フルソマ 1915年 高知県 深山で「いくぞーいくぞー」という声が山に鳴り渡ると、やがて木の折れる音がして、すぐ近くに大木の倒れる音がする。けれどもそのほうに行ってみると何も無い。これを古杣と言い、むかし伐木の際に木に打たれて死んだ者の仕業だと言われている。
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ワライオンナ 1943年 高知県 安芸郡和食村で、深山に入った山師が夕方、小屋で尺八を吹いていると、綺麗な女の人が尺八を聞かせてほしいと小屋にきた。女は笑い女と名乗ったので、山師がそれなら笑いを聞かせてくれと頼むと、笑い声は次第に大きくなり、山から谷に響いた。山師が怒って大鋸や手斧を投げたが、女はそれをバリバリと食べた。どうすることもできないと思ったら、鶏の時の声が響き、笑い女は消えた。鶏の声は山師の持っていたお守りが出したものだった。吾川郡にも同様なものがある。
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テングノキタオシ 1964年 福島県 深い山の方角から、はじめ「ぱかっ、ぱかっ」と音がして、やがて「わり、わり、わり」と木の裂ける音がした。地面に倒れる音はしなかった。石神の奥や野手上山できくことがあった。から木倒しとも言った。
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テングノコシカケスギ 1975年 和歌山県 昔、天狗の腰掛であったという大杉から7,8間上がった道の真ん中に岩がある。寛永末の頃、ある石工が岩を割ろうと穴を開けにかかったところ、「腰掛杉」のほうからコラッと大声がし、石工は命からがら逃げ降りた。
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(ヤマノカイ) 2001年 長野県 汗馬山に入った木伐りを誰かが大声で呼ぶ。返事をするが姿が見えなく、その内に大声で笑い出した。気味が悪くなり木伐りは逃げ帰った。
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シンボク 1928年 台湾 明治の末頃、内地から台湾に渡った樵夫たちがいた。この樵夫たちが大木を切る仕事を請け負ったが、源五郎という男がこの仕事はやめようと言った。不思議な夢を見て、その中で仙人姿の老人が神木を切ると血が流れ、山が鳴動して異変が起こるといったのだという。翌朝、作業にかかろうとすると、木の上から血が落ちてきた。結局、木を切り倒すのは中止になり、酒を供えて注連縄を張り、謝罪して樵夫小屋へ引き上げたという。
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ヤマノカイ 1991年 香川県 山で木を切るため山小屋に泊まっていると、夜に向かいの山で木を切っている音がして眠れないので翌朝文句を言ったが同じ言葉を返された。恐らく山の怪のしわざであろうと言われている。
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ウナリマツ,オオオトコ,カイヒ 1990年 千葉県 「唸り松」といわれる木が声を発するというので、ある男が確かめに行ったが何もなかった。家に帰ろうとすると大男がついてきたので彼を倒した。家へ着くと怪火が起きたが退治した。それから木が唸らなくなったという。
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テング 1956年 群馬県 山には天狗がいる。樵木が山で木を伐っていると斧で木を伐る音や大木の倒れる音がする。そんな時、樵木は木を伐るのをやめて逃げ帰る。翌朝見に行くと木は倒れていない。天狗がいたという事を他人に話すとわざわいがあると言われる。
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ヤマノカイイ 1931年 長野県 享保20年乙卯8月、立科山(古名高井山)で3千人余りの人足が大木を切ろうとしたところ、様々な怪異が起こった。谷底に大音声が響き、小屋の近くに大木が倒れる音がして、外に出ることもできなかった。しかし、夜が明けてみてみると、何もない。木を引き出すとき、声をだすと大雨が降り、声を出さずに静かにしていれば晴天になったという。
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テングナメシ 1997年 岩手県 深山で小屋に泊っていると、大木が切り倒されるような音が聞こえることがある。この地方の幾人がそれを経験している。最初は斧の音がカキン、カキンと聞こえ、そして木がワリワリと倒れる音がする。その端風が人がいる所まで感じられるという。これを天狗ナメシといい、翌朝行ってみても倒された木は一本もない。
