タヌキ 1970年 高知県 老婆が具合が悪くなったので祈祷師に見てもらうと、憑き物のせいだといわれた。両足を持たせて逆さ吊りにすると、老婆は物凄い力で跳ね除けて家を飛び出し、跳ね返ったと思ったら病気が治った。狸の仕業だったのだろう。
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タヌキツキ 1922年 徳島県 一般に狸が憑くのは本人が狸に悪戯をしたとか、不景気で食べ物が得られぬからという。また憑かれた人は食事の量が急に増したり、嗜好が変わったりする。ある下女が薪刈りに行って一休みし、再び薪を背負うと非常に重くなり、家に帰ってみると家に居た婆さんにご苦労様と言われた。狸が薪に乗ってきて婆さんについていたのである。狸が憑くとまず陰陽師や修験者を頼む。神様の護符を頂かせて祈祷者が退散させるがその時に大抵要求を出す。狸に関する俗信あり。
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タヌキガツク 1991年 高知県 口屋内の野村道恵さんが昔奉公していたときに、近くのお医者さんの家の奥さんが病の床につき、祈禱してもらうと狸が憑いていることが判った。狸は元は町の方の食べ物の少ないところにいたが、子どもが増えてどうしようかと思っており、そこへ通りかかった奥さんをこれは良い家の人だと思ってついてきたところ、その通りだったと言った。狸に憑かれた奥さんは栄養分をうばわれ、狸が落ちたころには元気がなくなってとうとう亡くなってしまった。
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フルダヌキ 1982年 滋賀県 お医者さんの屋敷の裏の竹薮に住みついた狸が、観音様にお参りに行く人にいたずらをするので困る。ある晩、病人のおばあさんに膏薬を貼ってやると、それは観音様の堂の裏に張ってあった。いたずらは続いたが、竹薮は残したので、家は栄えた。
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タヌキ 1983年 香川県 病人が出たので祈祷師を呼んだ。女だったので夜は泊まった。夜中向こうの方で提灯の火が見えた。祈祷師は、自分が拝んで消えれば狸、消えなければ人だと言った。拝み始めると灯は消えた。
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キツネ 1926年 鳥取県 子供が発熱して苦しんだ。医者は感冒と判断したが、役行者が拝むと、狐が憑いていた。狐のいうとおちにごちそうを裏口に置いたら治った。
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タヌキ 1940年 大阪府 村のある家の嫁が婦人病で悩まされた。巫女が占うと、村の油屋に棲む狸の仕業だという。そのため、家人は狸を家に祀り、供物を与えた。すると、嫁に憑いた狸が家人の前に現れ、しきりに食物をねだる。あまりにも大食のために、家人が狸に食って掛かった。
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キツネ 1968年 佐賀県 昔は法印は、病人の原因は狐が憑いているのだといった。大工をしていた人で憑かれ易い人がいて、酒を飲んで隣村から帰って来るなどすると、憑かれることが多かった。落とすには湯立てをして、笹の葉で湯を撒くと、狐が湯に入れられると思って出て行く。また、憑かれた人の上に刀をぶら下げて、それを矢で射ると憑かれた人は飛び起きて走り出し、倒れると狐は落ちている。祈祷の最中に狐が「○○に憑いてくれ、と山で頼まれた」などと言うこともある。狐の好物は鼠の蒲焼と小豆飯。
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タヌキ 1975年 愛知県 60年ほど前に、あるところに古い狸がいた。時々取り憑くので祠に祀ったが、あまり祀らなくなったので怒ってまた人に取り憑きはじめた。ある人がお産をし、ある晩、その尻を見た狸がこれに取り憑いた。その人はとても弱くなったので、皆で祈祷した。心経を千巻読むことにすると、30巻くらいで狸が「千巻くらいでは出て行かない」と言った。3日目に三千経ではどうかと言うと、「帰ってもいいが祀ってくれ」と言った。お祀りすると、病人は治ったという。
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ツキモノ 1991年 愛媛県 昔はよく狐・狸・蛇・人が憑いたといっては御祈祷衆を頼んだ。それでも治らない場合は宿毛の拝屋まで行く。しかし今の人はそれには頼らず、医者へ行く。
