セカワタウスケ 1980年 播磨国安志藩主・小笠原信濃守の家中に、せ河たう介という者がいる。彼は非常に足が速くて、1日に75里(約300km)も走るという。あまりの早さに着けている笠が、帰る時にはちぎれてしまう。
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テング 1991年 石川県 新潟まで仲間と行って、帰りにいなくなった。仲間が置いて帰ってきたら、先に戻っていた。万蔵は、天狗が空に持ち上げて連れて来てくれた、と言った。
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ロウジン,ムジナ 1964年 福島県 夜、さびいしいところを通りかかると、行く手に白いひげの老人が白い着物に麻裏をはいて立っていた。それからは、たった1町の距離をなぜか2時間半もかかったが、おおまがりを通るときその老人がついてきて、痛い痛いと腰をのばしたら、急にその人よりも3尺も身長が高くなった。むじなだろうということである。
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ロウジン 1922年 三重県 ある時少年が行方知れずになり、3日ぐらいしてから呆然と畦道に佇んでいるのを発見された。顔面蒼白で非常に疲労していた。大熱に浮かされて5日ばかり寝こみ、ようやく回復して少年が言うには、夕方老人が現れ、あちこち連れて行かれ、帰ってくる時に今までのことを言ってはならないといって消えたという。それ以来少年は痩せ青ざめ、神経質になり、小学校の算術が出来なくなったと言う。
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カッパ 1953年 鹿児島県 ある青年がヒョイヒョイという河童の声を追いかけ、翌朝その付近を見ると道にたくさんの足型がついていた。また昔飛脚が走っているとヒョイヒョイと河童の声が聞こえ、幾百もの者が追いかけてきて、飛脚はほとんど失神状態になった。
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グインサン 1981年 広島県 ある人が何日も帰らずに西の一本松の方を開墾していたら、大きな坊主が現れ「俺を負うて赤道まで帰れ、帰らんとお前を引き裂く」と言った。恐ろしいので一生懸命に背負って赤道まで行くと、背中から降りて「夜は人間の世ではなくわしらの世だ、お前がおると邪魔になる、俺はぐいんさんだ」と言って去った。その人は家へと帰ったが髪が抜けており、その後病気になり早死にした。
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ハヤブサノフクマツ 1936年 秋田県 昭和8年9月10日、はやぶさの福松という男が悪事を働いた。福松は3人力を有し、1丈あまりの板塀を自在に飛び越え、1時間に4里半も走るという。
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(ゴウリキノオトコ) 1977年 和歌山県 十丈に悪四郎という二十人力の男がいた。毛むくじゃらで、人間かどうかよく分からなかった。悪四郎は力の神である。力を授けて欲しいときは、悪四郎の宮で、五人分の力が欲しいときは一荷の木を一日ずつ五日間、悪四郎の宮に置いてくるという。帰るときは、力が授かっているかどうか確かめるために五荷の木を一度に持ってみるという。
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テングノスケ 1979年 東京都 江戸にいたときに、門人である佐藤寿八郎の紹介で、1日に70里(約280km)歩く人に会う。周囲からは「天狗の助」とあだ名されている。
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カワソ 1975年 愛媛県 正蔵おじが渡りという所の口を通ったら、後からつけてくるものがいた。川の所まで来ると、木にもたれたと思ったら向こう岸に飛んで立った。正蔵おじは逃げてから気を失った。かわその仕業だろう。
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オオオトコノアシアト 1982年 新潟県 昔、能生町の大洞に大男がいて、仙納まで5足か6足で行き、今でもその足あとが残ってくぼ地になっている。
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キジムン,キノセイ 1989年 沖縄県 キジムンは、ウスク、ガジマル海で松明を照らして魚をたくさんとっている。キジムンと仲良くなった人間は、毎朝早起きして夕方まで漁をすると、いつも大漁で富を増やす。しかし、疲れて仕方が無いので人に聞いたとおり木に釘を打ち込んだら、キジムンは慶良間に移った。その後、その人は変わらず懸命に働いたので、ますます繁盛した。
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デング 1957年 和歌山県 村から4,5里離れた宿屋に大男を連れた徳蔵が泊まった。朝になると大男は消えていた。天狗だったのだろう。
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ヨシボッコ 1964年 福島県 よしという男は、町へ使いに出たと思ったが翌朝見るとちゃんといる。よほど足がはやかったとみえる。「米の飯がくいたけりゃうわぐろ掘れ」と言われ、一箇所だけを掘って大穴をつくったことがある。なわをなえといえば、たちまち始末におえないほどつくる。
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テングカクシ 1951年 埼玉県 若者がある日突然姿を消し、天狗隠しだと部落総出で捜したが判らず、半月後にぼろぼろの着物で気が抜けたようになって帰ってきた。夜は天狗と山中を歩き、昼は天狗と寝て、食事は天狗が持ってきたという。
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チヨキチ 1982年 愛知県 三州賀茂郡一の宮村の千代吉は、4歳とはいえ10歳児のように大きく、顔つきや力も大人並みであった。また大人と十分に会話が出来て、およそ子供とは思えない働きをしたという。
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カワウソ 1938年 石川県 ある雪の夜、家路を急ぐ男であったが、いくら進めど自分の村につかない。夜明けを待とうと腰を下ろしていると、すぐ近くで汽車の汽笛が鳴った。それで我に返った男は、自分がてんで見当違いのところまで来ていることに気づいた。
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キュウキ,ビンボウガミ 1973年 埼玉県 文政4年の夏、武家の家の用人が所用の為知行所へ行く途中、草加の宿あたりで40才位のが顔色青黒い痩せた法師と会った。聞けば用人の主家に住む貧乏神で、三代前から用人の家に住んでいて、そのため家は病がたえず貧乏だったのだと言った。驚いていると、私は他所へ移るからお前の主家は借財等も返せるだろうと言う。越谷まで来たあたりで、どこかに行ったのか見えなくなった。
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ビンボウガミ 1991年 和歌山県 貧乏ばかりしているので逃げようとして荷物をまとめていたら、土間で痩せこけた爺が草鞋を作っていた。貧乏神で、ついて行くために草鞋を作っていたのだった。それで逃げるのをあきらめて、それから一生懸命に働いたら金持ちになった。ある夜、爺がまた草鞋を作っていた。家が金持ちになったのでいれなくなり、出て行くために草鞋を作っていたのだった。
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タヌキ,オオニュウドウ 1930年 千葉県 明治30年ごろの小雨が降る朝、青年が人家から4、5丁の山道のソウマンドウ(斃馬を埋める所)のあたりで、向鉢巻の大入道とであい、通せんぼうされた。逃げ帰った青年に話を聞いた家人が見に行ったが、そこには何もいなかったため、狸に化かされたのだろうという話になった。青年は恐怖の余り高熱を発し、数日間寝込んだという。
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