イジュウ 1974年 京都府 延宝年間のこと、京の南にある吉祥寺村で、吉祥天女のご開帳があるというので、近隣の村々から六斎念仏を行う者が多く集まった。その彼らが打つ鐘や太鼓の音を恐れたのか、怪獣が出てきて、ある百姓の家の縁の下にかけ入った。それを生け捕りにすると、顔は狸に似て、鼻から額まで黒く、うなじは白い。さらに背は黒く、腹は白く、徳利のような丸い尻をしており、尾はなくて前足はモグラのようで、後ろ足は長く犬のような獣だった。餌は串柿だけ食べたという。
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タヌキ,マツヤタヌキ 1985年 愛媛県 120年前に松屋という廻船問屋があった。松屋の裏の雑木林の松に狸が住みつき人をだました。松屋のおばあさんがある日の夕方、松の木に目をぎらぎらさせているものを見つけた。大声で叱ると、怪物は山を鳴らして逃げたという。
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タヌキ 1960年 京都府 京都と丹波の境に狸を憑けてくれるお堂があった。明治20年頃、ある古着屋が狸の験徳で大もうけした.が、狸は増える上に大食で出費もかさむ。ある夜、狸に呼び出されたが、嫌気が差して行かなかった。すると狸は1匹残らず消えうせ、古着屋は失敗続きで落ちぶれた。
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タヌキ 1931年 香川県 常願寺には千年以上の齢を経たはげ狸が住んでいる。日露戦のときも出かけたと噂された。この狸は住職の代替わりのとき、一度だけ屋島合戦の模様を見せてくれるという。
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タヌキ 1976年 愛媛県 廻船問屋、松屋の裏道に住む狸は人を化かす。富さんという人も化かされて、一晩中山の中をうろついた。松屋のばあさんは怒り、狸を何とかしようと考えていると、ある日松の木の上に目を輝かせているものと出会った。おばあさんがしかりつけると、その怪物は山を鳴らして逃走し、以来出なくなったという。
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ロウジン,タヌキ 1922年 三重県 ある時御師の家が取り壊しになり、門だけが残っていて、雨が降っているときにそこを少年が通ると門の中から老人が出て来た。老人にどことも知れず連れて行かれた。家では大騒ぎして探したが、3日後隣人が夜9時ごろ停車場で偶然見つけた。少年は大熱を出して寝こみ、老人に誰にも言うなと口止めされたと言う。永らく屋敷に住んでいた古狸が住処を失って、老人に化け、精神力の弱そうな少年を見込んで憑いたものであろうという。
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タヌキ 1978年 和歌山県 学校のところを通りかかると、おじいさんに石を投げつける者がいた。しかし当たりはしなかった。このことは氏神様を祀っているお宮に住んでいる狸の仕業であるといわれた。
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タヌキ,キツネ,オト 1980年 静岡県 小諸山の山奥には、たくさんの狸と狐が住んでいて人を化かす。ある日もや拾いに行ったおばあさんが太鼓のような音を聞く。そばに行っても何もおらず気づくと聞こえなくなっていた。これは狸の仕業。
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タヌキ 1935年 香川県 屋島に古狸がいて、屋島寺の住職の代替りの初夜、必ず狸が袴姿で現れ、源平屋島合戦を夢幻のうちに物語り、見せたという。それに因んで源平起上り狸という玩具が作られている。
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バケモノ,フルダヌキ 1975年 東京都 兵法の達人が榎坂の借家に住んでいたが、夜になると何者かが現れた。寛永11年正月15日の夜寝床を調え隠れていると、両眼星のようなすさまじい形相のものが現れた。仕留めると古狸だった。その後、騒がしい市中に狸が住むのはおかしい、自作自演だろうと噂が立ち、その人は行方知らずになった。
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タヌキ,ツキモノスジ 1954年 奈良県 明治14、5年ごろ、村の大由という家のおたつという子供が、私の家の子守りとして来ていた際に、狸が乗り移ったと言って村で大騒ぎになったが、けろりと治った。
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フルダヌキ 2001年 青森県 昔、ある村の狩人が、日がすっかり暮れてしまった山中であばら家を見つけた。中では八十姥が機織をしていた。その姥が人間ではないと悟った狩人は何度も打ってみたが、退治することも出来ずに逃げ帰り、寝込んでしまった。ある日、その枕元に白髪白せんの老翁が現れ、有名な狩人に助けを求めよと告げた。狩人はその通りにして、姥に化けていた古狸を退治した。
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オハグロババ,タヌキ 1920年 京都府 大徳寺のおはぐろ婆という狸は、門前の松林でおはぐろの道具を前におき、おはぐろをやたらにつけて人をおどかしていた。盲目の按摩が袋を使って狸をつかまえた。
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イットクサン,タヌキ 1933年 大阪府 人に化けて饅頭を注文したり、幽霊の格好に化けて人を驚かしたりする古狸が吉田屋という遊郭に住んでいる。また、この狸は火を守るとも言われ、風呂の管理に不注意な事があると家人に火の用心を教えるという。
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タヌキ 1932年 愛媛県 昔、猟師が狸を捕えようと狸穴の前で青松葉を燃やし燻していたところ、高僧が従者を従えて現れ、殺生すれば仏罰が下ると戒めたので、猟師はその言葉を信じ火を消した。するとたちまち穴から古狸が飛び出して山深く分け入ると同時に、高僧も従者も消え失せたという。
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フルダヌキ 1933年 大阪府 老婆が菓子を食べて休んでいると、爛々たる目玉を持ち、青黒い顔をした坊主が現れた。驚いた老婆が家人を引き連れ戻った時にはすでに姿はなく、菓子類はすべて食べられていた。きっと、近所の古狸の仕業に違いないという結論に達した。
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タヌキ 1938年 福島県 片目の大きな狸が捕らえられた。その附近では化かされる者が多かったが、それ以来なくなったので、多分その狸の仕業であったのだろうということになった。たとえば、上州からの旅人が、橋で片目の老人に「家に泊まっていけ」と話しかけられたが、村に片目の老人はいない。片目の狸が化けたのだろう。
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タヌキ 1933年 愛知県 老爺が経営する茶屋に、善光寺参りの婆が訪れ、一泊した。3、4日経って再び現れた婆に、老爺が酒を飲ませたところ、眠気を催した婆が本性を出した。それが狸であったので、生捕りにしようとしたが、助太刀を呼びに行く間に逃げられた。
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トクベエ,オセキ,タヌキ 1922年 徳島県 徳兵衛という古狸が、夜更けて豆腐を売りに行く声をきいた。
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タカニュウドウ 1933年 大阪府 明治の頃、夜、高入道が出て通行人を驚かせると評判になったことがあった。古来、それは古狸の仕業であるとされ、棒や杖で高入道の足元の付近を横薙ぎすれば正体を現すと伝えられている。
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