テング,キシン 1977年 岐阜県 ある人が飛騨山で木を伐っていると鼻の高い山伏が現れた。天狗かと思ったら心を読まれ、何故天狗だと思うのかと聞いてきた。急いで木を束ねていると、手元が狂い天狗の鼻に木が当たった。すると天狗は汝の心が読めなかったと言って去った。
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テング 1931年 長野県 少し馬鹿な男がいて、仕事に行ったまま帰ってこず、山で死んでいた。これは天狗がそこら中を引きずりまわしたが馬鹿で使いものにならないから、途中で捨てたのだという。
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テング 1972年 石川県 秋の好日、休息をしていたら、杵がひとりでに飛び上がった。そして天狗が住む天狗壁の岩頭を臼にして、杵つきを始めた。しばらくすると「見ていると面白そうだが、やってみると辛いものだ」と空中で声がして、杵がもとの所に戻った。天狗の悪戯である。
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オテングサマ 1954年 栃木県 山に木を切りに行ってパンカパンカとかバリバリとか音のする時は、山にお天狗様が来ているから、仕事をせずに帰る。
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テングサマ 1989年 長野県 ある男性が夏の暑い夕方、一日の仕事を終えようとするときに、「面白いものを見せてやる」と言われて天狗にさらわれた。「目を開けろ」と言うので見ると、楽しそうに盆踊りをしているのが見えた。また連れて帰って来られ、天狗は去り際に「くわの棒をくべろ」と言った。家の囲炉裏にくわの棒をくべると、ようやく我に返ったという。
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テング 1968年 埼玉県 腕のいい川狩り人夫がいた。ある大仕事をひかえた日、天狗様にお神酒を供えず、悪口を言っていた。仕事中、にわかに黒雲が出て雷鳴がとどろき、山程もある岩が人夫の上に飛んできて、材木は岩の下に埋められ、若者はいなくなった。天狗の仕返しといわれた。
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テングノシッパイ 1956年 宮城県 旭山の鼻高か天狗が箆岳山の方に飛んで、小僧を1人さらってきた。鳥矢坂のところを飛ぶ途中、もう1人幼い子が泣いてるのを見つけ、これもさらおうと下ばかり見ているうちに、手が緩んで小僧を落としてしまった。降りてまたさらおうとしたが、山道で羽がつかえるので、一本足の下駄をはき羽の団扇を持って追いかけた。追いつかれそうになった小僧は道端のモダ林に隠れた。天狗はひとつかみにしようとしたが、バラがいっぱいあって鼻に刺さって痛いので、「おまえは世の中で何が一番おっかないか」と聞くと、小僧は「大福餅だ」と言った。天狗が大福餅をいっぱい持ってきて投げると、小僧はかたっぱしからむしゃくしゃ食ってみせた。さすがの天狗も小僧には一っぱい食わせられたという話。
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テングサマ 1956年 山梨県 山に木を採りに行った帰り、頭上をヒューと音を立てて通ったものがあれば、それは間違いなく天狗様だという。天狗様は、鼻が高く、羽根を持つ。
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テング 1931年 兵庫県 博奕打が負けて帰る途中の峠で独り言を言っていると天狗が来て、さいと羽扇を交換した。天狗は博奕の稽古をしていたところを村人に見つかり、逃げようとしたが扇がないので逃げることができず、とうとう捕らえられてしまった。
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テング 1972年 千葉県 天狗の腰かけ松の下で草を刈っていた人が、天狗に攫われて大怪我をした。
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バケモノ 1992年 奈良県 杣師が山仕事をしていたら、わけのわからない男の化物が現れた。その男は、杣師が考えていることを次々と言い当てていった。それで構わずに仕事をしていたら、斧で切った木の屑が飛び、男に当たった。すると男は「お前は俺のわからんことをする」と言って、去っていった。
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オテングサマ 1969年 埼玉県 川狩り人夫はお天狗様に神酒を献じて身の安全を祈る習わしだったが、ある時、天狗の悪口を言った人夫がいた。この人夫は仕事中に転がり落ちた岩の下敷きになって、それきり姿が見えなくなった。
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テング 1919年 京都府 天狗がすんでいると噂の場所で、道の中央に突然出現した石灯籠をなぐりつけた男はその後気を失った。気付いてみると、見当もつかない場所に倒れておりつつじの切り株が額に刺さっていた。天狗に山上へほうりあげられたらしい。
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テングサン,テングドン 1989年 鹿児島県 ブラクの古老たちが、正月に国有林へ盗伐へいったところ、話者の爺さんが何かに鼻をつままれたが、それは天狗さんだった。そのうちに山鳴りがし、雷が鳴ったり山崩れが来てたので、散々逃げ戻ってきた。天狗ドンが好かん人の鼻をつまんでいたずらしたという話である。
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テング 1956年 茨城県 天狗が遊びに出ると、麦畑の麦穂が一面黄金色に輝いていた。翌日また遊びに出てみると、麦が刈り取られ畑はすっかり耕されていた。そこで天狗は「人間はたいした事をやる。一夜のうちに地面をムシロのようにくるくる巻いてしまった」と感心した。
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テング 1986年 愛媛県 用の山の山の神の祠の左に大きな石がある。その石を足なし天狗の足休めの岩というが、杣が山で木を切っていると、何かが頭を何度もフンバッタ(踏んだ)ので、ナゾッタ(払いのけた)。まだフンバルので、あつかましいと、斧を頭上で振ったところ、天狗の足を切ってしまった。天狗は人の心はだいたい読めるが、杣は無心でやったので、天狗にも分からなかったのである。それ以来足なし天狗と祀りしている。天狗は風の神様だという。
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テング 1951年 長野県 山仕事をするある男は二つ山の天狗様の怒りに触れたうえ、山開き前の山に登った。男は帰りの山道で転び谷底まで落ちてしまった。助け出されてまもなく死んでしまった。
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テング 2001年 宮崎県 ある人が物知りのとくぞすを困らせてやろうと思って、天狗の鼻はなぜあんなに高いのかと尋ねた。言う通りにしたら教えてやると言われたその人は、杉の大木の梢に登った。するととくぞすは「生まれつきだ」と答えた。
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テング,ヒノタマ 1956年 群馬県 川にも天狗がいる。川で漁をしている男がいて、ある日、ばかに魚がとれる日があった。男が薄気味悪くなって来た時、ゴロゴロッと石の落ちる音がして火の玉が転げてきた。それと同時に網が急に重くなり持ち上げられなくなった。男は「天狗が出た」と叫んで逃げ帰り、2,3日寝込んだという。
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オテングサマ 1953年 埼玉県 山でサルスベリを切ろうとしたらホイホイと声がした。翌日切ろうとしたら鋸が折れた。別の木を切ろうとしたら鉈が外れた。お日待ちを知らないで山に入ったので、お天狗様がこういうことをした。
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