キツネ 1930年 兵庫県 段下のある家でおばあさんが握り飯を作っていると外の格子から手を出して一つくれという者がいた。おばあさんは声で狐の化けたものだと思い、熱い握り飯を手のひらに乗せてやったところ、こんこん鳴きながら逃げていったという。
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アマサケババ 1956年 冬の夜中などに、甘酒は無いか、といって軒ごとに戸を叩く妖怪が信じられた。返事をすると病気になる。戸口に杉の葉を吊るすと防げるといわれた。
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テン,ソウシキ 1941年 新潟県 寺の天井裏で貂が鳴くと一週間以内に死者が出る。寺に災難がやってくる時には、貂の様子が変化する。
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テン,オヤカタ 1941年 新潟県 或住職の代に、あまり無用心だからとて戸に錠を取り付けたところ、オヤカタ(貂の王)の機嫌が悪くなって困り早速又取り外したそうで、今もその際の釘痕だけははっきり残っている。
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ヌレオナゴ 1991年 愛媛県 たかなご坂を通ると女が赤子を抱いていて、「子を抱いてくれ」と言った。抱いてやると赤子が次第に重くなったので放り出して逃げると女は追ってきた。家に入って戸を閉めると、女は先が鉤になった髪の毛を投げつけてきた。朝見てみると、釣り針のような毛が戸に残っていた。二枚戸だったので助かった。それで「二枚戸は祟られん」という。
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オオザル 1933年 広島県 ある武家の家に夜な夜な怪物が出るという噂が流れたが、主人は害がないならとほっておいた。ある武士が厠の窓から現われた手に掴まれたが、引き戻して頭を殴りつけた。正体を見ると、年老いた白毛の大猿であった。
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テン 1941年 新潟県 僧が、寺の用事を果たせなかった言い訳をすると、天井裏で足を踏み鳴らす音がした。この僧は寺に泊まるつもりであったが、怖くなって帰って行った。言い逃れをしようとした僧を、貂が怒ったのである。
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キツネ,(ツキモノ) 1988年 長野県 キツネが人に憑いたことがある。キツネツキになると、キツネが屋根にたくさん来ていて、天井から覗いていると言った。お札入れに三峯様のお札を入れ、屋根の上に祀ると共に、赤なんばんを屋内でいぶしたという。
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タヌキ,ムジナ 1933年 長野県 夜明け頃、家の中から赤子の声が聞こえてきた。けれども家の人は誰も知らないでいたという。狸か狢の仕業だという。
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テング 1980年 和歌山県 柏の木のある家で働いていた男衆が夜寝ていると、天狗がやって来て柏の木をゆするので怖がったという。
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オサキ 1975年 群馬県 大正の初め頃、中年女性が庇から落ちて腰を打ち寝込んだ。庇の下にオサキの毛が落ちていたのである家のオサキの仕業と判断した。その家の女主人は気象が激しく、憑かれた女性が裁縫上手であること、子沢山である事を恨んで憑いたと推定された。
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テン 1941年 新潟県 住職が悪事を働いた貂を助けてやると、寺までついてきた。そのまま天井に住みつき、住職と寺を守るようになった。
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タヌキバヤシ 1914年 東京都 丑時あたりにどこかから太鼓の音がする。それが近くに聞えたり、又すぐ遠ざかったりする。これは狸が腹を叩く音であると伝えられている。それを捕まえようとした武士は結局狸に化かされたという。
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アヤシキトリ,キツネ 1974年 京都府 兼好法師が内の宿直から退出しようとした際、萩の戸の庭の方に怪しげな鳥が羽をふって、嘴を怒らして飛び下ってきた。人々が恐れていたので法師が2羽を弓で打ち落としたところ、一つは足に黒い毛が生えており、もう一つは非常に赤い色をしていたという。博士を呼んでこの鳥の名前を聞いても答えられず、しばらくすると2羽とも狐になって消えたという。
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キツネ 1976年 東京都 文政5年、コロリが流行した折、狐が人に憑いて人命を損ずることが少なからずあった。本所松井町のある女房が8月23日に突然発狂したようになったので、これは狐が憑いたのではないかと、色々ありがたいお札を集めたり、祈祷など行ったが効果がなかった。そこで伊勢神宮のお祓いなら恐れないものがないだろうと持ち出したら、女房は震えだし、お祓いを納めてくれるように懇願した。早々に立ち退くように命じたところ、手を窓の外へ出してくれるように願った。狐は手の指爪の間に潜んでいるという。そこで手を引いて窓の外へ出したら、その場で女房は倒れて、気がついたときには何も覚えていなかった。
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テン 1941年 新潟県 寺に入った泥棒が、米俵を一俵背負って逃げようとすると、住職の声で喝が入った。泥棒がびっくりして詫びていると、奥から本当の住職がやってきて、取り押さえられた。住職の声を真似ていたのは貂であった。
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テング 1988年 富山県 烏堂の宮でいさかいするようなはげしい叫び声がした。翌日行ってみると血の付いた爪みたいなものがおちていた。天狗の爪だという。
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オオボウズ,コボウズ 1932年 静岡県 ある宿屋の下の部屋は陰気で、壁に大坊主と小坊主の姿をした雨じみがあった。夜が更けると、閉めたはずの表の格子戸の開く音がして、手で砂を払う音とともに、大坊主小坊主が抜け出てきた。それは上の部屋にも上がってきて、寝ていた男に手を引っ張るぞと囁き、ずるずると床の間へ引っ張っていった。
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エキビョウヨケ 2000年 富山県 風邪・赤痢・麻疹等の厄病除けに手形を張り、悪疫が屋内に入るのを防いだ。
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〔タキブチノヌシ〕,ヒ,シロイコロモヲキタオンナ 1957年 愛知県 滝渕という古い渕を工事のために埋めてしまったら、その責任者の家の井戸の石垣から火が出たり、スズミから火が出るなどの怪異がおこり、家が焼け、結局絶家してしまった。滝渕の主の祟り。この井戸からは夜になると釣瓶を手繰る音がし、白い衣を着た女が水を汲んで居る所などが見かけられた。
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