ダイジャ 1991年 愛媛県 ある家の年頃の娘に、柳の主の大蛇が魅入って通った。親は柳を焼き討ちした。柳は臭い匂いと奇妙な煙を出して僧都川へ焼け落ちた。川下の酒屋が数日後、この大蛇の骨を川で拾ったので神棚に祭ったところ、この店は大変に栄えた。
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モロハクノサケ 1949年 山梨県 小左次という孫が薪を売った金で酒を買って爺に飲ませていた。ある日山奥で孫が清水を飲んでみると、その水は酒で、大変喜んだ。この評判がお上に知れ、孫は「小左次の涙酒」という銘をもらって酒屋をはじめ、大いに繁盛した。
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ウマ 1967年 福島県 昔、ある武士が娘と一緒に住んでいた。武士がある日狩りに出かけて何日たっても帰ってこなかった。娘は自分の家の馬に、父を探してきてくれたら嫁になってやると言ったところ、馬はどこかに走って行き、夕方になって武士を背に乗せて帰ってきた。それから馬は変ないななき声をたてるので、娘に聞くと娘は今までのことを話した。父親は怒って娘を島流しにした。それを知った馬は彼女のあとを追って行方不明になったが、やがてすごすご帰ってきた。それが駒帰り、今は駒ヶ嶺となった。
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ヘッピリヨメゴ 1956年 宮城県 屁っぴり娘が年頃になり嫁にいったが、屁をこらえていたので顔色が悪くなった。心配した姑が話を聞いて、「心配せず屁をたれろ」と言ったので、嫁は「炉ぶつにつかまって」と言ったので姑は言うとおりにした。嫁が屁をやらかすと姑は向い山までふっとんだ。腰をさすりながら帰ってきた姑に追い出されて、嫁は実家にも戻れず、街道をずっと歩いていた。途中木綿屋の前で木いっぱいになった梨を落とせなくて困っていた。嫁が全部取ると言うと、木綿屋のおやじが「取れるもんならとってみろ、とれたら反物をうんとやる」という。嫁が屁をやらかすと梨は大風にあったようにすべてもげた。約束どおり反物をいっぱいもらい家に戻ると、姑ガガも喜び、「お前の屁はそんなに役に立つのなら家にいろ」と嫁はまた家に戻れたという。
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ヘビムコイリ,マショウノコダネ 2001年 青森県 弟子が皆逃げ出してしまうような鍛冶屋のもとにある若者がやって来た。鍛冶屋は、逃げられまいとして、一人前になったら娘の婿にしてやると言って弟子にしたが、その働きぶりが余りにも良いので、次第にただ者ではないと思うようになった。そこで、若者が暇をもらって帰るときに跡をつけていくと、山中の岩窟へと入っていった。中の会話を聞いていると、子胤は置いてきたと言う若者の声に、別の声が、子胤は八皿酒を飲むことで堕ろされてしまうだろうと言っていた。そこで、鍛冶屋は帰って娘に八皿酒を飲ませた。
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〔オフエタ〕 1956年 宮城県 真野長者に美しい一人娘と、何でも動かせない大牛がいた。蝦夷征伐に来たやんごとない身分の人が泊まり、草刈三平と名乗って住み込み、娘を愛し、牛を軽々と牽き、頼母山で草を刈り、妙なる音色の笛を吹く。その後いつのまにか三平は姿を消す。のちに田から見事な笛が出たので御笛田と呼び、馬もいれず金肥を用い、不浄を忌む。
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ヤキカブジンシロウ,エメコヅチ,エメコブクロ,メドツ 2001年 青森県 蕪焼き甚四郎のもとに長者の娘が嫁入りしたが、甚四郎の家には何もなく、米を炊こうとしても米がなかった。嫁は何かを売ってこさせてお金を作ろうとしたが、何度物を持たせてやっても、甚四郎は金も作らず米も買わずにただ帰ってきてしまった。3度目には、金は作ったものの、甚四郎は、ある日、子供たちが鷹を折檻しているのを見てそれをを買い取った。すると、その鷹がめどつ(河童)に襲いかかったが、これを放してやると、えめこづち、えめこぶくろという宝物をくれた。甚四郎とその妻は、その槌を振って大きな家を建てたり、米倉を出したりした。
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キツネ 1986年 茨城県 老人が狐を助ける。その晩狐が若い娘姿で家を訪れ、息子と結婚し子を成す。ある日子が鷲に攫われそうになり、狐は正体を知られ山に帰ってしまう。だがその後も人知れずその家の田畑を耕した。この狐を祀ったのが女化神社で、神社の砂を田畑に撒くと作物がよく実る。
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タヌキ 1933年 愛知県 老爺が経営する茶屋に、善光寺参りの婆が訪れ、一泊した。3、4日経って再び現れた婆に、老爺が酒を飲ませたところ、眠気を催した婆が本性を出した。それが狸であったので、生捕りにしようとしたが、助太刀を呼びに行く間に逃げられた。
