ムジナ 1972年 千葉県 ある秋の夕暮れ、おやじさん2人の帰りが遅かった。途中で若いおっかさんに会い、むすびをもらって食べたと言う。そのままぼうっとしてしまい、家の玄関につっ立っていた。後日、その場所で大きなムジナが捕まった。そのムジナが化かしたので、おやじさんは馬糞を食べさせられたのだろう。
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バカムスコトカゲボウシ 1956年 宮城県 老夫婦に息子が3人いて、兄はたいへん利口、中の兄は中くらい、末っ子は馬鹿だった。上の2人はよく稼ぐから婆もひいきで、羊を2匹買って1匹ずつ任せた。あるお天気の日に兄たちは羊に草を食わせに行き、末子は婆の作った団子を届けにいった。途中、末子の脇の方を痩せた病人のような奴がゆーらり、ゆーらり歩いているので、末子はわかいそうに思い、団子を食わせようとした。しかしさっぱり食おうとしないので、竹で土の中へ埋めて歩き出した。ところが今後は痩せた奴が後から歩いてくるので又団子を土に埋めた。どこまで歩いてもその痩せた奴がついてきて、その度に団子を食わせたので、兄たちのいる山に来た時は団子がなくなってしまった。その話を聞いて兄たちが言うには、「そいつは影法師といって、お天気のいいときにゃ、いっつも出るのさ」といって、家に帰ってお昼を食べたという。
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オニ,シャクシ 1941年 愛媛県 落とした団子を追って鬼のところへやってきた爺が、その鬼のもっている米三粒を御飯いっぱいの釜に変える杓子を盗んで家に帰った。その話を聞いた隣りの人が同じことをやろうとしたが、鬼に食われてしまった。
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カワウソ 1968年 愛媛県 ある人が山道で見知らぬ人に会い、お腹が空いていたのでその人についていくと、ごちそうをしてくれた。満腹して目を覚ますと、カワウソが住んでいるといわれている岸壁だった。ごちそうは牛の糞だったという。
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キンノヘラ 1956年 宮城県 昔、お羽黒様(神社)のような所に、なまけもののほいとう(乞食)がいた。うまい金儲けがないかと思っていると、「下の沢に金のへらが落ちてるからそいつで尻を撫でろ。そうすると、トッピツ、トロペツ、トントコピッコ、ロクドの太皷の、皮になーらばなーれ、スッポンポン、スッポンポンと鳴る。やめたくなったら裏で撫でろ」という夢を見た。ほいとうは大喜びで次の日行ってみると1本のへらが落ちていた。早速拾って尻を撫でると「トッピツ、トロペツ、・・・」と鳴り出した。裏でなでるとぱったり止まった。ほいとうは尻を鳴らして金儲けをしたが、ある晩糞をしてこのへらでふいてから、何度裏でふいても音が止まらず、「トッピツ、トロペツ、・・・」と毎日毎日鳴るので、とうとう死んでしまった。
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キツネ 1987年 奈良県 山の仕事に行った主人が夕方になっても帰ってこないので、家中の者が探した。主人は昼食のご飯に持っていった油揚げを狐に食べられ、狐に化かされ、あちらこちらに引っ張りまわされていた。そうめんを食べたというので、跡を見てみたらミミズを食べていた。
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カワソ 1975年 愛媛県 類おじが夜一人で歩いていると、何かが鳴き、歩くと後をつけてきた。類おじが石を投げ込んでみたが、歩くとまた鳴いたので、また石をぶち込んだ。これもかわそだろうと言っている。
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リンゴノカイ 1941年 秋田県 ある晩に、爺さんの家に妙なものがやってきて、糞をご馳走してくれというの出だしてやると、今度は自分の糞を食えと爺さんにすすめる。爺さんが食べてみるとうまかった。正体を確かめると、それは裏の畑の古い大きな林檎の木であった。
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キツネ 1999年 宮崎県 永田集落のおばさんが、日暮れ時にごちそうの包みを持って歩いていたら、水無川の狐に化かされて、イゾログイ(川バラ)は藪やそば畑を歩かされた。
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ミシゲー・マジムン,ナビゲー・マジムン 1931年 沖縄県 農夫が夜道で牛を見つけた。引き連れて牛屋に入れて、餌のサトウキビの葉をやると、なかなかに食べた。翌朝、牛屋を見てみると、堆く積み上げられた葉があって、その上にミシゲーが乗っていた。
