カッパ 1989年 岩手県 川につないだ馬が深みに引き込まれ、馬は驚いて家の馬屋に駆け込んだ。槽の下にカッパがいたがすっかり弱っていたので、家の旦那殿は殺さずに助けてやった。それ以来カッパはいたずらをすることはなかった。
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カッパ 1931年 岩手県 川端に馬をつないでいたとき、カッパが馬を川に引き込もうとしていた。ハヅナ(タヅナ)を体に巻いて引っ張ったので馬は驚いて逃げた。馬舟に隠れていたカッパを網打ちの名人だった主人が捕らえ、この村には災いをしないという約束で放してやったといわれている。
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カッパ 1961年 鳥取県 分乗寺で昔、出上の方の川淵にカッパが出て、馬の手綱を引っぱって、川の中へ引き入れようとしたので馬がおどろいて走り出し、カッパはそのまま馬小屋まで連れてこられた。そして家人に見つかって畑の草刈りをさせられたが、頭の水がなければだめなので川に帰してもらった。
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カッパ 1960年 大分県 ある人は、カッパが馬を曳こうとして、反対に手綱にぐるぐる巻きになっているのを見つけた。「この野郎」とばかり柄杓の水をぶっ掛けたらカッパの皿に水が入り、手綱を切って逃げ去った。
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エンコ 1980年 広島県 十代ほど前の人が田植えの時期、馬鍬を清水の川で洗っていたら坊主が現れ泣き出した。理由を聞くと馬鍬があるから川を渡れないという。正体を見抜いた人が、今後村の者を連れて行かないと約束するなら馬鍬を除けてやるといったら承諾した。それから毎朝、家の牛屋のカンノキに大きな黒鯛がぶら下げてあったが、柱に鎌を打ち付けるとそのようなことは無くなった。またこれ以来、村の者はエンコに肛門を抜かれないという。
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カッパ 1955年 山形県 数馬の川ので女が洗濯をしていると、川の深い所から髪をザンバラにしたものが顔を上げた。屋根造りの人に話したところ、カッパだろうということになって捕えにいったが、いなかった。
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カッパ 1929年 大分県 河童が川端につないでいた馬を川に引きこもうとしていた。村人が河童を捕まえて、厩に縛っておいた。河童は主人の留守中、女房に頼んで頭に水をかけてもらい、力を得て逃げた。翌日から毎夜魚を3疋ずつ持って来て盆の蓋の上に置いたが、ある時蓋の上にあった庖丁に驚き、その後持って来なくなった。
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ガラッパノバケモノ 1982年 鹿児島県 ある家の下男が馬を川に連れて行き杭に繋いだところ、その杭は河童が化けたもので、馬は驚き逃げた。河童は繋がれていたのでそのまま引っ張られていき、馬屋に繋がれてしまった。女中が水を掛けると力を取り戻して縄を切って逃げた。
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カワタロウ 1986年 京都府 馬を川につけていたら、河太郎が馬を水の中に引っ張り込もうとした。河太郎を陸に引きずり上げると、二度としないことを約束させて逃がした。その翌朝から毎日、門の所に川魚が数匹置いてあった。河太郎が気の毒になってある日コボセの木の枝に魚を刺して門に置いておいたら来なくなった。河太郎はコボセの臭気を嫌う。
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ガワロ 1992年 宮崎県 川で馬を洗っていたら、ガワロが馬の尻尾にいたずらして引きずられ、家まで来てしまった。ガワロを縛っておいたが、かわいそうになってほどいてやったら、お礼に毎晩魚をたくさん持ってきて、木の鉤に掛けるようになった。鉤を角の鉤に替えたらガワロが恐れて来なくなった。
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エンコ,カッパ 1930年 高知県 馬を河畔に繋ぎ置いていたら馬が突然駆け引き綱に猿猴がつかまっていた。殺そうとしたが憐みを乞うので逃がしたところ、翌日から謝礼のために毎日魚を持ってきて、木の鉤に掛けた。鹿の角の鉤に代えたら、持って来なくなった。猿猴は鹿角を忌むからである。
