〔カシコフチ〕 1956年 宮城県 昔,男がこの渕で釣り糸をたれていると,1匹の蜘蛛が男の脛に粘々するものをつけ,向こうに行ってはまた何かつけて帰ってくるということを繰り返した。男がそれを傍らの柳の大木になすりつけておくと,やがて柳の木が根こそぎ渕の中に引き込まれてしまい,渕の底から「賢い,賢い」という声がした。蜘蛛はこの渕の主であったという。それからこの渕を賢渕と呼ぶようになった。伝説源兵衛渕の主の鰻と闘って勝ったのはこの蜘蛛であろう。
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オオガメ,クモ 1938年 滋賀県 旅人がある淵で水面を覗いていると、大きな蜘蛛が旅人の足に糸を巻き付けた。不思議に思った旅人は、その糸を木の切り株に巻き付け直した。それとは知らずに水中に没した蜘蛛は、切り株を旅人と思い、勢いよく引きずり込んでそれに食い付いた。
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クモニバケタカッパ 1987年 長野県 昔,村人が釣りに行って川の傍でうとうとしていると,小さな蜘蛛が男の足の親指に糸を絡み付けていた。男がその糸を傍にある木に絡み付けておくと,その木は根こそぎ川の中に引きずり込まれてしまった。かっぱが蜘蛛に化けて人間を川の中に引っ張り込もうとしたのではないかと言われた。
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クモ 1936年 岐阜県 釣り人の頭に大きな蜘蛛が糸を付けて引こうとした。釣り人は糸をとって傍らの木に付けた。すると木は淵の中に引き込まれた。
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クモ 1966年 埼玉県 夏の昼、百姓が滝壷のそばで休んでいると、蜘蛛が現れ足の親指に糸をかけ始めた。かけ終わった蜘蛛は糸を引きながら滝壷の中に消えた。不審に思い、糸をはずして木株に巻きつけておいたところ、「ヨイショ」と声がして木株が引き抜かれ、淵に沈んで行った。
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クモ 1939年 和歌山県 高野参詣の旅人が、雨の森で休んでいると、蜘蛛がやって来てその足に糸をかけて去っていった。旅人は心得た人だったので、傍にあった草株に糸を巻きつけた。しばらくすると、その草が根こそぎ川の中へ引き込まれた行ったという。
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カシコブチ 1956年 宮城県 渕のヌシは大蜘蛛である。蜘蛛が岸の岩の上で釣りをしている男の脛に何かくっつける。男はそれを拭い取って傍の柳の大木にくっつける。これを何度も繰り返すうちに大木は根こそぎ渕に引き込まれ、渕の底から「賢い、賢い」という声がする。
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クモ 1929年 岩手県 淵で男が釣りをしていると蜘蛛が編笠と淵を往復して糸を掛けていた。その糸を橋の柳に移しておくと、水中に夥しい声がして、柳は淵へ引き込まれた。
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クモ 1985年 徳島県 昔、渕に夜釣りに行ったところ、蜘蛛が出て来て足の親指に糸を掛けて川の中へ引き込もうとしたという。牛を身代わりにしてくと言って一目散に逃げ帰ったところ、大きな牝牛が死んでいたという。
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クモ 1929年 宮城県 澱橋の土手の淵で釣りをする男の足に蜘蛛が淵から出てきて糸をつけた。男がその糸を近くの柳の大木に移しておくと、突然柳が引き倒され、淵へ引きずり込まれた。そして、淵の中から「賢い、賢い」という声がした。この淵は賢淵と名づけられた。
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クモ,ガワタ 1991年 滋賀県 川原の畑で百姓が日暮れ時に一服していると、どこからか1匹の蜘蛛が来て足に糸を巻いて川の中に下りていった。これはおかしいと思った百姓が糸をそばの柳の木の根に巻いた。しばらくしてその木は川の中に引きこまれた。ガワタが百姓を川の中に引きこんでシリノコを抜いて食べようとしたが、人間の方が賢かったという話。
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クモ 1979年 岐阜県 蜘蛛淵に釣りに行くと淵から蜘蛛が出てきて釣り人の足に糸を掛けた。糸を外して切り株に掛けておいたら、蜘蛛が糸を引っ張って切り株は淵に引き込まれた。蜘蛛は淵の中で笑っていたという。
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クモ 1939年 宮城県 水淵で、蜘蛛が釣り人の足に糸をかけた。釣り人はその糸をそっと外して川柳の根株に移しておいた。すると水底から引き倒されて、その根株は水中に没した。その時、水の中から「賢い、賢い」と声が聞こえたという。以来、この淵を「賢淵」と呼ぶようになったという。
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カッパ 1935年 滋賀県 昼寝をしていると、河童が蜘蛛に化けて足に糸を巻きつけて川に引き込む。ある所では、水辺にいた男が突然糸に絡まり、それが太くなって水中に引きずり込まれるので、慌てて糸を鎌で切って命は助かったという。
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クモ 1936年 鳥取県 昔、夏の暑い時にやりこという者が魚つりに行き、たばこを吸っていると、大きな蜘蛛が淵から出て来て、やりこのすねにいぎを引っかけて川の中に入れようとした。やりこはそのいぎを取って杉の木の株にひっかけた。その大きな木の株は川の中に引っぱり込まれた。
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カワラメ,カッパ 1958年 石川県 河童(カワラメ)の棲息地とされる淵の近くで、二人の樵夫が休んでいた。すると淵から大蜘蛛が現れて、一人の樵夫の足の指に糸を巻きつけて帰っていた。それを大木の切り株に巻き付けなおしたところ、切り株は淵に巻き込まれていき、水中から笑い声が聞こえた。
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カッパ,クモ 1968年 岩手県 大きい蜘蛛が川の水中から出てきて自分の両足にからめた糸を取って川岸の太い樹に巻きつけておいた。しばらくすると凄い音がして樹が川の中へ倒れ、川水の上に河童が見えた。
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クモ 1991年 愛知県 うすの近くで村人が休憩していると、蜘蛛が出てきて村人に糸を巻きつけていくので、不思議に思い、うすに糸を巻きつけたところ、うすが淵に落ちていった。
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クモ 1934年 静岡県 昔、青年が瀧のそばで休んでいると女郎蜘蛛が現われた。糸を巻いてくるので、それをはずして桑株に移しておいた。すると、間もなく、桑株が引き抜かれ、滝壷に落ちていった。
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カワタロウ 1978年 岐阜県 川から蜘蛛が出てきて足の親指に糸をかける。不審に思って柳に縛ると、柳の木が引っ張られて沈んだ。川太郎の仕業。
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