カ 1932年 奈良県 昔、人間の生き血を好んで吸う天皇がいた。そこで皇太子は天皇を生駒山の岩屋に閉じ込めた。半月後皇太子が岩屋の戸をあけると、幾万とも知れない蚊が飛び出してきた。そのため大和には蚊が多いのである。
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モミ 1983年 秋田県 森吉山にいるイモリに似たイモリより少し大きな虫。山中の草深い所に住み、人が昼寝などしていると体に入って精液を吸い廃人にする。寛政4年の夏、ある藩士が山に登った時、配下が捕って来て見せたという。火を焚くと集まるともいう。
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クモ 1975年 蜘蛛が人に化けて、源頼光をたぶらかそうとした。これを大きな穴の中で捕らえたところ、その長さは4尺ばかりであったという。古くは、世を逃れて山中の岩穴に住み、乱暴で道理に反し、王化に服さなかったものを土蜘蛛と称したが、それも故のあることだ。
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ヘビ 1974年 宮崎県 阿州の二宮久太夫が日向国で宿を求めたところ、ある家に泊めてもらう事になった。しかしそこの亭主は病んでいて、首に細い2匹の蛇が巻き付き、その傍らに18、9歳の女2人が双六をしていた。主人が言うには、この蛇はこの女の執心で、1人が怒れば1匹の蛇が首を絞め、2人が怒れば2匹とも絞めるという。翌朝その家を出た久太夫は、お礼を言おうと数日後に戻ったところ家はなく淵になっていた。里人に聞けば、地震や風雨によって無くなったという。
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シロヘビ 1931年 栃木県 昔、身分卑しからぬ武者が落武者となり、家来とともにある家で一夜の宿を求めた。その晩、武者は白蛇が自分に向かってお辞儀をするという不思議な夢を見た。次の日、村はずれまで来たときに目の前に蛇の形をした丘があったので、ここに城を築いた。これが大田原城である。
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オニビト 1922年 静岡県 住職が難病で苦しんでいた。膿血を吸い出せば楽になるので、小僧に命じて時々吸わせたところ、小僧は肉の味を覚え、鬼人となって近隣の山に住み、往来の人を捕えて喰うようになった。その後、貞観年中に在原業平が東国に下向した際、地蔵尊に祈念し鬼人を降伏した。
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オニ 1968年 宮城県 お不動様が鬼首に入ろうとしていた鬼を殺して焼いた。その灰が蚊になって今でも人の血を吸う。
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フシギナジュツ,バテレン 1937年 奈良県 大和郡山の城主は白狐を捕らえて殺した。夢に白狐が出て成仏できるよう祀ってほしいと哀願したが聞き入れなかった。そのためその狐が祟って、城主は参勤交代の折に発狂して狐の真似をしたので、家名断絶となった。
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ジャシン,チンマ 1943年 岐阜県 日和田の豪家原家にチンマという下婢がいた。よく働き料理の腕がすばらしく、そのうえ美人であった。チンマは杣人の小三郎と恋仲になり、村人に羨ましがられたが、あるとき突然姿が見えなくなった。「チンマが洗い物をしていた流しの下に蛇の骨が積まれていた」「蛇のだしをご馳走に入れていた」などのうわさが流れ、チンマは蛇身であることが見破られて姿を隠したのだということになり、着物に糸を通した針を刺しておくと糸が池の原の雌の池に消えたので、その池の主であるといわれた。
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ヘビ,ダイジャ 1936年 鳥取県 五百年程前、若桜の城に矢部山城守がいた時、根安橋の上の淵に大蛇が住んでいて、道行く人を騒がせた。それが殿様の耳に入り、その家来の武士が退治しようと淵に出かけた。幾日も待ったが現れず、「もしいるのなら姿を見たい」と言うと、小さな蛇が現れた。この蛇に切りつけると、淵はにわかに湧き立ち、水は朱にそまり、大蛇があばれた。死体は長さ十四間もあった。
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イジュウ 1974年 京都府 延宝年間のこと、京の南にある吉祥寺村で、吉祥天女のご開帳があるというので、近隣の村々から六斎念仏を行う者が多く集まった。その彼らが打つ鐘や太鼓の音を恐れたのか、怪獣が出てきて、ある百姓の家の縁の下にかけ入った。それを生け捕りにすると、顔は狸に似て、鼻から額まで黒く、うなじは白い。さらに背は黒く、腹は白く、徳利のような丸い尻をしており、尾はなくて前足はモグラのようで、後ろ足は長く犬のような獣だった。餌は串柿だけ食べたという。
