オクリオオカミ,ヤマイヌ 1992年 山梨県 人が山中で山犬と会うと「送り狼」となって、その人の後をつけて家の入口まで送ってくれることも再々あった。お礼を言って飯や魚を与えると山へ帰っていく。送り狼は旅狼(渡り狼)の群を避けるために袖をくわえて物陰に導いてくれたりするが、その人が転ぶと野性を発揮し忽ち飛び掛ってくるから、すぐに「やれ、ひと休み」といわなければならない。
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オクリイヌ,オクリオオカミ 1938年 送犬は群れをなしている旅犬から守ってくれるといわれている。また、転んだときに食ってやろうと思ってついてくるとも言われている。転ばずに家までついたとき、俺に草鞋片足と握飯を与えると、握飯を食べ、草鞋をくわえて帰っていったという話がある。
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オクリオオカメ 1977年 埼玉県 送り狼というのは山の犬で、危険がないように人を他の動物から守り、送ってくれる。送り狼に憑かれている間に躓いて転んだ場合は「どっこいしょ」と言葉をかける。家まで送ってもらったら、門口を入るときに労をねぎらってから別れる。そうしないと命を取られてしまう。
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オオカミ,イヌ 1955年 山梨県 送り狼は人が転べば起こすので転ぶものではない。夜道に犬を連れて行けばつかれない。もしつかれると家に帰ってから菓子か何かを与えると良い。狼はいくら撃っても倒れず、立ったままで死ぬ。ある人が夜道を歩いていると狼が来たので栗の木に登ると犬梯子を作って登ってきた。また他の人が夜道で白いものが来たので栗の木に登ると狼が死人を背負ってやってきた。その時財布を木から落とした所、狼は死人の首を食い破ってまた背負って行った。など。
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オクリヤマイヌ 1976年 長野県 送り山犬がついてきた。後を振り向くといけないので振り向かないで家まで来て、山犬に食べ物とお礼いって帰した。
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オウサキ 1981年 埼玉県 お犬さまをお迎えに行くと村まで来てくれることを信じない男が、慣例を破ってお犬さまと一緒に帰ることにすると、気持ちが悪く何かに後をつけられている感じがした。お犬さまは下山祝いの膳も食べたという。
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ヤマイヌ 1989年 長野県 ある猟師が山の神に山犬の子が欲しいと願ったところ、二匹授けてくれた。ある時、猟に行くと何も取れなかったので、火を焚いていた。猟師は「俺は夕食食べて寝るが、何も取れなかったので我慢してくれ」と言うと、山犬が尻尾に水を付けて火を消すということを繰り返した。おかしいと思って木に登って見ていると、被せてあった蓑にかみついたので、殺すつもりだと悟って撃ち殺した。すると先祖に祟ったので供養した。憑き物があるときに、入れ物のほこりを払うと、憑き物が落ちるという。
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オクリイヌ,ヤマイヌ 1992年 山梨県 送り犬は、人が転ぶとかみつくというので中馬追いは夜道になると非常に用心深く歩いたものだった。また腰には沓切りという小さな鎌を忘れなかった。これは護身用と共に、火打石としてすぐにひをおこすためのもので、火を見ると山犬はすぐに逃げたそうだ。
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オクリイヌ 1936年 岐阜県 昔上ヶ洞にて夜山道を帰る人がいた。山犬に送られて気味悪くなり酒店に入り、山犬がいなくなったので帰ったと思い酒店を出たが、また山犬が来たので急いで自宅に帰り、塩一掴みを戸口において「ご苦労だったがこれで帰れ」というと山犬は帰った。山犬に送られるときに倒れると山犬の害を受けると恐れられている。
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ヤマイヌサン,マドウ 1941年 徳島県 山で魔道にとりつかれた時、「送っていってつかわれ」と頼んだら、山犬が家まで案内してくれるという。その時、自分と犬の間を二間ぐらいあけて、犬が座ったら自分も座らなければならないという。お礼に小豆の煮物をあげなければならないという。
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ヤマイヌ 1989年 長野県 ある猟師が山の神に山犬の子が欲しいと願ったところ、子を二匹授けてくれた。ある時、猟に行くと何も取れなかったので、火を焚いていた。猟師は「俺は夕食食べて寝るが、何も取れなかったので我慢してくれ」と言うと、山犬が尻尾に水を付けて火を消すということを繰り返した。おかしいと思って木に登って見ていると、被せてあった蓑にかみついたので、殺すつもりだと悟って撃ち殺した。
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オクリオオカミ 1992年 奈良県 山道を帰る途中、送り狼に会った。止まってはいけないし、振り向いてもいけないので、そのまま同じ調子で山を下った。そして無事に狼に送ってもらった。
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ヤマイヌ 1957年 愛知県 大正初年ごろ、山犬に送られたことがある。人が死んで知らせに出て、帰りに山で後から山犬がついてきている。転ぶと食われるので落ち着いて歩き、村近くで「ご苦労だった、もう送らなくてよい」と言って神社に逃げ込んで朝まで泊まった。
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ヤマイヌ 1991年 静岡県 山犬は人の送り迎えをする。送り犬は道に沿って道下を、迎え犬は道上をついてくる。
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ヤマノイヌ(ゾクシン) 1932年 愛知県 もし、山の犬に送られた時は、草鞋の紐を切って犬に与え、「山の犬送れ……」の歌を唱えれば去って行くという俗信。
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ヤマイヌ 1989年 長野県 ある時、山へ薪取りに行くと、何者かに食われて鹿が死んでいた。喜んでその鹿を持ち帰ると、夜になって家の回りを山犬が駆け回り吠え、家人を脅した。山で恵みがあったときは、少しでもいいので何か残してこなければならないという。
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ヤマイヌ,ヤマノカミサマ 1941年 福島県 夜に歩いていると、昔はよく山犬が出るので、腰に火縄を提げて歩いた。また、山の神様(山犬のこと)によく憑かれる人がいた。その時は小豆飯を出すと、山犬は食べて帰っていく。頭の上を飛び越す時にする小便が目に入ると目が潰れるので、山犬が付いて来たら下を見て歩かなければならないという。
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ヤマイヌ 1928年 愛知県 狩人が鹿を撃つために山小屋で一夜を明かしたが、退屈なのでつれていた犬をからかって、ウーウーと山犬の鳴き声を真似していた。すると、遠くの山からその声を聞きつけて本物の山犬が集まってきてしまった。どうしようもなく、榾火を大きく燃やして身構えたまま夜明けを待ったという。
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ジンメンケン 1990年 山形県 狩人が山中で人面犬を目撃し、面白がって追い回し谷底へ落としてやった。次の日、怒り狂った人面犬が火を吹きながら家々に飛び込み、大火事になってしまったと言う。
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ヤマイヌ 1985年 愛媛県 山犬は狼とも異なる魔物の一種であり、憑かれると人の後になり先になりついてくる。「家に帰ったら豆御飯を炊いてやるからトギ(供)をしてくれ」というとついて来なくなる。土産物を投げつけて助かった者もいる。
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