日前になると、年頃の娘のいる家に白羽の矢が立ち、人身御供とされた。旅の僧がこれを止めんとして、真夜中に見張っていると、黒毛の妖怪が出てきて「信濃の国の悉平太郎に知らすなよ」と言うのを聞いた。僧は悉平太郎を探し、翌年大犬を一匹伴ってきた。犬は狒々と戦いこれを倒した。
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ダイジャ,ナハハチロウ 1982年 群馬県 みどろが池の大蛇が毎年暴れて洪水を出すので人身御供に娘を出していた。小幡氏の娘、梅津姫が人身御供になったとき、公家の若様が通りかかり、二人で池の岩屋に行った。若君が問い掛けると大蛇は「私は那波八郎という者で、榛名の郡司の若者だったが、兄弟に図られた恨みで蛇になったのだ」と言ったので、2人でお経を唱えると、蛇は成仏して那波大明神になった。若君は姫と結ばれ、2人は白倉神社に祀られた。
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カンノンサマ,ダイジャ 1929年 福島県 昔、毎年日和田の村人は安積沼の主の大蛇に、人身御供をしなければならなかった。長者の娘が当たった年、サヨという娘が「両親の残した彫りかけの観音様を完成させてくれたなら、身代わりになりましょう」と申し出た。観音様が完成し、観音経を誦して大蛇を待つと、経を聞いた大蛇は娘を捕らず天に昇った。
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ヤマイヌ,バケモノ,タヌキ 1990年 長野県 天神宮へ生贄に出された娘をさらった3人の男は、「伊那の早太郎」を恐れていた。これを知った神主は、伊那で早太郎なる人物を探し回った。ところが早太郎とは人間ではなくてある寺の和尚に育てられた山犬であった。事情を話すと早太郎は神主に着いて行って、化け物を退治することになった。祭りの晩、例によって娘が入った箱を見張っていると、得体の知れない化け物が3人やってきて娘をさらおうとした。早太郎は化け物に喰いついたところ、こうのついたたぬきであったという。また早太郎も、そのたぬきにやられ死んでしまった。早太郎は死後、元の寺に祀られたという。
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ヤマノカミ,カタメノフナ 1939年 京都府 昔は山の神の人身御供として毎年娘をひとり捧げていたのを、修験者の力で鮒に改めた。その供えが鮒がいつのまにか片目になっていた。40年ほど前まで続けられていた。
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オイソガモリ 1975年 高知県 大百姓の家の女中お磯が、作男の子供を身ごもった。主人はお磯を家へ追い返した。お磯は途中の桧の下で産気づき、子を産み落としたが、山犬に襲われて死んだ。それ以降主人の家では不幸が続き、桧のそばに祠をたてた。今ではお産の神様となっている。
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ヘビ 1952年 岡山県 夫婦の蛇がいるところをある人が通りかかると暗くなり、前方に美しい一人の女が立っていた。大蛇のお化けと思って鉄砲で撃つと、明るくなり、子供の足跡がついていた。そこに蛇神様を祀ることにした。
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〔ミサキサマ〕,イヌ 1963年 岡山県 小西の山の上に大きな犬がいて女に憑くので困ったので、相談して鉄砲で撃ち殺した。ところがそれから不幸が続いたため、ホウジャに見てもらうと犬が祟っていると言われたので、御崎様として祀った。
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ヒヒ 1934年 長野県 熊本県 山犬から生まれた早太郎がいた。あるとき娘が人身御供となり、六部が身代わりに籠の中に入っていると、早太郎には知らせるなと怪物が出てきた。早太郎を呼んで身代わりになってもらうと、中で怪物を噛み殺した。その正体は狒々であった。
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