オオカミ 1982年 東京都 電車もバスもない頃、送り狼についてこられた人が「ごくろうさま」を言わずに家に入ってしまった。朝、戸を開けるとまだ外にいた。「ごくろうさまいわなかっただろう」と言われたので「ごくろうさま」と言うと帰っていった。
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オクリオオカミ,ヤマイヌ 1992年 山梨県 人が山中で山犬と会うと「送り狼」となって、その人の後をつけて家の入口まで送ってくれることも再々あった。お礼を言って飯や魚を与えると山へ帰っていく。送り狼は旅狼(渡り狼)の群を避けるために袖をくわえて物陰に導いてくれたりするが、その人が転ぶと野性を発揮し忽ち飛び掛ってくるから、すぐに「やれ、ひと休み」といわなければならない。
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ヤマイヌ,オオカミ 1972年 岐阜県 1920年ごろまでは、山を歩くと山犬(狼)が着いて回ったという。山犬は谷があると山を廻って水を潜って人を待ち伏せする。人は、六尺褌の先に環を作ってぶら下げていくといい。
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オクリオオカミ 1954年 岡山県 人通りの少ない山裾道を通っていると、後からひたひたと音をさせて尾行する怪獣があると言われ、人々はこれを「送り狼」と呼び、必ずその時は後を振り向いてはならないとされている。
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オクリオオカミ 1995年 島根県 月夜の晩、日原からの帰りに、孟宗藪のところを通ると、上の山で何やらかさかさ言って何かが付いてくるが姿は何も見えず、しばらくすると音はやむ。人に話すと、それは送り狼だろうと言う。狼は、足を洗うたらいの音を聞くと、家に入ったと安心して帰るものだという。
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ムラヲスクッテクレタオオカミ 1987年 長野県 ある年,娘が悪者に襲われそうになった時,山から狼が現れてその悪者をかみ殺した。このようなことがあったので,村人達はますます狼を犬神様として崇めた。
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ヤマイヌ 1928年 愛知県 山犬は山の犬ともお犬とも呼ばれる。山村の人が最も恐れていたものであるという。山犬を除けるための呪文がいくつか伝わっている。また、山犬が帰ったときに唱える呪文もある。
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オオカミ 1940年 大阪府 夜道を歩いていると、後ろから狼が付いて来る事がある。その時、後ろを振り返ると、狼が飛び掛って来て食い殺されてしまうという。また、家の戸口を入ってから後ろを向き、労いの言葉を言うと、狼は黙って帰って行くとされる。
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ムラヲスクッテクレタオオカミ 1987年 長野県 昔,大屋のこの村は信濃十六牧の一つで,毎年三歳馬を一定数朝廷に送っていた。ある年子馬が全て狼の餌食となり,怒った村人は山のいたる所に罠を仕掛けた。狼の子が一匹罠にかかったので,夜,狼の群れが村を襲ってきて一晩中吠え続けた。村長がやぐらの上から「狼たちよ,お前達も子が捕らえられれば一晩中吠えるではないか。馬の身になってみよ。ましてこの村は馬を飼わねば生きていけないのだ。これからは野山で鳥や獣を取ることをやめるから村を襲うのはやめてくれ」と叫び,狼の子を放すと狼は帰っていった。以後狼を神様として祀り,安心して馬を飼うことができるようになった。
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ヤマイヌ 1983年 愛媛県 山犬は狼とも違う魔物の一種で、憑かれると人のあとになり先になりしてついて来る。そんな時は「家へ帰ったら豆御飯を炊いてやるから、トギ(供)をしてくれよ」と言うとついて来なくなる。
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ヤマイヌ 1928年 愛知県 狩人が鹿を撃つために山小屋で一夜を明かしたが、退屈なのでつれていた犬をからかって、ウーウーと山犬の鳴き声を真似していた。すると、遠くの山からその声を聞きつけて本物の山犬が集まってきてしまった。どうしようもなく、榾火を大きく燃やして身構えたまま夜明けを待ったという。
