ヤマワロ 1950年 熊本県 ヤマワロは人里近い山に群れをなして住んでいて、好んで山桃を食う。ヒューヒューと啼く。大きさは子供ぐらいで、全身に毛があり、後肢で歩行し、人間のような声を出すが、聞いても意味はわからない。樵や漁師、炭焼きのよい仲間で、いろいろと助ける。助けてもらったら必ず酒を飲ませてお礼をする。この礼さえ欠かなければ、わるさをすることはない。
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ヤマワロ 1952年 熊本県 七滝村では、ヤマワロは筍を食う。ヤマワロは横からかじりつくのですぐわかるという。また、ある百姓が、田の畦塗りをしていると、小さな子供の踵の跡のようなものが沢山ついているという。姿は見えないが、ヤマワロだと思って鍬を振り上げると、水がドブンと言う音がするので鍬を投げつけたという。後にその百姓は、病気になって長く床についたという。
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ヤマワロ 1951年 熊本県 八代郡河俣村のヤマワロ伝承。ヤマワロに山仕事を手伝わせることがよくある。人が昼間歌っていた歌をヤマワロが覚えて、その晩に歌うのを聞くことがある。ヤマワロの通り筋で昼寝をすると、うなされることがある。夜中にヤマワロが何匹も湯に入りにやって来ることがあるが、後で風呂桶をのぞくと、油がどろどろとして臭くてたまらない。
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ヤマワロ 1950年 熊本県 ヤマワロと犬は敵同士だ。所用で山を越える時、1匹の犬がついてきた。途中、ヒューヒューとヤマワロの鳴き声が聞こえてきたが、とうとう姿は見せなかった。帰り道に先刻の犬が待っており、やはり後をついてきた。犬も独りで帰るのが怖かったのだろう。
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ヤマワロ 1950年 熊本県 夜道、谷川からヤマワロが4、5人ついてくる。4歳児くらいの大きさで、全身にあらい毛が生え、手には水かきがあり爪は長く伸びている。山への入口で足を掴んできたので、落ち着いて座りこむとヤマワロが提灯の火を消して飛び掛ってきた。腰の握り飯が目的とわかり、投げてやると皆で食ってしまった。犬の遠吠えが聞こえると、皆、逃げてしまった。
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ヤマワロ(ゾクシン) 1952年 熊本県 宇土郡では、ヤマワロに関する伝承は少なく、子供がだだをこねたりすると、ヤマワロが来るぞ、と言って脅かす程度である。
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オーサキ 1995年 群馬県 オーサキは夜チッチッチッと鳴いて人間についてくる。しかし姿はみえない。
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タヌキ 1937年 京都府 夜竹を切る音がするので翌朝行ってみると、まったく切っていない。竹切狸の仕業だという。
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ヤマワロ 1950年 熊本県 真っ先にヤマワロを発見するのは猟師ではなく犬だ。山中で犬が立ちすくんで動かなくなった時はヤマワロがいる証拠なので、すぐお神酒をあげてヤマワロに猟を請わなければならない。
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キツネ 1958年 岩手県 山小屋に泊まっているとよく、狐が木を切る音を真似して出すのを聞く。夜、30間(90m)くらい先に聞こえたので、翌朝行って見たが、何もなかった。
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ヤマワロ 1989年 熊本県 ヤマワロは「山ん神さん」のことだという人もいて、山の神様の一番下の位のものであると説明する人もいる。いずれにしろ、狐や狸とは全く別で、人をたぶらかすことは決してないという。
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タヌキ 1990年 長野県 たぬきがこの辺りに住んでいて、ずいぶんといたずらをした。夕方や夜にたぬきが大きい木を伐ったような音をたてる。尻尾でこするなどして音を出しているという。
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タケキリダヌキ 1956年 夜中に竹を伐る音がする。はじめ竹の枝を払う音、やがて株を切ってザザ、ザザと倒れる音がする。翌朝調べてみても異状がない。狸の仕業とされる。
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モーレイ 1993年 鹿児島県 東風が吹いて暖かくなる頃、よくモーレイが出る。ヤローとも言う。県道の近くで下から上に向かって音が走る。今度は上のほうから木を下ろす音がする。夜中の12時ごろまでそこに座ったままだったが、正体は見えなかった。
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バタバタ 1975年 広島県 芸州広島で夜中、屋上あるいは庭の辺から畳を杖で打つようなばたばたという音がする。見に行っても姿は見えない。狐狸の仕業のようだがそうでもない。
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ヤマワロ 1950年 熊本県 ヤマワロは春の彼岸に川に入ってガラッパになり、秋の彼岸に山に入ってヤマワロになる。彼岸の頃には何千匹ものヤマワロが列を作って喋りながら山から下りてくる。行列の通り道をオサキといい、ここに炭竈や家を建ててはならない。
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ヤマワロ 1950年 熊本県 炭焼きのため山中で寝ているとヤマワロがきて夜通し小柴を折って邪魔をする。そこで1度帰宅し、大神宮のお札を持ってきたところ、その晩からこなくなった。また、炭焼きは炭竈をヤマワロの通り道に作らないよう用心する。
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トンチボ 1975年 新潟県 夜更けに木っ葉をはねたり、木を倒したり、木材をひきずったりする音がする。トンチボ(ムジナのこと)のいたずらであるという。人の声をまねることもあるが、声を長く伸ばすことができないので「おィ」と短く叫ぶという。
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タケキリダヌキ 1938年 夜分にちょんちょんと竹の小枝を払う音がして、やがて株を切って倒すざざという音がするが、朝になって見に行ってみるとなにもなっていない。
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タケワロ 2002年 山口県 魚釣りなどに行くと、姿は見えずにグツグツという音がするが波も立たない。こちらから「シッカリナゲエ、シッカリナゲエ」とたけるとゴツゴツとなる。タキワリが竹や何かを投げるのを石だと思うことがある。タケワロをタキワロともいう。
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