ダイジャ 1967年 福島県 川が二股に分かれているうちの、低いほうの川原に家が一軒あり、どんな洪水にも水は家に上がらないが、昔は水が出るたび流されていた。母親は嘆息し、家が流されずに済むなら、3人娘の1人を淵の主にやってもよいとつぶやいた。その後、毎日のように若侍が尋ねてくるようになり、水難はまぬがれるようにするから娘を欲しいといった。それから、娘が時々いなくなるので不審に思い、ある時娘をつけてみると、淵の傍に大蛇が巻いている中に座っていた。母親は驚き帰ったが、若侍の訪問は止まないので娘をくれてやった。幾日か後娘たちが泊まりに来た夜、私の姿を見ないでくれという。恐る恐る見てみると2匹の蛇がいたので肝を潰した。娘は姿を見られたことを悲しみ、再びお目にかかれないと、形見に片方の下駄と鱗を一片残して去った。
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ダイジャ 1981年 富山県 池の主である大蛇が村を守護する自信を喪失して娘に化けて村から出て、別の池に移動した。村民が雨乞いのために水を貰いに行くと、神からもう蛇はいないと言われた。
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ヘビ 1965年 高知県 庄屋の娘が井戸に水汲みに来て、ヘキ(蛙)を呑もうとしていた蛇を見つけ、水をかけて蛙を逃がしてやった。蛇は恨みに思い、武士に化けて娘に通った。庄屋がどんなに用心しても、蛇は節穴から入って通ってきた。ある日、ライ病を患った遍路さんが「菊酒桃酒菖蒲酒を飲めば娘の悪い子種が下りる」と告げた。酒を飲ませて、タライに湯を張り、娘にまたがせたら子が降りて、蛇が孵った。それで正月の若水を汲むときには、かけの魚(カケノイオ)についている松に火を点けて、蛇がいないか確かめなくてはならない。
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ヘビ 1936年 福島県 洪水で家が流されないのなら娘を一人やってもよいと母親が言うのを聞いて、蛇が若侍の姿となって娘をもらいにきた。娘が夫と里帰りで来たとき、こっそり寝姿をのぞくと2人とも蛇体であった。娘は形見に下駄と鱗を残して、二度と現れなくなった。その後、蛇のひげで織った織物を水神に供えると、百人分の椀を借りられた。
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ダイジャ 1958年 福井県 田に水を入れてくれたお礼に、末の娘が大蛇のもとへ行き、蛇体になって池に沈んだ。何年か後のある年、家が焼けたが男蛇が家に巻きついて火を消した。けれども、水を与えなかったので死んでしまった。
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ダイジャ,カエルノダンブクロ 1934年 新潟県 昔、旱魃のときに庄屋が「田に水をいっぱい入れてくれたら娘を嫁にやる」と言うと、若者がやってきて、水を入れた。末娘が嫁に行くことになったが、男の正体は蛇で、娘はこれを退治し、蛙から蛙のだんぶくろをもらった。これをかぶると90歳くらいの婆さんの姿になる。その後、末娘は殿様の前で見事な舞と舞って、殿様の姫になった。
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シロヘビ 1933年 栃木県 昔、山に城が築かれたとき、敵に攻められ、城主の一人娘が追い詰められ、井戸に入って死んでしまった。その後、娘が白蛇に身を変えて出ると言われている。今もその井戸があるが、水はない。今も蛇が棲んでいて、時々悲しそうな声を聞くという。
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ダイジャ,アマゴイ 1944年 愛媛県 庄屋に一人娘があった。娘は蛇と通じ、大蛇のひいた白糸についていって瀧壺に入ってしまった。娘の親が娘を捜して瀧に入ると瀧の下には青畳が敷いてあり、娘と大蛇がいた。娘は蛇に連れられてここに来たためもう帰ることは出来ないといい證文を書いた。娘は、この證文を雨乞いの県画として瀧壺にかけると雨を降らすと約束した。その年は日照りであったが、瀧壺のまわりで祈願をすると、小さい蛇が降りてきて、雨が降ってきた。庄屋の家は絶えたが、この県画は残っており、神官が保存している。今でもこの瀧壺での祈願は有効的である。しかし、他村の人が行っても、蛇は出てこず鰻が出てきて雨を貰うことはできない。
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ダイジャ 1986年 埼玉県 昔、じいさんと娘がいた。その娘は不思議な力を持っていた。ある年日照りが続いたので村人が娘に雨を降らせて欲しいと頼みに行くと娘は「七日七晩は決してお堂に入らないように。」と言ってお堂に入った。一人の若者がお堂を覗いてしまった。するとそこには頭が二つの大蛇がおり、若者の顔を見ると天に駆け昇ってしまった。すると空から大雨が降りだし、三日三晩降り続いた。村人は娘を竜神様として沼のほとりに両頭庵というお堂を建ててお祀りした。
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ダイジャ,イケノヌシ 1971年 福井県 ある爺さんが田が乾いて困り、蛇ヶ池の主に、雨を降らせてくれたら3人の娘のうち1人を嫁に差し上げると約束した。はたして雨が降り、主は娘を迎えに来た。末の娘が嫁入りすることになり、針の袋を持って出た。男が池に入ろうとしたところを突き落とし、針の袋を投げ入れたら水が騒ぎ出した。数日して爺さんの家が火事になった。すると2匹の大蛇が出て来て家に巻きつき、水をくれと言ったが、村人は驚いて逃げてしまったので、蛇は焼け死んでしまった。
