ヤマタロウ 1952年 熊本県 山太郎は、人間に角力を取ろうと言ってくることがある。うっかり相手をすると、無数に山太郎が出て来る。山太郎を困らせるにはおじぎをする。頭の皿の水をこぼすことになって、力を失わせるからである。また、山に薪取りに行った者が、草原がふみつぶされた所に、破れた着物姿で倒れていた。山太郎と角力を取って負けたのだろうと言われたという。
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キラキラヒカルキンノタマ 1989年 山梨県 タカギシゲンザエモンという人が、弓をかついで池太神の滝壷を歩いていたら滝壷の下にキラキラ光る金の玉が見えた。神様ならこの矢の先に止まってくれというとそうなった。それが池太神さんで、1寸8分の金の玉である。タカギシゲンザエモンは家に帰ったが、家が動いて寝かしてくれない。俺がおる所はここから1里奥にある所だというのでそこに行って泊まったら、その夜また、ここではないここから8町先に行かなきゃだめだというので8町奥にいくと池があり、ここが俺の住むとこだということでそこへ住まわせてあげるようになった。
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キラキラヒカルモノ,ユメマクラニタツ 1989年 山梨県 タカギシゲンザエモンという人が、猟をしにいき、池太神の池の周りを歩いていたら、水面にキラキラ光るものが見えた。「魔物じゃあうち殺す、神ならこの矢にけってとまれ」というと止まった。家に帰って寝たが、屋鳴りがして怖い。夢枕に立ったので、東山の大家のロクベエさんとキタナカムラの人と有志の衆の3人でヨーゴー岩という大きな石の上に置いて祀ってきた。そしたら夢枕に立って、「俺はまだ8町行ったところだ」というので、行ってみると大きなお池があったのでそこに祀った。
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テング 1974年 愛知県 設楽町の碁盤石山のテングは碁が好きで、村人を連れてきては碁盤石で碁を打っていたが、碁の天才に負けて悔しくて碁盤石をひっくり返して去ってしまったと言う。それで今は碁盤石は裏を向いている。碁盤石の周囲はテングのお屋敷と言われており、草木が育たない場所がある。
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キンノタマ,ユメマクラニタツ 1989年 山梨県 タカギシゲンザエモンという狩人が、池太神さんの池の中に金の玉を見つけた。「魔物だったっらそのままでいてくれ、神だったらこの弓のとこに乗ってきてくれ」と拝んだら、その玉が乗ってきた。うちへ置いたが、屋鳴りがした。金の玉はこの家で休むものではないということで、夢枕で七面山に私の住むところがあるといった。そこでその御神体を持っていっておあげした。それが池太神さんの起源である。
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オオオトコ 1943年 香川県 約5、60年前、ある人が山へ行く途中に大男にあい、すもうをとろうと誘った。何度勝負してもその人の勝ちであったが、大男は相手の煙草入れに目をつけ、「煙草入れをのけよ」というのでその人がのけると、なぜかその人は負けた。その後、近所の人がとおりかかると、その人は体に大きな石をのせられて死んでいた。煙草入れにはたくさんお守りが入れてあった。五月十三日には山日といって誰一人山へ行く人はいない。
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オデグサマ 1986年 福島県 オデグ様は男の神様で、川向こうの女のオデグ様と石投げをして戦った。そのとき投げた石が天狗石で、近年までオデグ様の山の地下に落ちていた。
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ガタロ,カッパ 1953年 大阪府 村に力強い怪童が出ると、「あいつはガタロと角力取ったから強いのだ」と言ったり、逆に弱い者には、「ガタロと角力取ってこい」などと言われた。
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カミサマ 1989年 山梨県 昔タカギシゲンザエモンという人が、池太池へ猟に行った。弓で射っても弓が当たらないので、「マユミのものじゃあなぁ、この弓とまれ」といったら、神様がとまった。うちへ連れてきて置いたら屋鳴りがした。それで、夢枕に人が立って、「仏祀れ」といわれたので、オミョウジンサマに祀った。そうしたら、まだ「ここじゃねぇ」という。「ここから1里8町」というので、七面山にヨーゴー石というのがあり、そこへ祀ったら、まだ「8町むこうだ」といった。