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オオカミノオンガエシ 1987年 長野県 昔,この村に小屋久兵衛という人がいた。山へ草刈にいったとき,狼が尾を振って寄ってきた。見ると狼の目にとげが刺さっていたので,抜いてやると尾を振り振り山へ帰っていった。幾日かして,久兵衛が山の草刈り場で一服していると,この間の狼が出てきて久兵衛の裾を加えて引っ張る。引っ張られて大岩の下まで来た時,大鷲が岩上すれすれに飛び去ったので,久兵衛は自分が大鷲に狙われていた事を知り,狼が恩返しのつもりで自分を救ってくれたのだと喜んだ。
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ヤマイヌ 1985年 愛媛県 山犬は狼とも異なる魔物の一種であり、憑かれると人の後になり先になりついてくる。「家に帰ったら豆御飯を炊いてやるからトギ(供)をしてくれ」というとついて来なくなる。土産物を投げつけて助かった者もいる。
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オクリオオカミ 1987年 岐阜県 寺尾ヶ原の山道には送り狼が出た。人間が倒れたら取って食おうと思って後から付いてくる。話者の祖父がつけられて家まで帰り、馬をつないで足を洗った水を捨てようと表に出たらまだ狼がいた。お礼を言われるまでは帰らない。
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タケベラタロウ 1956年 宮城県 昔、巡礼の和尚さんがある村に入ると、1人の娘を真ん中にして家内中泣いている家があった。毎年秋の稔りのとき、向こうの山の神様に若い娘を人身御供として供えねば、田も畠も荒らされる、今年はこの家の番だという。和尚さんがその山の社に隠れていると、夜になって大勢の者がやってくる音がして「あのことこのこと聞かせんな。竹箆太郎に聞かせんな。近江の国の長浜の、竹箆太郎に聞かせんな。」と歌う。和尚さんは近江の国へ捜しに行くと、竹箆太郎とは小牛のようなブチ犬だった。和尚さんは竹箆太郎を連れて帰ってきて娘の身代りに長持の中へ入り、やってきた者たちと対決した。翌朝村人たちが行ってみると多くの猿が死んでおり、針金のような毛をした一番大きな猿が竹箆太郎にのどを深く噛み切られて死んでいた。それからはみんな安心して暮らすことが出来た。
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オクリイヌ,ヤマイヌ 1992年 山梨県 ある日、忠兵衛が上諏訪からの帰途、立沢まで来ると日が暮れてしまった。花戸ヶ原にさしかかると、送り犬につかれた。人家が近い小荒間までくるといなくなったが、それをはずれたらまた山犬がついてきた。谷戸村大芦の入口にある鳩川の橋のたもとで「ごくろうよう」といったら、犬は姿を隠した。
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オオカミ 1965年 兵庫県 昔、ある男が隣の集落に女が出来て通っていた。帰り道、狼がついてきた。狼に頭上を飛び越えられて小便をかけられると、その人は死ぬと聞いていたので、木に登って朝まで待った。そのため、女と別れたら狼も出なくなったという。
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ヨスズメ,オクリオオカミ 1976年 和歌山県 夜、山道を歩いていると、狼が後をついて来ることがある。これを送り狼という。ヨスズメと言って夜道を歩いているとチンチンと雀がついて来るような音が聞こえることがある。これを送り狼の音だと言う人もいる。
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テング 1970年 滋賀県 ある人が晩に竹の棒をつかんで「誰か来おった」と叫んで駆け出して行き、そのまま見つからなくなった。父親が跡を追っても姿が見えず、玄関には草履が揃えて脱いであった。村中の人が天狗に向かって返せと叫びながら提灯を持って探したが、見つからなかった。一週間たっても帰らないので、親類が天狗の好物のうどんを屋根の上にお供えしたら、うどんは食べられていて、男はいなくなった場所にその時刻に帰ってきた。天狗がごきげんを直したのだろうと言われた。
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タヌキ 1992年 奈良県 昔、小さい家に若い男が1人で住んでいた。そこに、毎晩、名前を呼んで訪ねて来る人がいた。けれども戸を開けると誰もいない。ある時戸の隙間から見たら、狸が後ろ足で戸を叩いていた。そこで「こらっ」と言って開けたら逃げた。それからは来なくなった。
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