ウシオニ,ヌレオンナ 1933年 島根県 夜、男が釣りから帰ろうとしたとき、濡女が現れた。濡女は赤子を男に抱かせると消えてしまった。男が赤子を投げ捨てて逃げ出すと、牛鬼が追いかけてきた。男はある農家に逃げ込むことができやっと助かった。
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ウシオニ,ヌレオンナ 1933年 島根県 昔、ある神職が夜釣りに行ったら濡女が現れて赤子を渡すと消えてしまった。神職は赤子を捨てようとしたが、石のようになって手から離れない。やがて牛鬼が追いかけてきて、神職が逃げていると光るものが飛んできて牛鬼の頭に刺さりそれで追わなくなった。光るものは家から飛んできた刀だった。
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カッパノタタリ 1981年 宮崎県 明治の頃、ある爺が河童を捕まえて馬屋の柱に括り付けておいた。その妻が悪いことをするなよと言いながら水を掛けると河童はゆうゆうと逃げた。それゆえ現在その家には祟りで赤い髪の子ができる。
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アカゴノクビヲクウオンナ 1932年 愛知県 ある男が、夜明け前の峠で、青ざめた女が髪を振り乱して赤子の首を咥えているのを見た。近所で聞き込みしたところ、かつて、近くの家の嫁が、産後間もなく死んでしまった赤ん坊を抱いて失踪した事があったという。
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エンコ 1991年 愛媛県 二神家の妙さんという嫁は大変な力持ちであった。ある時、川で二人の子供が「向こう岸まで背負ってくれ」と言ってきたので、エンコだなと思って捕まえ、家に連れ帰った。エンコにもう悪い事しないと約束させ、皿をとって離してやった。お礼に毎朝家の軒の鉤に川魚が掛けられた。その鉤を鹿の角に変えたら、エンコが来なくなった。鹿の角はエンコよけになる。
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イヌガミ 1936年 徳島県 精神に支障を来たした女性の衣服の下から子犬が走り出てきた。祈祷師が数回に分けて祈祷したところ、犬神筋である隣家の娘の母親が、女性の美しさと我が子の醜さとを比べて女性に嫉妬した結果、犬神が憑いたということがわかった。
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ウシオニ 1991年 島根県 毎晩牛鬼が出て人を捕ると聞き、ある相撲取りが退治しようと夜、海へ行った。海から大女が上がってきたので牛鬼かと近づくと乳を飲めといいながら海に連れ込もうとした。神に願を掛けると鶏が鳴き女は逃げた。お礼に鶏の絵馬を奉納した。
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(ヒョウイ) 1975年 昔、2人の子を持つ夫が別の女のもとに通い、妬んだ本妻が1人の子を殺した後で自殺した。夫は後悔し、もう1人の子を親類の娘に託して育ててもらう。数日後その娘が夕暮れに道で本妻と出会う。本妻は「こやこや」と呼びとどめ、手厚い養育を感謝し、しばし身体を貸してほしいと言う。恐ろしくなった娘は逃げ帰ったが、その夜に具合が悪くなって寝込む。けれどもその子が泣く毎に抱き上げて、本当は出ないはずの乳をやる。また子をあやす時の声や面影は本妻そっくりだが、子が寝ている時は元の娘に戻るという。仏事をとり行い、子を乳母に育てさせると、娘の病もなくなった。
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オニ 1970年 鳥取県 昔、鬼が出て人を食ったりして暴れていた。鬼が出る雪の晩、若い娘が宿を求めてきたので泊めてやり、鬼の話をしたところ、娘はヒイラギの葉を戸口に打ち付けて豆を撒いた。すると鬼は逃げていった。翌朝、娘はいなくなっていた。神様であったという。
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オカネウムムスメ 1956年 宮城県 昔、名鰭沼のふちに夫婦が住んでいた。子どもになかなか恵まれず、願かけて神に祈っていると、春の猫柳の芽がふくれる頃、嫁の腹が大きくなり、ついに女の子が生まれた。しかし片目片耳の子だったので、人目をさけてボロに包んで納屋においておいた。あるとき用事で、どうしても子を背負って町にいかなければならぬことになったので、慎重に包んで出ていった。町の用事がすんで帰るとき、石の上に子どもをおろして休んでいると、腰のまがった白髪の爺さんがきてボロをはがして子どもを見て「これはいい子だ。神様の授かりものだ。今にお金を生むから毎朝米一粒ずつつかませておけ」と言い残して消える。ためしに米一粒つかませるとお金を一つ産んだ。夫婦はしだいに金持ちになったが、慾の出た夫婦は「うんとつかませたらうんと生むだろう」と、ある日つかみきれないほど米をつかませると、子どもは死んでしまった。
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ヌレオナゴ 1983年 愛媛県 夜にある青年が桜岡を通った時、美しい娘に出会い、つい笑い返したところ、髪を振り乱して襲いかかってきた。青年は家に逃げ帰り、板戸の大戸を閉ざし、難をまぬがれた。障子戸だと髪の先で引っかかれて開けられてしまう。
