トオリアクマ 1976年 昔ある武家が庭を見ていると、植込から炎が上がり、その向こうの塀から白襦袢で髪を乱し槍を持った男が飛び降りてきてこちらを睨んだ。心を落ち着け再び見ると消えていた。代わりに隣家の主人が乱心していた。
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ムシャ,ヨウカイヘンゲ 1923年 愛知県 雨のふる夜、帰る途中で提灯の火が消えた。何気なく一本杉の方を見ると、騎馬武者一人と百人ばかりの控えの者が手に手に松明を持って妙感寺のほうへ行くのが見えた。すべて妖怪変化の相貌であった。あわてて隣家の人と共に見るとその方に火があがってすぐ消えた。
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イギョウ,カイイ,キカイ 1974年 ある夏の暑い日、疲れて仕事から家に帰ったところ妻や下女の顔が馬に、子の顔が鬼に見えた。斬り殺そうと思ったが思いとどまりしばらく横になり休んでから再び見たらもとに戻っていた。
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トオリアクマ,ジャキ 1977年 ある時帰宅して居間から庭を見ていたら、蘭から炎が3尺程上がった。気分が悪いので刀から離れ寝ていると髪を振り乱した白襦袢の男が槍を持って壁を乗り越え入ってきた。睨んでいると半刻程過ぎて炎も男も消えた。すると隣家の主が狂乱した。
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テング 1942年 新潟県 村人が寝ていると天狗が現れた。別の天狗が空から飛んできて、お互い角力を取りあった。大きな土俵を作り人間離れした相撲を盗っていた。その後、剣術の稽古をして夜が明けると方々に去っていった。
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シロキジュバンヲキタルオトコ 1975年 庭の蘭の葉の間から火が上ったのをある武士が見た。その人は家中の者に暫く私に刀剣を渡すなと言いつけまた庭を見た。すると白襦袢の男がやりを持って入ってきた。刀を求めたが家中の者は渡さなかった。今一度見ると男も火も消えていた。隣家の者が乱心した。
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テング 1973年 福井県 天狗が木の又に座っているのが水鏡に映った。猟師が鉄砲で打ったところ、ゴオーッと逃げて行った。その夜には「こんなことをしてどうなるのか」と夢枕に立った。
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キツネノチョウチン 1937年 大阪府 夜、向こうから提灯の行列がやって来るのに出会った。不審に思った男が誰何すると、一瞬にして灯が消えた。しばらくすると、そこから離れた場所で提灯の行列が進むのが見えた。
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ヒトリモノノオトコ,ヤマ 1995年 島根県 ある独り者の男が、若い頃に畦を塗っていると、後の山からおいおいという声が聞こえた。知らん顔をしていると、上の山へ連れ上げられて、晩になっても戻ってこなかった。手分けして探したが見つからず、鉄砲を撃って戻った。すると、夜に男は見つかったが、はだしで雪袴はもぐらだらけになっていた。どこにいたか聞いても何もわからなかった。
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キツネ 1933年 長野県 ある侍がまだ夜のうちに猟に出かけた。すると美しい女が現れた。狐の仕業だと思い鉄砲で撃つと、女は銃弾を手のひらの上で転がした。侍は夢中で逃げて家に帰った。
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トオリアクマ,マカイ 1977年 自宅庭の手水鉢近くに茂る葉蘭から焔が3尺ほど燃え上がっていたとき、眼光尋常でない大男が隣家より塀を飛び越えて来て、槍を振り回した。目を閉じて1時間ほどすると、焔も大男もいなくなっていた。この正体は邪気とそれに破られて乱心した隣家の主人であった。これが俗にいう通り悪魔であろう。
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タマシイ,スイジン 1934年 奈良県 大阪府 鍛冶屋は道で出会った男に馬を借りた。帰宅して後、いくら声高に叫んでも鍛冶屋の声が家人に届くことはなかった。そこへ聖徳太子の一行が現れ、魂を引き出した水神の悪戯を解き、鍛冶屋の体を元通りにした。果たして、鍛冶屋は再び家族に見えることができた。
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キツネ 1988年 茨城県 若い人が、馬で朝草刈りに行った。そうしたらネーソーカブリをしたいい姉さんが草を刈っていた。そこに行こうと思ったが、行き着けなかった。狐に化かされたと思って、足元の草を刈って帰った。
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ヨウフ,セッキノカイ,ヨウニン 1976年 静岡県 豆州の山中で、昼、石工たちが休憩していると美しい女が現れ按摩してくれた。按摩された人はみな熟睡した。これを怪しんだ人がこれを猟師に話した。猟師が鉄砲を撃ったところ、石が砕け散った。女は石の精だったのだろう。
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オオヒト 1929年 青森県 嶽の湯で笛を吹いていた人が、あるとき外に人がいることに気がついた。気味が悪くなったので、ある晩笛を吹きながら障子の外を見ると、巨大な人影があった。そして用意していた刀で斬りつけた。人影は山に消えていった。その後は血が滴っていた。正体は大人だろうということになった。
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クビナシウマ 1958年 愛媛県 南北朝の戦争で、恨みを持って死んでいった兵士の血を含んだ土は盛上げられ塚となった。ある夜神官がこの付近を通ると、首なし馬に乗った兵士が現われ、神官に南に仕えていたが7代まで君主に仕えると言って消えていった。人々は石地蔵を作って、この霊を慰めた。
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クビキレウマ 1933年 徳島県 昔、美しい姫が一人で住んでおり、1頭の駿馬を大層可愛がった。姫に恋心を抱く若者がいたが、偏愛の果てに姫の愛馬の首を山刀で切り落とした。その刹那、暴風雨と共に何もかもが消え去った。その後、
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ネコ 1980年 岡山県 美作国のある武士の家に15歳ほどの嫡男がいたが、夜な夜な老人がやってきて上から胸のあたりを押さえつけるという。ある夜に刃物を持って待ちかまえていると、先の老人がやって来たので斬りつけた。血の後を追ってみると、屏風の後ろに大狗ほどの猫が死んでいいたという。
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カワウソ 1976年 新潟県 大正年間。郵便配達をしていた人が夜道で、髪が長く背が6尺(180㎝)以上もある女にあった。その晩、神楽の獅子のように追われる夢を見た。朝、屋根を確かめると、屋根の上にカワウソの足跡が沢山ついていた。その人は郵便配達夫を辞めてしまった。
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キツネ 1956年 宮城県 藩政時代,角田館主石川家の家臣で館矢間にいる若侍達が,城下での稽古から帰ってくる途中魚などを持っているとよく狐にだまされた。ある時若侍達が,竹刀の先に魚を結び付けて夜道を無事に帰ってこれるかどうか賭けをしようということになり,一人が竹刀を持って出かけていった。朧月夜の並木道に差し掛かると,向うから竹刀を肩にした武芸者風の大男がやってきて,すれ違いざまにいきなり打ち込んできた。若侍が思わず竹刀で受け止めると大男は消え失せてしまったが,気がつくと竹刀の先の魚の包も無くなっていた。
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