ハンニャ 1922年 大阪府 明治初年頃、ある若者が大阪である宿屋に泊まった。陰気な部屋に通されたので変えてくれと頼んだが他は一杯とのことだった。牛満頃になると首筋からゾクゾクしたかと思うと誰かが身体の上に乗ってきた。重くて身動きできなかったが、乗って来た者の顔を見ると般若のようで、曲がった角が生えて目がつり上がり、口が耳まで裂けて青い顔をしていた。冷たく生臭い息を吹きかけられ、一晩苦しんだ。女中の翌朝言うには実は色々怪異のあった部屋という。その後他の所に泊っても例の般若が現れるようになった。
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キツネ,タヌキ 1966年 栃木県 狐か狸かわからないが、道で人を化かすものがいた。大正12年のある夜、強気な男が道を歩いていたら自分の前を歩く娘に会った。怪しいと感じた男は、いきなり娘の尻のあたりをまさぐった。驚いた娘が飛び上がる拍子に男は尻尾を握った。娘は犬ぐらいの獣になり鳴き声をあげたので、哀れに思った男は手を離した。その後人を化かすものは出なくなった。
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イキリョウ 1982年 島根県 大きな家の納屋の2階を借りて寝泊まりをしていると、毎晩、苦しくて目が覚めるようになった。ある晩、目を開けると、真っ黒い大きな四角い顔をしたものが胸を押さえており、小さな目が2つあって、体には黒い毛がいっぱい生えているのが見えた。手刀で切りつけると姿を消した。家の主人には長い間病気の息子がいたが、これ以後次第に快復していった。
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タマ,ホウモンダマ 1952年 兵庫県 大正の終わり頃、若い嫁が夕方洗濯物を取り込んでいると表から青とも黄色ともいえない尾を引いたものが飛び込んできたので悲鳴を上げて卒倒した。ちょうどその頃外出していた夫は出先で脳溢血をおこして死んでいた。
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オバケ 1970年 神奈川県 明治か大正のころ、老婆が紙を梳かしたときに抜けた毛を丸めたものを床下に埋めながら「俺が死んだらこの家に来る人には化けて出る」といった。老婆の死後、この家を借りて住んだ人があったが、お化けが出るので気味悪くなり、出て行った。
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バケモノ 2000年 山形県 昔々、旅人が化け物寺と噂される寺に泊まった。天井のほうでがさがさ音がして目が覚めると、生臭いにおいがする。見ると、天井の穴から三味線のつながった白い糸が降りてきた。三味線を弾こうと思って触ると、体がくっついて離れなくなった。その後、和尚がやってきて化け物を退治した。天井裏からは化物に食われた人の骨が出てきた。化物は5升鍋の蓋ほどの大きさで、毛むくじゃらで、3尺ほどの大きさであったという。
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イジュウ 1974年 京都府 延宝年間のこと、京の南にある吉祥寺村で、吉祥天女のご開帳があるというので、近隣の村々から六斎念仏を行う者が多く集まった。その彼らが打つ鐘や太鼓の音を恐れたのか、怪獣が出てきて、ある百姓の家の縁の下にかけ入った。それを生け捕りにすると、顔は狸に似て、鼻から額まで黒く、うなじは白い。さらに背は黒く、腹は白く、徳利のような丸い尻をしており、尾はなくて前足はモグラのようで、後ろ足は長く犬のような獣だった。餌は串柿だけ食べたという。
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イシノフルイエ 1956年 宮城県 明治初年頃,荒町下区上久保に化け物屋敷と呼ばれた古家があった。夜になると屋根に石を投げつけられる音がするが,出てみると何もない。あるときはその家が火事のように見えるので人々が駆けつけてみたが,何事もなかった。
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アカシャグマ 1966年 香川県 世が更けて寝静まった頃、赤毛をふり乱した童刑の赤しゃぐまが現れ、近づいてきて家人をくすぐり、へとへとにしてしまう。くすぐられた一人が翌日裏の畑に出たところ、赤しゃぐまが立ちはだかっていたので、家に駆け込んだまま気絶した。
