サル 1973年 香川県 百姓が田んぼで仕事をしていたところ、仕事が残ってしまった。困っていると猿が来たので「娘をやるから仕事をしてくれないか」と言うと猿が代わりにしてくれたので、娘を嫁にやった。後に正月か節供に餅を持って里帰りしてくるとき、娘が大きな柿の木の下で柿を取ってくれと猿に頼んだ。猿は柿を取ろうとして下に落ち、溺れて死んだ。娘はそのまま家に帰った。
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サル 1951年 爺さんは草取りを手伝ってもらった猿に娘を上げる約束をし、末娘が行くことになった。娘は猿と爺さんのところへ行く際、猿に臼を背負わせ、自分が餅をついた。橋の中ほどで猿を川に突き落とした。以後ここを通ると猿が来て子供のお守りをしたという。
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サルノヨメゴ 1956年 宮城県 昔、ある家に娘が3人いた。ある年の日照りに、どこの田にも水がなくて困っていると、1匹の猿が来て、「あんたの田に水をいれてやるから、娘を誰か1人くれ」というので父が承知すると、猿は忽ち水をためる。父が猿との約束を心配していると、末の娘が快諾して猿の嫁となる。2,3日後、猿と娘がお舅礼に来る途中、藤の木の前で、父にこの藤の花をとっていきたいと娘が言う。猿は木に登ってとろうとし、娘がもっと先というのにつられ、先まで行った。するとからまった藤のつるが木からはなれて猿は川の中に落ち、娘は無事家に帰ってきた。
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エンコウ 1993年 高知県 猿猴が馬を川に引きずり込もうとした。猿猴とは河童である。けれども逆に馬に引っ張られ、捕まってしまった。猿猴が泣いて詫びるので許すと、翌朝から戸口の鉤に魚が吊り下げられるようになった。ところがある朝、鉤が折れたので、丈夫な鹿の角の鉤に取り替えたところ、翌朝から魚を持ってこなくなった。猿猴は鹿の角が嫌いだからである。
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カッパ,カッパマツ 1914年 茨城県 河童がしばしば村人に災いをなしていた。ある時、農夫が河童を捕らえ松の木に縛り殺そうとした。河童は涙を流して詫び、今後悪さをしないだけではなく、村人を守って水難の一切を除くと約束するので、放した。その後、河童の害がなくなったという。その時の松を河童松という。
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サル 1941年 愛媛県 田の水のことで困っていた老人に、猿が三人の女の子の中から嫁をくれれば水をかけてあげると言った。娘のうちの一人が猿のところに嫁に行ったが、猿をだまして殺してしまい、家に帰った。
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エンコウ 1938年 島根県 淵に猿猴が住んでいた。ある夜住職の夢に猿猴が現れ、淵に鍬があるので取り除いて欲しい」と頼んだ。住職が鍬をどけると、その晩から竹の串にたくさんの川魚が刺してあるようになった。竹の串を金の串に替えたら、猿猴は川魚を贈らなくなり、慈悲深い和尚に薬石を贈った。ある年、関白が病気になった。そこでこの薬石を服用したら、平癒した。
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エンコー 1942年 高知県 猿猴は他の地方で言われる河童である。長岡郡吉野川流域では、夜、舟にイサリを点けて漁に出ると、猿猴がイチマ(女子の人形)の姿になって流れて来て、これを金突くで突き刺すと、人形がほほえんで流れていく。
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エンコー 1942年 高知県 猿猴は他の地方で言われる河童である。夏、泳いでいる子供を深みに引き込んでいど(肛門)を抜くといって恐れられた。輪切りにした鹿の角を紐に通して肌につけると禁呪になる。
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サル 1973年 三重県 猿が人間の嫁をもらった。その娘は長い草履を作ってくれといい、また水瓶を一つ買ってくれと言った。買ってもらった水瓶を猿に背負わせ、長い草履を履かせて、板橋を渡ろうとしたときに娘は長い草履を踏んだ。そうすると猿は転んで、川の水が水瓶に入って流れていってしまった。娘はそのまま家に帰ったという。