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キツネ 1982年 東京都 子供がけがをしたので拝む人を頼んだら狐がやってきて憑いてしまった。狐はたかるのではなく頼ってくる。また人を頼んで拝んでもらい、狐を出した。その狐を放り出すわけにもいかないので、屋敷神にまつった。
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タヌキ 1985年 徳島県 ある婦人が里帰りし、土産に赤飯を持って帰る途中狸が憑いた。帰って来て一切口をきかないので親戚が集まって拝んだが効き目がなく、医者に見せた。医師は精神病と診断し、電気ショックをかけるように指示した。するとすぐ普段の通り喋り出した。狸は電気が怖いのだろうということになった。狸は祭土産の魚や食物によく憑くという。
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タヌキ,イヌガミ 1930年 高知県 犬神憑きや狸憑きの病人がある時は、部落民多数が不意に病家に立ち入り、鐘鼓を鳴らし、発砲して、終夜百万遍題目を唱えて祈祷し、全癒を祈る。
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キツネツキ 1954年 山形県 27歳の未婚女性が狐に憑かれた。行者とその弟子が4時間半かけても狐は落ちなかった。再び祈祷を始め、般若心経を経文の末尾から繰り返し読み、狐憑きに向かって四方から矢を射続けた。すると狐が落ち、女はまもなくすっかり元気になった。
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ヤクジン 1976年 東京都 天保8年2月下旬、次女の乳母が日暮れに急に寒気立ち、夜着を被って打ち伏せていたところ、翌朝になり、昨夜より風呂敷包みを背負った男が側にいると言った。これは疫神かと、種々の札を枕元に掛けたところ、男は立ち去ったといって全快した。ところが上野の祭礼に主人とせがれとで行ったところ、急に歯が痛くなり、家に帰ると治った。すると乳母が再び寒気を訴えた。そこで刀を抜き乳母を峰打ちにしたところ、男がすぐに立ち去るので、障子を開けて欲しいと言った。障子をあけると乳母はそこで倒れたが、そのまま起き上がり正気となった。早く塩をまいて箒で掃き清めよ、と言った。
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タヌキ 1985年 高知県 狸に憑かれた人の周りで百万遍をやっていた。数珠の麻草が切れたと思ってら、病人は外に飛び出して倒れた。以来病気がなくなった。
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タヌキ 1979年 徳島県 昔、ちょんころ狸がきれいな着物が欲しくて、それを買った女性に取り憑いた。お遍路さんが通りかかり、祈祷してなおしてもらおうと、御祈祷の紙でその人の手を焼き、三日間あぶり続けたが火傷すらしなかった。どうすればいいのかと問うと「小豆ご飯が食べたい」と言った。判ったと答えると、その人は窓から飛び出して狸憑きから逃れられた。後で藪に小豆ご飯を持っていったという。
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タヌキ 1979年 徳島県 狸が芋畑で荒らしたので、捕まえて木に縛り付け、叩き殺した人がいた。するとその嫁に狸が憑いて、気が触れ、縛られていた木に日参するようになった。次の代の人にも、その次の代の男の子にも祟り、棟の上を走り回ったりした。坊さんに拝んでもらったが利き目がなく、結局土地を離れた。
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タヌキガツク 1991年 高知県 狸に憑かれた人がいて、お祭でオキの方の狸に憑かれた人とこっちの人があって、その憑いた狸がオトモドイ(兄弟)だったとかいって、連れ立って行ったとかいう話があった。その人はご祈禱して治ったという。
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キツネ 1940年 滋賀県 男が山へ栗拾いに行った。ところが、狐の穴の周辺に落ちている栗を拾ったことで狐に憑かれてしまった。そこで、餅と鰊などを持っていって狐に詫びたところ、治ったとという。
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