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ヤマンバ 1995年 愛知県 楽田の本宮山で福富信蔵という男が狩をしていたら、光るものが見えた。山姥の目の玉が光っていたのだった。鉄砲で撃つと血を流して逃げていった。血の跡を追うと大きな釜屋に入ったので、変わったことはないかと訊くと、家内が具合が悪くて寝ているという。その家内が山姥であった。山姥は逃げて、岐阜のおがせの池に入ってしまった。その池では魚を取ってはいけない。話者が20歳くらいのころ、その池の魚を食べて赤痢で死んだものがいたという。
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キツネ 1990年 長野県 きつねがこっぱらにいて、よく人を化かしたという。ある日、隣の娘が化かされて帰ってこなかった。家人が行ってみると、まんじゅうだと言って馬糞を食べていたという。
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キツネ 1976年 新潟県 酒を飲んで隣村から帰ろうとした男が、母親に化けた狐に騙されて「ソバをくえ」といわれて、ミミズを食べさせられていた。家の人が捜しに行くと、野原に一人ぼっちでいた。
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イエギツネ 1979年 山梨県 昔、奉公に行っていた家で、絶対に奥の座敷に行ってはいけないといわれた。夜中になると奥座敷から音が聞こえてきて、オカタサンが日に1度、食べ物を運んでいた。それはイエギツネ(家狐)が憑いているのである。イエギツネは目に見えないがネズミくらいの大きさだという。
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カイギュウ,ワラシ 1964年 滋賀県 永源寺町は昔カネノ村といったが、そこに怪牛が一匹あらわれ、耕作を荒し村人を悩ませた。この怪牛は顔は牛で、足は馬のようで、尾の先に剣があり、総身の毛は金釘のようであった。その牛が暴れている所へ目は左一眼で、わに口の童子が現れ、牛を追い払った。この童子は鐘明神で、昔殺した孕んだ牛が復讐に来て村を絶やそうとしているので、村人を守るため戦っているという。夜半になってまた牛が現れ、暴れている所に御童子が現れ、牛を退治した。
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ネズミ 1934年 秋田県 昔、爺様が鼠に豆をやったところ、鼠の家に呼ばれて歓待され、帰りにはお土産をたくさんもらった。隣の爺様も同じようにして、鼠の家で歓待を受けたが、猫の鳴きまねをしたせいで座敷が真っ暗になって出口がわからず帰れなくなり、そこで死んでしまった。
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オオカミ 1989年 三重県 おくりオオカミは山の中を通ると家まで送ってくれる。人は家につくと塩を上げたりした。わらじを脱いで歩かないと、後ろからわらじを踏んで倒し、その人の上を飛び越えて人を食べたといわれる。
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スズメ 1971年 長野県 昔々、婆さんが川で香箱を拾い大事に飼っていたが、爺さんの意地悪で逃げてしまった。婆さんが探しに行くと土産に宝物入りのつづらをくれた。爺さんも真似をしてつづらをもらうが中の妖怪に食われてしまう。残った金玉をオッサマが食べ、吐き出すと田螺になった。
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キツネ 1984年 山梨県 夜にキツネに連れて歩かされミミズをウドンだといって食べさせられた人がいた。
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ヘソノゲイトウ 1956年 宮城県 昔、正直爺さんがいた。お庚神さまの日、何処の家でも餅をついてお休みだったが、爺さんはもち米もないので、畠にいって働いていると天気が悪くなってきた。「お庚神さまの罰かな」と帰ろうとすると3匹の猿をつれたお庚神さまが現れた。爺さんが驚いて帰ろうとすると「爺は感心なやつだ。薬をやるから毎朝1服ずつ飲め。3日たつと爺にきっといい宝が授かる」と言って薬を授けた。お庚神さまの言うとおりにするとヘソがだんだん大きくなってきてかゆいのでこすると「ピーッピッ、ピーッピッ、ピーッピッ、ヒョロヒョロ、ヒャラリーコ、ヒャラリーコ」と面白く鳴った。みんなが聞きに来ていろいろ贈り物をするので爺さんは裕福になり、お殿様にも聞かせて宝物をもらった。慾深爺さんが真似をして失敗し、牢屋に入れられる。
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