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〔ホウソウバア,ホウソウババ〕 1956年 宮城県 文化年間(1804~17)の初め頃、疱瘡が流行して多くの人が死んだが、その亡骸が墓から掘り返されて食い荒らされるという奇怪事が起こった。大石を載せたり、祈祷をしても無駄で、足跡は大人の腕ほどの大きさで、怪物の大きさが推量された。名主が自分の息子の亡骸を守るため、猟師に番をさせると、気配を感じ取ったのか、怪物は柴木立を薙ぎ倒して逃げ去った。その後威嚇して打たれた銃の音に驚いたのか、その後は疱瘡もはやらず、怪物も現れなかった。2,3年後、2人連れの女房(50ばかりと30ばかり)が市日の買い物に出かけたが、山の方を見ていた老女が突然顔色をかえて倒れた。介抱の結果息を吹き返したが、失神の理由を聞いても老女は答えなかった。3年ほどたってから老女は「あのとき丘の上に一丈余りもあるような赫顔に白髪の覆いかぶさった老婆に似たけものが大石に腰掛け、睨むように自分を見下ろしていて、これが死人を食っていた怪獣かと思ったら力も心も抜けたような感じになった。正気に返ったあとも恐ろしく、口にするのもはばかられた」と語った。
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オンナ 1923年 石川県 明治20年、ある人の家から借りた蚊帳を吊ると、24、5歳の頭髪の乱れた女の幽霊が現れた。持ち主のところへ行くと、その蚊帳を使っていたのは、病で死んだ娘であるということであった。
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ズドボン,オオオトコ 1973年 富山県 明治の頃、大きいズドボンを見た。外の村人もその朝、六尺以上の大男を見たものがいる。
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ロクロックビ,ロクロクビ 2003年 首が長く伸びる「ろくろ首」という化け物の話があり、小さい頃年寄りから「ろくろっ首」について聞かされて脅かされた。
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オニ 1952年 大分県 昔、鬼がいて、川の向こうの鬼と大声で誘い合って、日高の高千穂まで人をとりに行った。今でも、鬼の家といわれる家があり、その家の人には牙が生えるという。
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バケモノ 1960年 福島県 山の上から「ぶっつありてい!!」と叫ぶものがあるという話を聞いたものが、それを捕まえに行った。暗い影のようなものが背中にぶつかった。毛がふさふさしていて四本脚の化け物で、箱に詰めて湯を入れ、翌朝開けると金がいっぱい入っていた。
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バケモノ 1977年 青森県 昔、女の人が山に行って化け物と仲良くなり、化け物の子を産んだ。7日7晩たっても生まれなかったが、7日目の風雨が強い晩、産婆の指示で産室を無人にしたら、何かが来てコチョコチョ話をし、子が生まれた。その子は口が耳まで裂けていた。産婆は誰にも見せずにどこかに埋めたが、翌日掘り返した跡があり、何も無くなっていた。
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ヒトダマ 1989年 岐阜県 大正末年、夜道を歩いていて人魂を見た。テニスボールくらいの大きさで、ローソクの焔のようにぼぅーっとしたものが20センチほどの尾をなびかせてふわふわ漂っていた。温かみのある、くちなし色をしていた。翌日その家の人が亡くなった。
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カワタロウ 1978年 岐阜県 1920年代のこと。女の子がよもぎ摘みをしていると、川太郎がよもぎに化けた。三人の男がそれを聞いて捕まえに来たが、二人は流され、三人目がやっと助かった。
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コンガスリヲキタバケモノ 1940年 秋田県 明治32年頃のこと。紺絣を着た化物が子供たちをさらっていくという評判が流れ、夜の道は通行止めになった。
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クワズニョウボウ,オニ 1939年 岩手県 あるケチな男が口のない嫁をもらうが、この嫁は頭に口のある化物であった。男は隙を見て逃げ出すが、女は鬼の姿になって追ってきた。菖蒲や蓬の中に逃げ込んだおかげで、男は助かった。
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