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ヘビ 1928年 宮崎県 お浪が池に、お浪という美女が入って蛇体になった。その後、水の乏しい村に清水が湧くようになった。お浪は寝ると蚊帳いっぱいになる。毎夜、戸口に濡れた草履が脱ぎ捨ててあると噂された。
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カニ,ヘビ 1990年 石川県 昔、蟹を可愛がっていた娘がいた。その父親が田んぼに水がなくて困っていたとき、田んぼに水を入れてくれたら一人娘をやるのにと独り言を言った。それを聞いていた蛇が水を一杯にして、いい男に化けて娘をもらいに来たが、家に入れなかった。夜に台所の節穴から蛇が入ろうとしたところ、娘が可愛がっていた蟹がその蛇を48に切った。それを鳥がくわえていって、落ちたところが全部池になったという。
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タツコ,クニマス 1928年 秋田県 岩清水の水を飲んだ少女は蛇体となり、湖の主となった。母が娘を探す時に持っていた松火が湖に落ちて国鱒となった。
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ヘビ 1974年 和歌山県 昔、美人がおり、美しい若者が通ってきた。誰一人その姿を見た者がいなかったので、若者の着物の裾に糸をつけた。翌日糸をたどると、大きな川池に続いていた。その正体は蛇だった。美人な娘は俵一杯の蛇の子を生んだという。
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テナシムスメ 2001年 青森県 昔、ある大金持ちのところに美しい一人娘がいたが、ここに心がけの悪い後妻が来て、家来に娘を殺すように命じた。家来は殺すに忍びなく、娘の両手を切ることとした。後に娘に子が出来た。この子供を背負ったまま娘が水を飲もうとしたとき、背中の子供が川へ落ちそうになった。その子を捕まえようと娘が精一杯両腕を伸ばすと、力の入った拍子に両の手が出てきた。
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ヘビ 1985年 山形県 目の良く見えない坊主が山の中で道に迷い、山中の洞の中で泊った。退屈なので持っていた三味か琵琶かを弾いていると、若い娘がやってきた。聞かせてくれと言う。一通り語り終わり、娘に正体を尋ねると蛇だという。子分の蛇もいて、食べ物がないので洪水を起こして村を全滅させて村人を食うつもりという。村に下りてから村人にそれを告げ、村人は対策を講じて蛇は死んだという。坊主は告げ終わると死んでしまったので、それを祀った。
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サルノヨメゴ 1956年 宮城県 昔、ある家に娘が3人いた。ある年の日照りに、どこの田にも水がなくて困っていると、1匹の猿が来て、「あんたの田に水をいれてやるから、娘を誰か1人くれ」というので父が承知すると、猿は忽ち水をためる。父が猿との約束を心配していると、末の娘が快諾して猿の嫁となる。2,3日後、猿と娘がお舅礼に来る途中、藤の木の前で、父にこの藤の花をとっていきたいと娘が言う。猿は木に登ってとろうとし、娘がもっと先というのにつられ、先まで行った。するとからまった藤のつるが木からはなれて猿は川の中に落ち、娘は無事家に帰ってきた。
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ベンザイテン,ヘビ 1935年 昔、ある弁才天の神官の家にひとりの娘がいた。近所の百姓が多忙の時期には娘の手を借りることもあった。ある時百姓が養蚕のために手が不足したのでその娘を頼みにいくと、神官の家に出産があり手がいるので娘を借りることができなかった。しかし百姓が家に帰るとその娘が来ており、都合がついたという。それから娘は毎日その百姓の手伝いをした。仕事に区切りがついたので、娘を返すため神官の家まで送ると、娘はお参りをさせてくださいと言って神社に入ったきり帰ってこない。神官の家を訪れると娘はちゃんといて、手伝いには行っていないという。そこで百姓と神官が弁才天の前まで行くとその娘そっくりの頭を持った蛇がいた。神官が礼を述べると蛇は姿を消した。
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ヘビ 1965年 高知県 ひでりが続いて田が乾いてしまった。ある人が、小蛇が聴いているとも知らずに、池のほとりで「雨を降らせてくれたら娘をやってもよい」と口走ったら、まもなく雨が降ってきた。そのうちに娘の「ふじ」が池に行ったまま帰らなくなった。その淵を「ふじがとどろ」と言う。以来、女の子にふじという名前をつけなくなった。
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イケノヌシ,ヘビ 1994年 鳥取県 村の神主歌会のためが京に上るとき、日光池を渡れないでいると、蛇が出てきて神主の娘を1人くれれば渡すと言った。神主が3人の娘のうち1人を渡すと、水が引いて渡れるようになった。そのとき娘に付き添った下女が落ちたのが下女が池。
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