キツネノショカン 1976年 岐阜県 元禄年間のこと。美濃国席田郡春近村の井上与三次郎というものが、狐と相馴れた仲になっていた。その狐が旅に出るというので、井上が餞別銭などを渡したら、狐は喜び漢詩を残した。
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キツネ 1922年 ある家は狐に商売繁盛を頼み、豪家になったが、約束していた狐に対するお礼を忘れてしまった。怒った狐は永久にこの家の憑き物となって離れないという。
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キツネモチ 1953年 鳥取県 狐が憑いた人が字を書くようになった。横領した物を返す事などを約束させた後から男女関係が良くなった。老婆は、狐持ちからは嫁に行けないという。行く時は縁を切るが、婚礼の時などは困る。
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キツネ 1982年 宮城県 田植えの済んだ田圃に悪戯をした狐が捕まり、殺すか殺すまいか議論になったが、助けることにした。田植えのしなおしを準備していた夜、狐が大勢来て夜の内に田植えが終わっていた。その後も狐がその田を世話してくれて、その年は豊作になった。それからその家では明神様として狐を祀り、田植えの日にはご馳走をあげている。
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ロウコ 1977年 岐阜県 老狐の筆跡がある。濃州安八郡春近村の富農・井上与三郎の家の庭に昔から住む老狐は、代々地主と親しく、郷里の者たちと常に言葉を交わしていた。名を板益亥正といい、また別名を梅庵といっておよそ300年住んでいるという。書も巧く、また禅なども論じ、医学にも通じていた。ある時、行方知れずになり、里の者が探すと、大津の駅で見つけた。都に移住し死期も近いという。その狐はもともと寧波あたりの僧で、邪見によって獣となってしまったという。井上の子供に教えていた手習いも、岐阜山孝寂という実は野干である僧に頼んでおいたという。
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キツネ 1981年 神奈川県 魚屋が新鮮な魚を持っていると狐がついてきて、家に住みついた。その後、魚屋の家は栄えるばかりで、狐は亀五郎いなりといって祀られるようになり、何か事がある時には夢知らせをしたという。
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キツネノワビジョウ 1983年 岡山県 真浄寺には、狐の詫び状が残っている。これは慶長年間のものである。
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キツネ 1933年 広島県 昔、於三という狐がいた。寅という男がいて於三とお互いにどうにかして欺こうとしていた。ある日寅と於三が話していたとき、何か恐ろしいかと於三が聞いてきたので、寅は欺こうと思い猪が怖いと答えた。それから二人が会うたびに十円札(通称いのしし)をくれたので寅はその札を取って儲けた。
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キツネ 1982年 宮城県 田植えの手伝いを頼む人が見つからずに困っていた人が、子どもが狐をいじめているのを逃がしてやったら、狐が田植えをしてくれて、その年は豊作になった。
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クダキツネ 1982年 神奈川県 御殿奉公していたある家の先祖は、宿下がりの時絶対開けてはならないという文箱を貰って大切にしていたが、家人がある時開けてしまいクダ狐が飛び出して各地の病人に憑いたという。
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ヨコヤマギツネ 1975年 伯耆国大山の横山狐は、明神の使者であり、この狐に祈願すると諸願が成就する。盗難に遭ったものが祈願すると狐が現れ、盗っ人の家まで連れていってくれる。
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キツネ 1988年 茨城県 話者の祖父がカツオを馬に積んでの帰り道、きれいな女の人に乗せてくれと頼まれた。これは狐だと思い、ぐるぐる巻きにして家まで連れ帰った。狐が正体を現したので逃がしてやったら、後でお礼に来た。その後、祖父が仕事で災難に遭ったとき、命が助かり、代わりに狐が死んでいた。
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エンコウ 1933年 山口県 猿狐が馬を川に引き込もうとしたが失敗した。この石のある限り村に災いせずという証文を書いたので許された。この石を猿狐石という。
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オリヤサマ,キツネ 1991年 石川県 折矢の岩穴にオリヤ様という古狐がいて、村人に家具を貸してくれていたが、あるとき、誰かが借りたものを一つなくしてしまったので、それから貸してくれなくなった。
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キツネ 1998年 福島県 炭焼きをしていた爺さんを狐が毎日送ってくれた。食べ物をあげると喜んで食べた。
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キツネ 1940年 滋賀県 狐の一家の面倒を見てやった善養寺の者は、お礼として薬の製法を伝授された。それで作った薬は大変好評で、お金持ちになった。狐自らが売り広めに回ったという。
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キツネ 1936年 新潟県 穴に住んでいた狐が居なくなった。ある日婆さんが寺の嫁さんに会って砂糖をもらった。しかし本当の嫁さんは、その日全く違った所にいた。おそらく狐が嫁さんに化けて婆さんに昔の恩返しをしにきたのだろう。
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キツネ 1941年 秋田県 畑に悪戯をした狐が火あぶりにされるところを東五郎殿に助けられた。そのお礼に狐は東五郎の田んぼに田植えをした。
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キツネ 1985年 岩手県 産婆が狐のお産を手伝い、お礼は鶏を殺したもの1匹とお金だった。お金は木の葉だった。
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キツネ,ダンクロウ 1935年 新潟県 関屋浜の松林に団九郎という狐がいた。変幻自在の技を心得ており、男気のある狐で、貧乏人が祝儀の折などに膳椀類がなくて困っていると、必要な数だけ揃えて届けてくれるといった調子だった。
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