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テング 1931年 埼玉県 山で木を伐っていると、天狗が真似をして楔を打つ音を響かせる。大木の倒れる地響きを立てたりする。山へ仕事に行ったとき、天狗が共に来た小僧の名を呼び笑い声をたてたことがある。
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テングノキタオシ,タイボクニオノヲアテルオト,キノタオレルオト 1982年 新潟県 木挽の三吉という人が、夜なかに台島から藤沢へ帰るとき、山中で大木に斧をあてる音が、カーン、カーン、カーンとだんだん大きくなって聞こえてきた。やがて、メリメリ、ドーンと木の倒れる音がした。不気味だったので、そのほうへ行ってみたが、木などは倒れていなかった。昔から天狗の木倒しといっていた。
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テング 1976年 和歌山県 山仕事で山奥に行くと天狗の笑い声を聞くことがある。谷の奥の千畳の森の山道に三角石を幾度直しても逆に立てておく者がおり、これも天狗の仕業だという。
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スギノセイレイ 1967年 福島県 西光寺に大きな牛をも隠すほどの3本の大杉があった。文化2年頃、この寺の坊さんがこの木を切らせることにした。その前日の暮れ方に見たこともない怪しげな童が3人、手を取り合って泣きながら走り去ったのを見たという人がいた。また、乞食夫婦がこの木の下に宿を取ったところ、夜中に冷たい風で目が覚めた。すると裃を着けた立派な若者が左右に美しい女の人を連れて寂しそうに立っていた。何を聞いても答えないので恐ろしくなり、着物を被って突っ伏して、暫くして顔を上げたら消えていた。夜が明け、村一番の早起きにこの話をすると、千年以上の古木を切ろうとしているから杉の精霊が悲しんでいるのだろうと、他の村人たちと金を集めて木を買い取り、切るのを中止させた。木に斧を入れ始めていた樵が言うには、老木は切ると必ず水を発するものだが、この木は一度斧をあてると水が2メートルも噴出したといって気を失った。そしてこの木を切ることに賛同した6人も次々に死んだ。切られた日が4月4日だったので、この後4月4日にお祭りをしている。
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タカボウズ 1966年 香川県 昔、駒足峠に高坊主が出るとされ、恐れられていた。ある夜、猛者が峠を通っていると両側の山をまたいだ人の足を見つけ、見上げると大男が笑っていた。勇気を出して切りつけると手ごたえがあり、以後高坊主の話は聞かなくなった。
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クモ 1979年 岐阜県 蜘蛛淵に釣りに行くと淵から蜘蛛が出てきて釣り人の足に糸を掛けた。糸を外して切り株に掛けておいたら、蜘蛛が糸を引っ張って切り株は淵に引き込まれた。蜘蛛は淵の中で笑っていたという。
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タヌキ 1991年 愛媛県 話者が山で木を切っていると大きな音がする。誰か松でも切っているのかと見に行くが、なにもない。炭焼きのために泊まり込んでいると、山の中から「おーい、おーい」と呼ぶ。返事をしても誰もいない。そこで罠を仕掛けると、次の日狸がかかっていた。
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イタチノキタオシ,タイボクニオノヲアテルオト,キノタオレルオト 1982年 新潟県 木挽の三吉という人が、夜なかに台島から藤沢へ帰るとき、山中で大木に斧をあてる音が、カーン、カーン、カーンとだんだん大きくなって聞こえてきた。やがて、メリメリ、ドーンと木の倒れる音がした。不気味だったので、そのほうへ行ってみたが、木などは倒れていなかった。これをイタチの木倒しという。イタチが木っぱ(木のきれはし)を尻尾にまいて、木にぶつけて音を出すのだともいわれている。
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ヤマンバ 1991年 香川県 米を運んでいる途中、馬が動かなくなったので不思議に思った馬方が周りを見ると、松の枝に何かがいて声がするので答えると、馬鍬の歯のような口をした大きなものが木の枝で笑っていたという。
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