ヤマイヌ 1995年 長野県 二本松の木の下には山犬がいる。夜に大深山に行くと、山犬は人を送ってついてくる。おにぎりをあげて「ご苦労さん」と言うとそれを食べて帰ってしまう。
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ヤマノ 1988年 長野県 山には山犬が出る。
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ヤマイヌ 1992年 宮崎県 修験僧が雪の夜、峠で山犬に襲われてケヤキの大木に登った。山犬は飛び跳ねて襲い掛かり、僧は仕込み杖の刀で山犬を次々と斬った。朝になり、僧は木から降りてきて山犬を数えると、999匹の山犬を斬り殺していた。しかし1000匹目の山犬は斬られたが生きており、僧はその山犬にかみ殺されて死んだ。九佐衛門とは、その僧の名前だという。
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ヤマイヌ 1928年 愛知県 山犬は山の犬ともお犬とも呼ばれる。山村の人が最も恐れていたものであるという。山犬を除けるための呪文がいくつか伝わっている。また、山犬が帰ったときに唱える呪文もある。
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ヤマイヌ,ヤマノカミサマ 1941年 福島県 夜に歩いていると、昔はよく山犬が出るので、腰に火縄を提げて歩いた。また、山の神様(山犬のこと)によく憑かれる人がいた。その時は小豆飯を出すと、山犬は食べて帰っていく。頭の上を飛び越す時にする小便が目に入ると目が潰れるので、山犬が付いて来たら下を見て歩かなければならないという。
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オクリイヌ 1936年 岐阜県 昔上ヶ洞にて夜山道を帰る人がいた。山犬に送られて気味悪くなり酒店に入り、山犬がいなくなったので帰ったと思い酒店を出たが、また山犬が来たので急いで自宅に帰り、塩一掴みを戸口において「ご苦労だったがこれで帰れ」というと山犬は帰った。山犬に送られるときに倒れると山犬の害を受けると恐れられている。
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ヤマイヌ,ニュウドウ 1990年 長野県 昔、夜道で山犬につけられることがあった。家に入ろうとすると、表に大きな入道が立っている。これを見上げると山犬が喉に飛びついてくるので、家に着いたらまず塩を掴んで投げる。そうすると山犬は塩を舐めて帰って行くという。
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ヤマイヌ 1991年 静岡県 山犬はヤシオツツジが咲くころに出る。山犬が出そうなところに魚を持って行ってはいけない。
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ヤマイヌ,オクリオオカミ 1978年 山梨県 竹宇集落には昔よく山犬が出た。山犬が後をつけてきたときには、家の近くで「ごくろうさん」といって戸を閉めると山犬は帰っていった。これを送り狼と呼んだ。
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ヤマイヌ 1956年 福島県 話者の父が山道で山犬に追われて木に登った。山犬は繋がって木の上まで届いてきたので、野差で一番上の山犬を刺して助かった。山犬は蓬一本の陰にも隠れると言う。
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ヤマイヌ 1985年 愛媛県 お産があってから三日の火の明けないうちにその家で飲み食いすると山犬が憑く。山犬は血を好むので月経中の婦人によく憑く。山犬は特に悪いことはしないともいう。
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ヤマイヌ 1983年 愛媛県 夜に生魚などを担いで山道を通る時、背後でドスンと音がする。見ると魚がなくなっている。それは山犬が魚を捕ったのであり、このことを山犬が憑いたという。
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ヤマイヌ 1985年 愛媛県 畑左衛門が深夜犬寄峠にさしかかったとき、一匹の山犬を殺したらその悲鳴で山犬が集まってきた。左衛門は松の木に登ったが、山犬も登ってきた。そこで鶏の目抜きのある刀に祈ったら、刀が鶏の声を発し、山犬は朝になったと思って逃げた。
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ヤマイヌノオンガエシ 1941年 岐阜県 ある人が、口の中に骨が刺さった山犬を助けたら、翌朝この人の家の前に鹿一匹が置いてあった。山犬の恩返しだった。
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ヤマイヌ,ヤマイイヌ 1949年 不明 山犬は神様で、水かきがあり、雪中の足跡などを見ればよくわかる。人にかみつく犬は山犬が病気になったものでヤマイイヌ(病犬)と呼ぶ。そうすると山犬の資格を失う。病犬に噛まれると犬のような挙動をして死ぬ。
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ヤマイヌ 1991年 静岡県 山犬の声を聞くだけで、馬がやせてしまうという。
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カシャ,ヤマイヌ 1941年 愛媛県 訃報の使いを知らせの使いと言い、必ず2人で行く。2人で行くのは、途中で火車や山犬に襲われる可能性があるからである。火車や山犬は死人を好むという。使いが提灯を持つのは夜になると火車や山犬が襲う可能性があるためで、魔は火を恐れると信じているからである。
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ノイヌ,ヤマイヌ 1985年 愛媛県 宇和地帯ではノイヌを山犬とも言い、山犬につけられたときは「ヨスズメヨスズメ姿が見えるぞよ」と言えばよい。山犬は火を嫌い、煙草の煙を特にいやがるという。
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ヤマイヌ 1991年 静岡県 子どもを連れた山犬は恐ろしい。
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オオカミ,ヤマイヌ 1990年 長野県 昔、おおかみのことを山犬といった。夜道を一人で歩いている時は、絶対に転んだりしゃがんだりしてはならない。姿は見えないが、山犬に喰われてしまうからだ。山犬の眼は恐ろしい。暗闇に光る二つの眼光に睨まれると、普通の者はみんなまいってしまう。
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ヤマイヌ 1987年 長野県 高見沢善九郎から聞いた話。善九郎さんが川上の一番奥の梓山から炭を運んでくると,夜道になったので馬の尻尾に掴まって下ってきた。馬が急に立ち止まったので見ると道の真ん中に山犬がいてこっちを見ていた。こういう時は山犬に何かやれば引き下がると聞いていたが,あいにく何もない。そこで山犬に謝って「この次来た時に何か持ってくるから勘弁してくれ」と言うと,それがわかったのか山犬は行ってしまった。
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