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カッパ 1982年 宮城県 近春という殿様が小泉川で馬を洗っていたら、カッパが馬の尻尾を引っ張って馬が暴れたのでカッパを捕まえて屋敷に戻った。カッパがもうしないと証文を書くから許してくれというので、石に証文を書かせて放した。今でも証文が残っている。
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カッパ 1990年 長野県 川で馬を洗っていると、急に馬が飛び出して家へ帰った。見ると、尻尾にかっぱがつかまっていたので石臼につないでおいた。するとかっぱが命乞いをして、「助けてくれたら、膳椀を用立てる。大橋の上から要るだけの数を紙に書いて投げ込んでくれ」と言った。そこで放してやり、何度かその様にして用立ててもらったが、借りた椀を壊してそのまま返してからは貸してくれなくなった。
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ガタロウ 1973年 京都府 河太郎が馬を川にひっぱったので、ひっぱりあげてつかまえた。逃がしてやると、次の朝から毎日家の入り口に何匹かの魚が置いてあった。辛夷(こぶし)の木で魚を置くところを拵えたら、もってこなくなった。辛夷は匂いの強いものであるからのようだ。それから、辛夷の木で筏竿をしたら河太郎がひっぱらなくなった。
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カッパ 1931年 岩手県 岩手郡御所村字北の浦で、カッパが馬を川中に引き込もうとし失敗し馬舟に隠れたが、その家の主人に捕えられ、村に災いをしないという約束で放された。
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カッパ 1928年 愛知県 川で馬を洗い、家に帰ると、馬の尾に河童がつかまっていた。頭の窪みへ水を入れると元気になって淵へ逃げ帰った。それ以来、河童は毎日1籠の魚を届けたという。
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エンコウ 1993年 高知県 猿猴が馬を川に引きずり込もうとした。猿猴とは河童である。けれども逆に馬に引っ張られ、捕まってしまった。猿猴が泣いて詫びるので許すと、翌朝から戸口の鉤に魚が吊り下げられるようになった。ところがある朝、鉤が折れたので、丈夫な鹿の角の鉤に取り替えたところ、翌朝から魚を持ってこなくなった。猿猴は鹿の角が嫌いだからである。
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カオロ 1933年 岐阜県 カオロが馬を川に引き込もうとしたが、逆に馬は厩までカオロを引いて帰った。見つけた主人がカオロを殺そうとしたが、助けてくれればお礼に魚を進上すると言い、許してもらった。その後、主人は入用なだけ魚を門前に置いてもらったが、ある時俎の上に刃物を置いていたところ、以後絶えてしまった。
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カッパ 1978年 愛媛県 人造という人が夜釣りに行っていると、川の中からカッパが現れ、「相撲をしないか」と言ってきた。相撲をとると、結局人造が勝った。カッパは「だれにも言わないでくれ」と言い、人造も言わないと約束し、多くの魚をもらって帰った。後日人造は約束を破り、皆に言いふらした。そして川へ釣りに行ったとき、カッパにひきこまれて死んだ。
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フルヤノムリ 1956年 宮城県 老夫婦が冬の雨の晩、「古家のむりは狼よりもおっかねえ」というのを軒の下で聞いた狼が馬小屋の中で雨宿りしていた。そこへ泥棒が馬を盗みにやってきて馬と間違えて狼に飛び乗った。狼はそれを「古家のむり」だと勘違いして振り払おうとするが、泥棒はしがみつくので、狼は走り出し、林の中で泥棒は振り落とされる。泥棒が一休みしたお堂の中で神様が出てきて「今から悪いことすんでねえぞ」というので、改心して謝った。狼から話を聞いた猿は笑い飛ばして仇を取りに行ってやると泥棒の寝ているところへ尻尾をいれていたずらしていたが、寝たふりをしている泥棒に腕を切られた。帰ってきた猿から話を聞いた狼は「やっぱり古家のむりはおっかない」と、猿と一緒に海を渡ることにしたが、猿の方は傷口が傷んでしかたなく帰ってきたが狼は遠くにいった。だからここらには猿はいるが、狼はめったにいない。
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