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キツネ 1965年 兵庫県 男が酒を飲んで帰り、墓ぐちの坂道に通りかかったら、座敷で三味線を弾いて酒盛りをしていた。その家から友達が出て来てあがれあがれと誘い、草鞋の紐を解こうとするが、断って帰った。はて、あそこに家があるはずがないと思い振り返ると、家は消えた。「われにあほにせられんぞー」と怒鳴り、家に帰った。この家も狐が化けているのではと用心し、かかと娘の尻に尾がないのを確認して、ようやく家に入った。
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キツネ 1976年 開成4年秋、村より馬で出た。夕暮れに婦人に出会い酒をすすめられたので飲んでいた。そこに犬を連れた猟師が来た。すると婦人は狐になった。手中に酒をみると髑髏酒になっていた。
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オシラサマ 1956年 宮城県 長者の娘が馬と恋に落ちて、長者が馬を殺してその皮を外に晒すと、その皮が娘を捲いて飛び去り、やがて蚕となって桑の木の上に降って来る。
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ミソチョウジャ 1928年 兵庫県 貧しい夫婦のところに、痩せ細ったみずぼらしい旅の坊さんが一夜の宿を求めてきた。夫婦は食事すら差し上げることができないからと断ったが、坊さんがそれでもいいと言ったので、夫婦は快く泊めてあげた。翌日、坊さんは家を去るときに何かを念じながら庭にあった古い瓶の周りを廻った。瓶の中には味噌が入っており、それはいくら使ってもなくならなかった。夫婦はそれを売って味噌長者と呼ばれるほど富裕な暮らしができるようになった。
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ヘビ 1931年 長野県 昔、大きく商売をしている酒屋があった。その家の床下には大きい蛇がいて、家の守り主だったが、殺してしまった。1年ほどのち、家の息子が天井からぶらさがっている蛇に驚き、酒の中に火を落とし、その火で焼死した。以後酒屋は衰えた。
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シラネズミ 1978年 静岡県 本市場の酒屋に白鼠がでる。この家は当所貧しかったが、白鼠が出るようになってから富はじめたという。
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ホシノタマ 1956年 宮城県 元気な爺さまがいて、「俺は絶対に騙されない」といばっていた。あるとき山に木を切りに行くと、林の中にいた狐が爺を見て逃げていった。なおもそれを気をつけて見ていると、美しい娘になって爺をだまそうとするので、「化かすのもたいがいにしろ」と怒ると、狐の娘は涙を流しながら「言うことは何でも聞く」と許しを請うた。爺は「狐が持っているというさまざまなホシ(宝珠)の玉のうち、金の出るホシの玉をくれたら許す」というと狐は口の中から玉を出し、「3べん撫でると小判が一枚ずつ出る」と言った。試すとやっぱり出たのでのこぎりをしょって山を駆け下り、村の酒屋に行って五升も飲んだ。「今までの分もとっとけ」とホシの玉から小判を出して番頭に渡すと、ナラの葉っぱであり、ホシの玉もよく見るとナラの葉をまるめたものだった。いくらいばってもこの爺もうまく騙されたということだ。
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オニ,ウチデノコヅチ 1915年 和歌山県 昔、継母が娘を憎み、底の抜けた籠を渡して林の中へ木の実を取りに行かせた。日が暮れても籠が満たず泣き、遠くに見えた家を訪ねた。家には老媼がおり、鬼が来るというので床下に隠した。鬼が帰ってきて娘を見つけ食おうとしたが、事情を聞いて涙を流し、振ると銭が出る打出の小槌を与えた。娘が継母に小槌を与えると継母は喜び、以後実子と同様に扱うようになった。
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オニ 1931年 長野県 昔、美しい娘が鬼にさらわれた。15、6年たって娘の父親が岩屋で子供をつれた娘を見つけた。父親は娘とその子を連れて船で逃げようとしたが、鬼が海水を飲んだので引き戻されてつかまりそうになった。子供が鬼を笑わせたので、鬼は水を吐き出し、船は沖に出た。
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キツネ 1949年 福島県 一人の男が田圃を耕していると、きれいな女性が来て腹が痛いといって泊り込み、ついに夫婦となった。三人の女の子が出来た。あるとき、油断をして白い尻尾を見られて、悲しんで山に逃げ帰った。夫が小さい子を連れて乳を貰いに山にいき、家に帰るように懇願した。しかし、家には帰れないが、稲と鉏を田圃に置いておけば手伝いをしてあげようといった。そのとおりにすると、苗の植付けは終わっており、秋にはよく実って、男は金持ちになった。
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キツネ 1967年 茨城県 村の親父が美しい女と出会い、一緒に歩いていった。一休みしていた時、様子が変だと思って吸っていた煙草を娘の大事な所に投げると、娘は叫んで狐となった。娘の顔は狐の尻尾で、大事な所は口だったのだ。
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