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オニババ 1975年 新潟県 山で道に迷った子供が老婆の住む、壊れた家に宿を乞う。老婆が鬼婆だと気付き神の助けもあり家から逃げた。追いかけてくる老婆に神から授かった櫛、手拭、鏡を投げつけることで助かった。
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オニトムスメ 1956年 宮城県 2人の姉妹が、天気の良い日に栗拾いに山の奥まで行った。そのうち夜になって道に迷い困っていると、柴を抱えた同じ年頃の娘が来たので、その娘の家に泊めてもらった。そこは山の崖下にある粗末な掘っ立て小屋だったが、「自分は鬼にさらわれてここにいる。鬼が来たらどんな目にあうかわからないから、長持に隠れていろ」と娘が言う。鬼が帰って「人くせえ」というが娘がなんとかごまかし、鬼は「誰か来たら逃がすな」と言い残して去る。逃げる機会をさぐっていた娘も一緒に、一鞭あてると千里走る車を奪って逃げる。帰ってきた鬼は残っていたもう一つの車に乗って追いかける。海まで来て鬼は一息に海の水を飲み、娘たちの車が鬼の目の前に来たとき、娘たちはしかたがなくなって、3人で腰巻も何もかもひきあげて尻を丸出しにしてぴたぴたと叩いた。すると鬼が大笑いし、その拍子に水は鬼の口から出て、娘たちの車は無事に対岸へ着いたという。
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エンコ 1991年 愛媛県 二神家の妙さんという嫁は大変な力持ちであった。ある時、よくわるさをするエンコが「向こう岸まで背負ってくれ」と出たので、帯で締め上げて捕まえた。村人は「殺してしまえ」と言ったが、エンコが命乞いするのを哀れに思って助けたら、お礼に毎朝家の軒の鉤に川魚が掛けられた。その鉤を鹿の角に変えたら、エンコが来なくなった。
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テング 1956年 木樵の妻が赤ん坊と2人、夜の山小屋で夫の帰りを待っていた。突然、眠っていた赤ん坊が目をあけ「パアー、パアー」と異様な声をあげた。天井を見上げると、山小屋の屋根裏を貫いて天狗が手を伸ばしていた。
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ダイジャ 1967年 福島県 川が二股に分かれているうちの、低いほうの川原に家が一軒あり、どんな洪水にも水は家に上がらないが、昔は水が出るたび流されていた。母親は嘆息し、家が流されずに済むなら、3人娘の1人を淵の主にやってもよいとつぶやいた。その後、毎日のように若侍が尋ねてくるようになり、水難はまぬがれるようにするから娘を欲しいといった。それから、娘が時々いなくなるので不審に思い、ある時娘をつけてみると、淵の傍に大蛇が巻いている中に座っていた。母親は驚き帰ったが、若侍の訪問は止まないので娘をくれてやった。幾日か後娘たちが泊まりに来た夜、私の姿を見ないでくれという。恐る恐る見てみると2匹の蛇がいたので肝を潰した。娘は姿を見られたことを悲しみ、再びお目にかかれないと、形見に片方の下駄と鱗を一片残して去った。
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オニ,セツブン 1915年 香川県 節分の日、男は鬼の面をかぶって戸口に外に立ち、女はお多福の面をかぶり連れ立って家々を廻る。お多福が家に入ると鬼も入ろうとするが、お多福は鬼が入るのを制し、そしてその家から米や銭をもらう。家では鬼を防ぐために柊と鰯の頭を戸口にさしておく。
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コヲダイタオンナ 1975年 高知県 山師が山小屋で手斧の柄を削っていると、子を抱いた女が現れ、子が鉋歯を喰いたがっているというので与えるとすぐ喰ってしまったが、手斧は固くて喰えない。そこへ坊さまが現れ女を追い出した。手斧に七つ目の切り返しがあったから猟師は助かったのであった。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 昔、阿傳と嘉鈍の中間にマチという部落に母と娘が暮らしていた。娘は夜に機織りの仕事していたが、あるときから夜になる一人で笑ってばかりいて仕事をしようとしない。母が尋ねると、娘は夜になると赤手拭いを被った男がやってきて脇の下を擽るのだという。そこで母は今晩その男が来たら木綿針に糸を貫いて男のたまに刺せと言った。その晩、娘は言われたとおりに男の頭に針をさし、明朝に母が糸を辿っていくとマッタフの巣である坂の麓の割れ岩まで続いていた。中から「我ミミンダ通しはしたが、子供は七籠も産ませて、うら取って見せずに置くものか」と声が聞こえた。また「娘が海へ行って七日間潮浴びをすれば子供は堕りる」と他の声も聞こえてきた。母は家へ帰り娘を海に連れて行き、七日間潮浴びさせると蛇の子を堕ろすことができた。
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イヌガミ 1985年 徳島県 普段とても物静かで、家に閉じこもりやすい婦人がいた。ある時犬神が憑いて、犬の鳴き声をしきりに出したり、四つんばいになったりしたという。隣の主婦の犬神が憑いたと噂されていた。
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