ダイジャ 1985年 和歌山県 大岩の下に大蛇が住んでいた。それが男前の若い侍になって、娘のところに通ってきた。男の髪に針を刺した白い糸をつけておき、朝それをたどっていくと、大岩のところに来て、岩の下で男が「頭に針を刺されたから、もうだめだ。しかし娘の腹には子供を残しておいた」と話しているのが聞こえた。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 夜、美しい男がある娘のとこに通っていた。朝、鱗が落ちているので不思議に思い、針に長い糸をつけて布団に刺しておいた。針は男の体に刺さり、糸を辿っていくと、石の穴に続いていた。穴からは「針を入れられたが、人間に種を込めた」「4月初午に麦飯とにらを食べて潮を渡ったらおりる」と話し声が聞こえてきた。それを聞いた娘はその通りにしたという。
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サムライ 1968年 奈良県 昔、娘が毎晩うなされていた。母親が尋ねると、夢の中で侍が毎日夜這いに来るのだという。そこで侍の着物の裾に糸を通した針を刺しておいた。その糸は滝まで続いていた。やがてその娘は蛙の子のようなものを盥一杯生んだという。
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ヘビノムコイリ 1981年 鳥取県 美しい娘のもとに毎夜美男子が訪れる。袴に糸をぬいつけておき、そのあとをたどっていくと、山の中の大きな洞穴からその男のうなり声がして、娘に子ができたと話しているのがきこえる。家に帰って菖蒲酒を飲むと、盥いっぱいの子蛇を流産した。
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ダイジャ 1962年 神奈川県 昔、ある村に住む美しい娘の元に、夜ごと、前髪立ちで小袖を着た美しい若衆が通ってきた。いつしか娘は身ごもったが、若衆は名も家も告げない。ある夜、若衆の髪に縫針を刺すと、以後若衆は来なくなった。家の者が山の中を探すと蛇の穴があり、針の鉄の毒がまわった蛇がウメキ声をあげていた。娘を菖蒲湯に入れると、大蛇の腹子が全部流れたという。
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ヘビノコヲウム 1956年 宮城県 昔,この地方に母娘が二人で住んでいた。毎晩のように娘のもとに美男の若衆が忍んで来るが,何処の誰かわからない。どうも化生のものらしい。母の言葉に従ってこっそり長い糸を針で袴の裾に縫い付け,翌朝二人で糸を辿っていった。糸は裏山の大木の所まで続いており,根元の穴から呻き声と「俺が死んでも,子供を千疋つくったから未練はない」という言葉が聞こえた。驚いた母娘が和尚の教えに従い,菖蒲と蓬の湯を沸かして娘を入浴させると,娘の体から千疋の子蛇が出てきた。若衆は蛇の正体を現して死んでいたという。
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ヘビジゾウ 1956年 宮城県 近くの化粧坂に機を織って暮らしていた母と娘に、ある夜美しい若者が訪ねてくる。若者が足繁く通ってくるので、娘は母のいいつけで男の裾に糸をつけた針を刺し、翌朝糸を手繰って行くと穴に入る。村人を呼んで掘ると白蛇が現れたので打ち殺し、供養に地蔵を建てた。
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ヌシ 1972年 奈良県 美人の家に男がやってきて、朝帰っていった。母親が心配して男の着物の袖にふじの糸を通した針をさしておいた。糸を手繰ってみると大滝まで続いていた。以来大滝には主がいるという。女性はたらいいっぱいのぶどう子を産んだ。
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オトコ,ヘビムコ 1936年 岐阜県 娘の元に毎夜美しい男が忍んで来た。乳母は男を怪しみ糸をつけた針を男に付け、翌朝その跡を付けた。すると山奥に至り洞穴の中から娘を孕ましたが、菖蒲湯に浸かれば難を逃れる、と言う会話が聞こえてきた。その通りにすると娘は蛇の子を産み落とした。
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ヘビ 1974年 和歌山県 昔、美人がおり、美しい若者が通ってきた。誰一人その姿を見た者がいなかったので、若者の着物の裾に糸をつけた。翌日糸をたどると、大きな川池に続いていた。その正体は蛇だった。美人な娘は俵一杯の蛇の子を生んだという。
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ヘビ 1936年 岐阜県 ある庄屋の娘の元に若い男が通って来た。素性を明かさないので針に糸を付け男の着物に刺し、朝になってから糸を辿った。すると川の側で大蛇が苦しんでおり、死んだら家を守ると言った。以来家の当主の腋には鱗が3枚生えるという。
