ヤマウバ 1984年 愛媛県 正月には毎年山姥が餅つきの手伝いに来ていた。山姥の餅は家業繁盛の福餅であったが、身なりが汚かったために村人は山姥を嫌い、餅つきの日を変更した。以来、村には天災や疫病がはやり、山姥の祟りであるとされた。そこで姥大明神を創建し、正月三日間は餅断ちをすることにした。
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ロクブ 1984年 愛媛県 暮に餅を搗いていると六部が訪ねてきた。家の者はその六部が大金を所持していたので、殺して金を奪った。その祟りによるものか、翌年の正月は餅を作れなかった。以後、この家では正月に餅を搗くことをやめ、他家から貰って祝うようになった。他家に貰った餅は、一月十五日に餅つきをして返すことになっている。
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ウジガミ 1943年 静岡県 氏神が正月の餅を食って死んだので、氏子は正月の餅を食わない。
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カミサマ 1983年 愛媛県 小西家は三百年の長い伝統を誇る家柄であるが、ここの当主は正月元旦の雑煮餅を食べない。神様が当主の夢枕に立って「小西家は子々孫々栄えるが、当主の寿命は六一歳を越えない」とのお告げがあった。以来当主は年をとらないように正月の餅を食べなくなった。
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ヤマンバ 1985年 愛媛県 正月に餅を搗く習慣があったが、その時になると毎年必ず山から汚い老婆が来て餅を拾うので、村人は餅搗きの日を変えた。すると村不幸が続いたので、「あれは山姥に違いない」と話し合ったという。
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トシノカミ 1982年 新潟県 年の神は年取りの日のお昼過ぎにアキの方から来るといわれ、年取りの用意や正月の神棚の飾りつけなど一切はお昼までに終了することになっていて、昼以降は家の中を掃けない。掃けば年の神も掃き出すからだという。
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オーン 1984年 愛媛県 正月餅を搗いていると、自在をつたってオーン(鬼)が降りてきて餅を取っていった。以来、餅つきを廃止し、自在にはオソレをつけることになった。
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ヤマンバ 1983年 愛媛県 正月に餅をついていると、毎年必ず山から汚い老婆が来て餅を拾うので、村人は餅つきの日を変えた。するとそれから不幸が続いたので、村人はあれは山姥に違いないと話し合った。
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ガガモ 1984年 愛媛県 正月餅を搗いている時に子供がくじをくりだしたので、親が「くじをくりよったらガガモにやるぞ」と脅した。すると本当にガガモが現れ、子供をさらおうとした。驚いた父親が搗いていた餅を投げ与えたので難を逃れた。以来節季の餅つきをするとガガモがやってくるようになったので餅つきを廃止した。
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オニ 1934年 長野県 餅搗きの時に、鬼が人を捕りに来たので代わりに餅をやった。
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コジキ 1984年 愛媛県 正月に餅を搗いていると、乞食がやってきて餅を所望したが、欲深の婆さんが「これは餅ではない白石だ」と言って断った。それ以来、餅を搗くとみな白石に化してしまうようになったので、土地の者は餅を搗かなくなった。
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クビキレウマ 1933年 徳島県 ある大晦日の夜、寺に強盗の一味が押し入った。寺の飼い馬が喧しく鳴いて暴れたので、強盗は馬の首を刎ねた。1年後の大晦日、首のない馬が目撃されたり、凶事が続くので、本寺では元日の鶏鳴を聞いてから餅を搗くようになった。
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タノカミ 1983年 茨城県 正月に居宅の前に竹ざおを軒端より高く2本立て、空臼を3回搗くと天から田の神がそれを伝って降りてくる。お米がないから田の神に降りてきてくださいというわけではないか。
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ヒル 1981年 和歌山県 弘法大師が回ってきて餅を乞うたが、そこの人は「餅をやるから口をあけろ」と言って弘法大師の口の中に火を投げ込んだ。以来そこでは正月に餅を搗くと蛭が出てくるといって、餅を搗かない。
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キツネ 1998年 奈良県 冬の寒かった時、お祖母さんが身ごもった狐の巣に綿を持っていった。翌春、きれいな娘さんがお祖母さんに家を訪ねてきた。けれども、お祖母さんが玄関に出てみると誰もいなかった。不思議に思っていると、玄関の入り口にお盆に載ったお餅が置いてあることに気づいた。狐がお礼に来たのである。
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ショウガツカミサン 2000年 徳島県 正月15日(小正月)の朝に、大晦日に神迎えした「正月神さん」を送る。山分では正月14日夕方に神を迎え、15日の朝に神を送る。
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オニ 1966年 新潟県 昔は鬼が正月にやってきて、12月に帰って行った。鬼が節分にやって来たとき、家の前に箕を置きっぱなしにしていたところ、鬼は逃げ帰った。以来、節分には家の入口の柱に箕や米通しを掛ける。
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トシドン 1990年 鹿児島県 トシドンは正月に餅を持ってくる神様で、真夜中に鈴を鳴らしながらやって来て、声を変えて子供を呼ぶ。前年の行いを改めさせ、餅を配る。
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ネントクサン 1972年 佐賀県 正月の神様は白いひげを生やした老人で「年徳さん」ともいう。頭の長い子供が生まれたりすると「年徳さんのごと」という。年徳さんは明けの方に来られるという。
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(チヲナガスモチ) 1930年 山口県 昔、大晦日の晩、和佐(森野村)の民家に、毛利氏に追われた陶氏の落人が入ってきて、自害したいので家を貸してくれといった。気の毒に思った村人は家を貸し、供養してあげたいので言い置くことはないかと聞いた。落人は正月を待たずに死んでしまう心を汲んで、正月を祝ってくれるなといった。何年かたった後、正月に餅をつき雑煮を作って食べたものがいたが、その餅から血がたらたらと流れ落ちてきたので、それ以来村で正月に餅を食べるものはなくなった。陽暦の正月には廃れてきたが、陰暦では今もこれが守られている。
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