カミガクシ 1964年 福島県 夜、裏の洗い場に行った娘がふと姿を消した。生死のほどもわからない完全な失跡であった。何年もたって完全に忘れ去られたころ、村のある人がある所で成人したその女に会ったという。何か話ししたとかどうとか、けっして今の私に会ったことを語ってくれるなといったとかいわないとか。
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コトノネ 1961年 山梨県 琴川の辺にひとりの美女がすんで、琴をひいていた。ある年の夏、長雨が続いて水かさが増し、裏山が崩れて美女は家もろとも押し流され行方不明になった。その後、川から幽かに琴の音が聞かれ、琴川といういようになった。
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ヤマノカミ,ヤマビト 1915年 青森県 農家の娘の気が変になり、山の神へ嫁に行くのだと言うようになった。用心していたが、ある日家人の目を盗んで家を出た。追いかけたが、ついに田代岳に入って見えなくなった。
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キツネ 1938年 長野県 お爺さんが寄る遅くに家に帰る途中、知り合った人と酒屋に寄るが、店を出るとその人は消え、あたりは原っぱになっていた。
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ヤマノカミサマ 1928年 鹿児島県 勝浦というところで、美しい娘が行方不明になった。娘の着ていたものはみつかったが、その姿を見つけることはできなかった。3年後、父親が山の中で娘とであった。そのとき娘は「山の神様と結婚して幸せに暮らしています。それで永久に村へ帰ることはできません」と言い、走り去ったといわれている。
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オンナ,キシ,ヤナギ 1974年 近江国信楽に住む人が神社に参詣しようと船で川を下っていたら川岸に美しい女がいた。船を岸に着け女のいた柳の所へ行ったが女の姿は消えていた。
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オンナ 1957年 和歌山県 村の医者が夜、久木から往診の帰りに単車を走らせているとシオツの辺りで前を女の人が歩いていた。曲がりくねった道だから一度は見失ったが再び見つけた。いくら走っても追いつかなかった。そのうち女の人はふっと消えた。
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ウマ 1967年 福島県 昔、ある武士が娘と一緒に住んでいた。武士がある日狩りに出かけて何日たっても帰ってこなかった。娘は自分の家の馬に、父を探してきてくれたら嫁になってやると言ったところ、馬はどこかに走って行き、夕方になって武士を背に乗せて帰ってきた。それから馬は変ないななき声をたてるので、娘に聞くと娘は今までのことを話した。父親は怒って娘を島流しにした。それを知った馬は彼女のあとを追って行方不明になったが、やがてすごすご帰ってきた。それが駒帰り、今は駒ヶ嶺となった。
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オウムイシ 1975年 愛知県 三河国馬伏村の山間で、農家の女が草を摘んでおり、連れに「もう帰ろう」と言ったところ、石面からも同じく「帰ろう」という返事が聞こえたので、大いに驚き逃げ帰った。
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ヤマノモノ 1983年 岩手県 大勢子供がいる家族の娘が、桑刈りの合間に行方不明になった。それから何年もした風雨の激しい日に娘は帰ってきた。何年も山で暮らし、髪も顔も山の者になっていた。家族は味噌汁など作って歓待したが、娘は「辛くて食べられない」と泣きながら山へと帰って行き、山で山の者として暮らした。
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カミカクシ,テング 1968年 福井県 母が田の水を見に行っている間に3歳の女の子がいなくなった。探したら、幼児ではとても渡れない丸木橋の向こうで見つかった。天狗にさらわれたのだろう。
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カミノタイワ 2001年 青森県 家を出た娘は、高砂の爺婆に似た老夫婦と同居することとなった。すると、不思議なことに娘の乗ってきた牛が蕪を引き抜いた跡から酒が湧き出した。娘らは店を出すことにしたが、それは酒が美味いのと娘の器量が良いのとで繁盛し、忽ち大酒屋となった。一方、娘と離縁した男は、すっかり零落してしまった。
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カミカクシ 1915年 岩手県 農家の娘が、物に取り隠されて見えなくなった。死んだものとあきらめていると、ある日田の掛け稲の陰にこの女が立っているのを見た者がいた。そのときにはすでに気が荒くなっており、たちまち去ってしまい、ついに帰ってこなかったという。
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ヌマノヌシ 1977年 福島県 炭焼きに行った美しい娘が、毎晩沼で水浴びをしていた。沼の主が娘に惚れ、あるとき娘の足を引っ張って持って行った。主が食ってしまったという。沼には何かしら主がいるというが、沼が乾いてしまったので、主は後ろの山を越えて行ってしまったという。
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オンナ 1921年 岩手県 美しい娘が桑の葉を摘みに裏山へ行ったまま、行方不明になった。旅の行者は、娘は水性の主に嫁ぐ運命で、閉伊川の岸にある腹帯の淵の主の許へ行き、女王になり、1年に1回は会いに来るだろうと言っていた。この家は、大天馬という氏神を祀る祠がある。九月の祭日の前夜には必ずこの娘が戻ってくるという。
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イタチ,オンナノスガタ 1952年 一人の若者が使いの帰り薄暗くなってから、隠里の道を通ったが、急に喉が渇いた。するときれいな女が大盃に満たした水を持ってきた後、姿を消した。イタチが女に化けたという。
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キツネ 1950年 新潟県 雪が積もり道に迷って堀に落ちて困っていると、突然婦人と子供が現われ、言われたとおりについていった。すると茶屋にたどり着いたが婦人と子供の姿は消えた。茶屋には婦人と子供が入浴していたが、まったく外出した覚えがないといった。おそらく狐だろう。
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ヌマノヌシ 1975年 山形県 若者の笛に魅せられた沼の主と名乗る美少女をふりきって京に出た若者が、数年後に最上川を下っていると、舟が止まって動かない。客が手ぬぐいや笠を川に流すと、若者の笠だけが川底に引き入れられた。若者は娘のしわざと悟り、自ら水に入り沼の方に消えた。
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キツネ 1991年 狐洞を薄暗い時間に歩いていると綺麗な娘が来た。狐と思って、用心して近づき、行き先を尋ねると、にたーと笑って通り過ぎた。手に持っていた棒切れ横に払うと、娘の姿は消えた。気味が悪くなって一目散に逃げ帰った。
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ビジョ 1988年 奈良県 室生村の不動が滝に茶店があった。あるとき、美女が来て飴餅を求めた。不審に思い、どこから来たか聞いても答えない。跡をつけると、滝壷に消えた。以来、この茶店は流行らなくなった。
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