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ダイジャ 1914年 祖先に美しい乙女がいて、夜な夜な若い男が通って来た。ある夜、糸を通した針を若者の襟元に刺し、夜が明けてから糸を辿って行くと、洞穴に大蛇がいた。この女は大蛇の子を生み、そのため自分の家では代々背に鱗の形があり、大きくなると口に牙が生えると言い伝えられている。
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ウロコ,ダイジャ 1941年 新潟県 美しい娘がいた。若い武士が毎晩のように訪れて来るようになった。武士は無口であり、娘はそれが不安だった。娘が武士の着物に針を刺し、朝それを辿って行くと川であった。針の傷で死んだのは大蛇であった。その後生まれた子供には、脇の下に鱗が生えていた。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 昔、阿傳と嘉鈍の中間にマチという部落に母と娘が暮らしていた。娘は夜に機織りの仕事していたが、あるときから夜になる一人で笑ってばかりいて仕事をしようとしない。母が尋ねると、娘は夜になると赤手拭いを被った男がやってきて脇の下を擽るのだという。そこで母は今晩その男が来たら木綿針に糸を貫いて男のたまに刺せと言った。その晩、娘は言われたとおりに男の頭に針をさし、明朝に母が糸を辿っていくとマッタフの巣である坂の麓の割れ岩まで続いていた。中から「我ミミンダ通しはしたが、子供は七籠も産ませて、うら取って見せずに置くものか」と声が聞こえた。また「娘が海へ行って七日間潮浴びをすれば子供は堕りる」と他の声も聞こえてきた。母は家へ帰り娘を海に連れて行き、七日間潮浴びさせると蛇の子を堕ろすことができた。
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ヘビ 1990年 長野県 糸を通した木綿針を着物袖につけて後をつけていった時以来若者は通ってこなくなり、娘は身ごもって子供を産んだが皆蛇の子で、産後まもなく娘は死んだ。
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テンニョ,ヘビ,ユメ 1993年 沖縄県 昔、天女が大城に降りて暮らしていて、美しい青年と通じた。その素性を怪しんだ天女が青年の衣に麻糸を通した針を刺しておき、翌朝その糸を手繰っていくと、洞窟の中で蛇が呻き伏していた。天女は蛇と通じたことを悲しんだが、夢で汝の孕んだのは立派な人間だという示現を得た。後に3人の女子が生まれ、これが狩俣の村人の祖先である。
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ヘビノコ 1980年 岐阜県 ある娘のところに美男が通っていたが、戸を開ける気配がなかった。不思議に思った親の言う通りに、娘は男の着物に針をさしておいたら、糸が節穴を通って池まで続いていた。娘は蛇の子を孕み、菖蒲酒を飲ませると7たらいも蛇の卵が堕りた。以来、娘が蛇の子を孕まないように三月節供によもぎ餅、五月節供に菖蒲酒、九月節供に菊酒をあげるという。
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ヘビ 1993年 沖縄県 女の元に毎夜若武者がやってきて、女はやがて妊娠した。若武者の素性を知ろうと、やってきた若武者の髷に麻糸をつけた針を刺した。男が帰った翌朝、糸を辿ると井戸の中に続いており、中で片目を刺された蛇が死んでいた。
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ヘビ 1962年 徳島県 蛇淵という淵の上に家があり、痣や傷一つない、きれいな娘がいた。娘は、夜になると男がそばに来て寝ると訴えた。障子も開けず、ものも言わず、冷たい体だという。糸を付けた針を男の着物に刺して辿ると、淵の上に行きついた。そのうち娘は産気づき、おりものをたらいで受けると何杯分もの蛇の子が産まれた。竹藪に捨てると蝶々になって飛び、娘は死んだ。
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リュウ 1958年 香川県 女のもとへ男が通ってくる。男が帰ったあとはいつも女の衣がぬれているのをいぶかしんだ母親は、衣の裾に糸を通した針をさすように言う。言われたとおりにして翌朝糸を辿っていくと公渕まで続いていた。女が渕のそばまで行くと男は正体がばれたと思い、竜になって躍り上がった。
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