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〔センビキイシ,チビキイシ〕 1956年 宮城県 多賀国府があったころ、この里に住む女に通う男があった。近くに大石があり他所へ運んで砕かれることとなったが、男はその大石の精であった。運ばれていく前夜、男は女に別れを告げ「明日は何百人で引いても動かぬが、あなたになら引かれよう」という。はたして動かない石を「わたしがひく」と女が申し出る。気狂いに引かせるのも面白いと女に引かせると軽々と動く。女は国府から褒美をもらって幸せになる。これを千引石といい、志引観音堂の丘の下の田に残る。
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キジムナー,アカガミ 1989年 沖縄県 昔あるお婆さんが海で蛸をとっていた。その蛸はキジムナー蛸であったので、他の人は誰もとれなかった。そこへキジムナーがきて、「どうしておまえはその蛸をとるのか」と訪ねた。お婆さんはアカガミという神で、キジムナーより格が上であることを話したが、キジムナーは納得できず、奪い合いになった。しかし最後はキジムナーがあきらめて「あなたには負けたよ」と帰っていった。
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キツネ 1938年 長野県 度胸のいい人が山で「おぶさるべ、おぶさるべ」と狐が言うので綱を持っていって、それをぶされと言い、おぶって帰ってきた。家に帰ると石地蔵をおぶっていた。
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テング 1955年 高知県 テングと弓矢の勝負をした。テングは必ず当たる矢を持っていたが、逆手に取って勝った。テングはウスワレに来て死んでいた。
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カッパ 1930年 宮崎県 男が、ある時、大淀川を小船で渡り岸にあがると、桑畑の中から河童が出てきて角力をとろうと言った。角力をとったところその男の方が強く、河童は逃げてしまった。
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セノタカイオトコ,キ 1978年 和歌山県 若い男が一人で山道を歩いていると、背の高い男が相撲を取ろうという。何回投げ飛ばしても起き上がってきて、2時間ほどして疲れて帰った。翌日その場所へ行くと一本の木があった。男はその木と相撲を取っていたのだった。
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ウブメ 1968年 佐賀県 七郎谷という所にうぶめが出て、通る者に子どもを抱いて欲しいと頼んだ。抱かされて気づいてみると、石の地蔵を抱かされていた。その人は力が強くなったという。それで、大力の持主を「うぶめの子を抱いた」という。
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オニ,イシ 1990年 長野県 かや場に長さ1.5メートルほどの石が立っている。これは八面大王が矢沢山に住んでいたとき、これを退治するためにかじ屋が道具をあつらえていたのを邪魔するために鬼が大きな石を投げてきたのがささっているのだという。坂上田村麻呂が切れ味を試したともいい、上から30センチほどのところに跡が残っている。
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テングサマ,スイテングウ 1975年 新潟県 爺さんが寝ているとテング様に連れ出されて山を歩かされた。そしてテング様の背に手が届いたらカナガメのありかを教えるといわれたが、手が届かなかった。体は強くなり、歩いたところには無数の足跡があった。
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フドウミョウオウ,ヤマトタケル 1984年 山梨県 Aさんが18・9歳のころ、天気のよい日に今日桑を切らないと雨が降ると言った。誰も信じなかったがそれが当たり、そんなことが2・3回続いた。そこで屋敷神の不動明王でオウカガイをするようになり、評判になった。そのうち、ネギサマであるBさんが日本武尊の石祠を寄進してくれたので、以降はそれで石占をたてている。戦争中は出征中のAさんに代わって奥さんがかわりにやり、石の上がり具合で良し悪しを決めた。
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テング 1975年 岐阜県 昭和初頭、十二社神社でキンチャクに椎の実を拾っていると突然地響きがして、石段の上から大きな岩が落ちてきた。本殿のところに修験者のような真っ白い装束で木の葉のような扇と長い杖を持ったテングが見下ろしていた。
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