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カシワ 1984年 山梨県 中道町の滝戸山の仏沢のカシワの巣という洞穴には、カシワという怪物がいて、きれいな娘の姿に化けて葬式の死体をとって食べた。ビイゲ院の住職のもとにカシワが来て、明日の葬式の仏をくれという。住職が断ると力ずくで持って行くと言い、立ち去った。翌日葬式をしていたら、カシワが死体を抱えて宙に逃げたので、住職が印を結んだらカシワは山に落ちた。それからカシワはいなくなったという。
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シュテンドウジ 1995年 宮城県 大江山酒呑童子のことは、学校で教えられた。舞鶴の奥、大江山に入って悪いことをしていた。歴史的には、朝鮮人の海賊が山に陣取ったのをそう言ったのだと思う。それを頼光ヒデジとか言う人が退治した。その血が蚊や蛭になったという。
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キンペイダヌキ 1986年 愛媛県 大阪に惠原屋金十郎という人がいて、ある日修験者が泊まったが、主人の様子がどうもおかしいので風呂を覗くと、金十郎は狸であった。勘付いた金十郎は自分が、伊予の惠原在大宮八幡の大柏に住む金平という狸であると明かし、郷里の人に、大阪に寄ったらぜひ恵原屋に寄るように伝えてほしいと頼んだ。修験者が伝えると一段と信者が増えた。
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ヘビノコヲウム 1956年 宮城県 昔,この地方に母娘が二人で住んでいた。毎晩のように娘のもとに美男の若衆が忍んで来るが,何処の誰かわからない。どうも化生のものらしい。母の言葉に従ってこっそり長い糸を針で袴の裾に縫い付け,翌朝二人で糸を辿っていった。糸は裏山の大木の所まで続いており,根元の穴から呻き声と「俺が死んでも,子供を千疋つくったから未練はない」という言葉が聞こえた。驚いた母娘が和尚の教えに従い,菖蒲と蓬の湯を沸かして娘を入浴させると,娘の体から千疋の子蛇が出てきた。若衆は蛇の正体を現して死んでいたという。
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ビョウマ,キツネ 1992年 宮崎県 文政年間のこと。ある人の娘にとり憑いた病魔を本行という僧が取り払い、伊良原地蔵に移したと言って人々を参詣させた。修験の金剛院が加持すると、それは狐憑きであったので、愛染明王の蟇目ひきめの法で狐を追い払った。
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ハチ,クモ 1977年 東京都 東武深川の本誓寺という寺の和尚がした話。ある夏、蜘蛛の巣に1匹の蜂がかかった。蜘蛛と蜂はたたかったが、蜂は逃げのびた。すると、蜘蛛は池の蓮の葉を糸で巻いて袋のようにして、中に入ってしまった。しばらくすると、数万の蜂の大群がやって来て、蜘蛛の入った袋をさんざん刺し、しばらくして散っていった。蜘蛛は刺されて死んだかと思いきや、袋の中で無事であった。
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カイチョウ,テング 1920年 兵庫県 鉄砲名人の藤太郎は、領主に賜った金銀の弾丸で怪鳥をうった後、謎の病にかかり有馬温泉へ入湯した。隣の部屋の足の悪い客人と四方山話の最中、藤太郎が鳥のことを話すと、客人は怪鳥へ変わった後大天狗になって睨みつけた。数日を経ず藤太郎は死んでしまった。
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シュテンドウジ,イバラキ 2001年 京都府 正暦3年3月26日に大江山に登る。鉄門があり、酒田公時が打ち破る。都から持参した銘酒を鬼に飲ませる。酒呑童子は肴に人間の腕を取り出す。酒呑鬼は17、8歳に見える美男であった。酔って奥の一間に入り、正体を顕して寝入る。丈は9尺8寸もある。各々声をかけ目を覚まし、一言王の怨みと言い首を打った。その頭は天に飛び上り、頼光の頭に食いつく。渡辺綱は茨羅鬼の部屋に入る。茨羅鬼は綱の姿になる。大勢押しかけたがどちらが本物かわからない。頼光が都の綱には額に痣があるといい、急に眉間の上に痣の出たほうを退治した。外の鬼も撫で
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テング 1950年 埼玉県 弱虫の男が日和田山の金比羅神社に住む天狗に毎晩願を掛けた。九日目に天狗は男をいろいろ驚かそうとしたが、男はがまんした。夜が明けると男は力持ちの豪傑になっていた。
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