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エンコ,カッパ 1930年 高知県 馬を河畔に繋ぎ置いていたら馬が突然駆け引き綱に猿猴がつかまっていた。殺そうとしたが憐みを乞うので逃がしたところ、翌日から謝礼のために毎日魚を持ってきて、木の鉤に掛けた。鹿の角の鉤に代えたら、持って来なくなった。猿猴は鹿角を忌むからである。
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サル,サルムコ 1974年 滋賀県 猿が田んぼに水を入れてくれたので、娘を嫁にやらなくてはならなくなった。娘は猿に茶壷背負わせて川に突き落とした。
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サル 1973年 三重県 大日照りがあったとき、ある人が猿に向かって「娘を嫁にやるから、雨を降らせてくれないか」と頼んだ。猿はその願いを聞き入れた。娘は鏡と茶壺を買ってくれたら嫁に行くと承諾した。そして娘は鏡を、猿は茶壺を背負って行った。猿が川を渡っていたら、茶壺に水が入って猿は溺れて流された。娘はそのまま家に帰ったという。
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ヒョウスンボウ,ヒョウスボ,カッパ,ガタロウ 1999年 宮崎県 河童(ガタロウ)を高鍋ではひょうすんぼう、ひょうすぼという。ある春の雨の夜、高鍋の殿様が水源不足に悩んでいると、堀端の茂みから黒い影がヒュルル…ヒュルル…と鳴きながら出てきた。その夜、殿様の枕元に年を経たひょうすんぼうが3匹出て、夢に水源の場所を教えた。用水路が造られ、以来高鍋でも米が豊かに取れるようになった。
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サルムコイリ 1955年 新潟県 昔、藪の中に猿がいて、三人の女の子の中から嫁をくれれば雨を降らせると言った。娘のうちが猿のところに嫁に行ったが、猿をだまして木から落し、川の中へ流した。
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サル 1977年 福島県 ある老人に娘が3人あった。田んぼに水がないことを嘆いていると、猿が水を入れてくれ、代わりに娘をくれと言った。末娘が猿の所に嫁に行った。節供の里帰りの時、娘は猿に臼ごと餅を背負わせて、桜の枝を取ってくれとせがんだ。桜の木が折れ、猿は川に落ち、流されて死んだ。末娘は家に帰った。3番目の娘は最も頭が良く賢いものだという。
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ガヲロ 1936年 岐阜県 乙姫の病気を治す薬である猿の肝を河童が取りに来た。河童は猿を騙して水中に連れ込むが、殺されそうになった猿が肝は陸に干してきたと言い再び陸まで戻りそのまま逃げた。
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カッパ 1935年 新潟県 胡瓜畑を見回りに行ったら河童がいた。河童を殺そうとしたが、命乞いをするので許した。その晩から、河童は毎晩家の厠の鉤に魚をかけるようになった。けれどもある晩鉤に針金をかけておいたら、それきり来なくなったが、ある晩夢に現れ、五黄という薬を授けた。
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カッパ 1980年 新潟県 お爺さんが仙納の川の河童の手をもぎとった。河童は手を返してもらいたいので、お酒、魚を持ってお爺さんのところへ頼みに行った。お爺さんは、河童に、人が採った魚を横取りしない事を約束させ、手を返したという。
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カッパノヒヤク 1986年 埼玉県 池山と呼ばれる池があった。農夫がここで草を刈っていると一匹の河童が現れ、いたずらを始めた。追っても追ってもいたずらをやめないので、農夫は持っていた鎌で河童の腕を切り落とすと、河童は池の方へ逃げて行った。農夫はそれを持ち帰った。その晩、農夫の家に河童が美しい女の姿で現れ、昼間の行いを謝罪し、腕を返してもらうよう頼んできたので、農夫は腕を返してやった。すると河童はお礼に、切れた腕でも足でもつなぐ薬の作り方を教えて立ち去った。
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