アオイヒ,ボウレイ 1929年 鹿児島県 ある夏の真夜中、港に泊まっていた漁船の所に、丘の方から青い火がちらちら輝いて舟に近づいて来た。船頭が目を凝らして見ると白骨の岩窟から亡霊が四五人歩いて来るので恐ろしくなって船室に逃げ込んだ。その姿は舟上で消えてしまった。もしかすると内地から来た人の亡魂が故郷恋しさに船で帰るのではないか。
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オオカミ 1981年 和歌山県 水舟さんという神様の下で炭焼きをしていた人が、狼に吼えられた。怖いので水舟さんに狼を退けてくれとお願いして拝んだら、声が遠のいた。狼は水舟さんのお使いなのだろう。
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キツネ 1997年 岐阜県 昔、二渡のある人が山へ薪を拾いに行ったきり帰ってこなかった。家族や親戚が捜索すると、山の奥で独り歩き回っていた。どうやらきつねに化かされたらしく、本人は疲れきっていた。
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キツネ 1979年 岐阜県 炭焼きをしていたときの話。夜、山へ窯の火を止めに要ったら、手拭を被った女が立っているように見えた。狐の仕業。
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ヘビ 1978年 和歌山県 仲のよい夫婦のうち女がいなくなる。2、3日後村人が滝で女の姿を見かける。女は黙って蚕の糸を紡いでいた。女は蛇だったのだ。それ以来筏師がその滝のそばを筏で通ると、命を失うといって恐ろしがられた。
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キツネ 1976年 山口県 山で働いていると自分の家が火事である。帰るとなんでもない。こんなことが二三回あるので神主に相談すると、きつねに憑かれているというので、京都の吉田神社に詣でて、そのお札を貼るとおさまり、家の裏の井戸に大きなきつねが死んでいた。
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オニババ 1968年 山形県 作次郎という人が山に茸取りに行って夜遅くなり、洞木に泊まって火を焚いていると鬼婆が来た。火に当ててやると鬼婆は背中を炙り、もの凄い火が出た。作次郎は逃げたが、鬼婆は後を追って来た。作次郎が朴の木の下に行くと、紫の雲に乗った山神様が降りて来て、作次郎の姿を鬼婆に見えなくしてくれたため、無事に家に帰り着くことができた。
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キツネ 1997年 青森県 家に帰る途中、萱や葦の中から人の声が聞こえた。その声についていったら道に迷った。きつねの仕業。
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キツネ 1997年 青森県 油もの(餅など)を持って土手を行く途中、急に眠くなってその場で居眠りしてしまい、目を覚ますと油ものはなくなっていた。きつねの仕業。
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タヌキ 1981年 和歌山県 炭焼きさんが仏谷で仕事をしていたら、前の山でからかさのようなものが揺れて「ホーイホーイ」と言っていたので、行ってみると消えていた。狸の仕業。
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キツネ,タバコ 1989年 長野県 話者の祖父が夜道を歩いていると、本当に真っ暗になって何も見えなくなった。きつねに化かされたかと思い、土手に座って、きつねは火が嫌いなので煙草に火を付けて一服していた。すると周囲が明るくなったという。
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シンボク 1928年 台湾 明治の末頃、内地から台湾に渡った樵夫たちがいた。この樵夫たちが大木を切る仕事を請け負ったが、源五郎という男がこの仕事はやめようと言った。不思議な夢を見て、その中で仙人姿の老人が神木を切ると血が流れ、山が鳴動して異変が起こるといったのだという。翌朝、作業にかかろうとすると、木の上から血が落ちてきた。結局、木を切り倒すのは中止になり、酒を供えて注連縄を張り、謝罪して樵夫小屋へ引き上げたという。
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オオカミ 1974年 栃木県 馬方をしていた人が夜、赤岩を通ると赤い火の玉が出たので、それでタバコに火をつけようとしたら、唸られた。狼の目の光だったという。
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レイコン 1977年 斎会で僧たちが酒を飲んでいると、位牌の霊魂が姿を現して、火に焼けた。その者の草履は、ずっとくつ棚にあったが、その日の朝、誰も取り出していないのにそこにあった。草履の焼絵紋をみれば、間違いなく本人のものだった。
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タヌキ 1932年 愛媛県 昔、猟師が狸を捕えようと狸穴の前で青松葉を燃やし燻していたところ、高僧が従者を従えて現れ、殺生すれば仏罰が下ると戒めたので、猟師はその言葉を信じ火を消した。するとたちまち穴から古狸が飛び出して山深く分け入ると同時に、高僧も従者も消え失せたという。
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ニュウドウボウズ 1976年 宮城県 棟梁が着工式に呼ばれ、お祝いの魚を藁づとに包んで帰る途中、人気のない道で火にあたる八尺ばかりの入道坊主に会った。持っていた手斧をふりまわしながら通り過ぎたが、いつのまにか入道坊主は消えた。ムジナの仕業だという。
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オコゾウビ 1980年 長野県 和尚が小僧に丑三つ時に祠の蝋燭の火をつける役目を言いつけた。ある時、風が強くて提灯の火が消えたので小僧が戻ると、和尚は怖くて逃げ帰ったと思い込み、懲らしめるために杉の木に縛り付けた。翌朝、小僧が死んでいたので、和尚は埋めて隠した。次の夜、和尚が火をつけに行くと、杉の木が明るくなった。それから毎晩、このお小僧火が見えたという。
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テングンサン 1978年 岐阜県 炭焼きをしていた男がてんぐんさんに九州の山に連れて行かれて剣術の稽古をした。ある日念仏を唱えたら「そんな弱虫は帰れ」と言われて、送られた。そのとき手にさせられた漆塗りの4尺棒がその家にあったが、火事で焼けてしまった。
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カイオン 1928年 愛知県 山中で1本の老木の洞に泊まり、洞の口で火を焚くとヒューヒューという劇しい音が一晩中鳴り響いた。深山で夜中に焚き火をすると魔性のものが集まって来ると伝えられていた。
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コリ 1914年 岩手県 夜、ある老狩人が山を歩いて家に帰ろうとして沢に来たとき、突然目の前に3本の蝋燭が現れた。3本の火は寄って1本になり、その火の中に髪を乱して笑う女の顔が見えた。多分狐狸の仕業であろう。
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