イザリガミ 1924年 奈良県 道中空腹で一歩も歩けなくなるのはイザリガミにつかれたからである。このようなときは指で掌に米の字をかいてなめると良い。宇多と吉野の郡界にイザリガミの石像がある。地方の人は空腹の時にはこの前を通らないようにしているという。
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ワタボトケ 1927年 愛知県 峠にワタ仏というたくさんの石仏が祀ってあり、あらかじめ麓の村で十分に食物を取らないと、峠に差し掛かったとき、空腹で動けなくなると言う。
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〔ダリボトケ〕 1943年 愛知県 振草村大字下粟代から神田へ行く花丸峠には行き倒れを埋葬したダリ仏という墓石がある。空腹の旅人がその前を通ると急にだるくなり足が痺れ顔が青くなって倒れる。
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ヤマノカミサン 1929年 岩手県 峠の上の鳥居にたくさんの石があり、峠を上り下りしたい人は石を二つそこに供えると、楽に進むことが出来る。堂も祭もないが、ヤマノカミサンと呼ばれている。
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ジキトリ,ツキガミ 1985年 愛媛県 旅をする時、特に峠を越える時はジキトリにつかれて空腹で倒れるので、旅立には必ず豆ご飯を食して立てと語られている。
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ガキドウ,ガキ 2003年 山梨県 巖道峠の下にあるもう一つの峠に飢え死にした乞食の葬った所がある。そこで、ガキドウ(餓鬼)に憑かれたら、食べ物を藪に投げればよいといわれる。秋山村安寺沢の石宮に油揚げを捧げて登山すればこの災厄を避けれられるともいわれる。
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ヒダリガミ 1942年 高知県 山路で急に空腹を感じて、冷や汗が出て歩けなくなるのがヒダリガミと呼ばれるものである。吾川郡大崎村峰岩戸では、飢えて死んだ人の性根が憑くもので、何でも取って食べると治る。
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キカツケツ 1925年 和歌山県 山中に深い穴がいくつかあって、それらを飢渇穴と呼ぶ。穴を覗くと、飢えや渇きを感じるようになる。
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ヒダルガミ,ヒダルゴ,ダリガミ,ダリボトケ 1956年 山の峠などで行人に飢餓を感じさせる悪霊を、近畿地方の一部やその他の地方で、ヒダル神,ヒダルゴ,ダリガミ,ダリボトケといい、その状態を「ダリにつかれる」などという。山路を通る者が急に空腹疲労を感じて動けないのは、この目に見えない霊怪の仕業と信じられている。これらは、かつてそのあたりで餓死した者の亡霊がそこに留まって行人を悩ますのだという。何か食べ物を半分食べてその残りを捨てれば、その飢餓状態は恢復するといわれる。
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ヒダリガミ,ヒダル,オサバイサマ 1942年 高知県 山路で急に空腹を感じて、冷や汗が出て歩けなくなるのがヒダリガミと呼ばれるものである。吾川郡上八川村、土佐郡森村ではヒダルと言い、森村では呪禁としておサバイ様の前を通る時に木の枝や木の葉を供えていくと良いと言われている。
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ヒダリガミ,ヒンド 1942年 高知県 山路で急に空腹を感じて、冷や汗が出て歩けなくなるのがヒダリガミと呼ばれるものである。幡多郡橋上村楠山ではヒンドと呼んでいる。
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ガキアナ 1926年 和歌山県 餓鬼穴という深い穴があり、旅僧がこの穴を覗いたところ、にわかにひだるくなって飢えを起こした。
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ダラシ 1920年 長崎県 千々石から島原へ向かう古道、平石の道中にあるノトンの坂付近では、昔からダラシが憑くという。あるときノトンの坂と反対にある平石と魚洗郷との間の坂(名称不明)の山道で男が腹を押さえて座っているのを見かけた。弁当を食べさせるとすぐに元気になった。弁当は一口二口食べさせて残りは藪の中に捨てた。ダラシに憑かれたら何でもよいから食べ物を食べて残りを付近に捨てると離れるという。また、食べ物がないときは、手に「米」という字を指の先で書き、嘗めると元気になるという。これらは昔旅人が餓死し、それが祟るためだとされる。あるいは平石観音の下の辺りで何人かが首を吊っており、それが祟っているという話もある。
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ヒダリガミ,ガキ 1942年 高知県 山路で急に空腹を感じて、冷や汗が出て歩けなくなるのがヒダリガミと呼ばれるものである。幡多郡十川村、大正村、香美郡在所村ではガキと言う。
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ダラシ 1920年 長崎県 平石越のノトンの坂の辺りは、遠い昔、旅人(落人とも)が餓死したと伝えられる。その霊魂が土に留まって通る者に憑く。十分腹ごしらえをして、握り飯を持っていき、そこを通るときに1つは自分で食べ、残りをそこいらの藪の中に投げてやれば祟りもなく無事に山を越えることができる。
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ダリ 1981年 和歌山県 腹が減っているときに峠や山を通るとダリに憑かれて動けなくなる。手のひらに米と書いて飲むふりをすれば助かる。
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カミ,アシアト 1987年 広島県 岩に人の足跡と馬の蹄に似た窪みが付いている。神さんが通った時に落ちている米を食べるために降りた跡だという伝説がある。
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(コウボウダイシノツエ),ミナモトヨシイエノツエ 1967年 福島県 泉から湯本に通じる花立峠に枝垂栗というのがある。昔、弘法大師がここを通った際に、杖にしていた栗の木を逆さまに挿したものが根付いたと伝えられている。また、今ある栗の木はそれとは別で、源義家の杖であったもので、愛馬の墓標であるとも言われている。
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ダル 1977年 和歌山県 三川から富里へ越えてくる峠で、空腹を我慢していた人が死んだ。その人の霊がダルになったのだという。峠を越す前には、必ず物を食べた。
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ダリボトケ,ダリカミ 1927年 愛知県 数年前、峠で男が空腹を覚えて倒れた。そのとき、ダリ仏の祠にそなえてあった蜜柑を食べたところ、元気回復した。
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