トカビノヒ,アオイヒ,オバケ 1941年 朝鮮 真夏の曇った日など、箒のような格好をして燃えて飛んでいる青い火がある。人々はトカビの火と呼んでいる。ある家がトカビの火に叫んだところ、家が火事になったので、見ても叫んではいけない。酒に酔った人を山に連れ込んで殺す。酔った人には友達に見え、普通の人には見えない。トカビとは朝鮮のお化けである。
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キツネ 1980年 青森県 あるお爺さんが、キツネが湧き水でフキの葉で水をかけて女に化け、キジの死体を赤ん坊に見せて、ある家に入り、オサンガエリのご馳走を食べるのを見た。お爺さんは「そいつはキツネだ」と言って赤ん坊を釜に投げ入れた。家の人は怒ったが、赤ん坊は朝日があたるとキジの死体になった。
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トカビ,オバケ 1941年 朝鮮 大同郡秋乙美面美林里に木の茂みに隠れた古家が2、3軒あるが、昔はそのあたりでトカビがよく現れ、よく悪戯するお化けである。ある日ある男が、その家の側の木の下を通ると、大きな石が投げつけられた。その男の家の蕎麦の粒がその木に結ばれていたこともあった。それ以来トカビの災難が村中に起こった。そしてある力持ちがトカビ退治にその木に出向き、黒いものと格闘すると、それは棒きれであった。けれどもその木を焼き、灰を銅器に入れ土中に埋めると悪戯が無くなった。
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サル 1941年 愛媛県 ある人は猿に笑われてその猿を捕まえて妻に調理してもらうことにしたが、妻は猿に騙されて釜に入れられて、夫がそれを食べたという。
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キツネ 1938年 長野県 狐に化かされた話を聞いた男が狐を取りにその山へ行った。きれいな女の人が来て、その頭に雉がとまったので狐だと思い、その女の家へ行ってみるとその父が怒って男を煮立った湯の中へ入れた。男は熱いと叫んで駆け回ったが、それは農家の豆畑を駆け回っていたのだった。
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キツネ 1929年 長崎県 北有馬で性悪の狐を化かそうと一人の若者が策略を練った。出かけていない父を迎えいに行き、馬の背に括り付けて家へつれて帰って釜でゆでた。逃げて位牌に化けた狐をさらにだまして捕まえた。今度は沸騰している釜に入れて煮殺してしまった。
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トクラノドクガワ 1956年 宮城県 昔,この地の素封家に美しい娘がいた。何時からともなく,夜毎娘の所に美しい若衆が通ってくるようになり,娘は目に見えて憔悴していった。母が色々問いただした結果,男はどうも化生の者らしいということになり,両親は田束山のお上人に相談した。上人の教えに従い,小豆5石を大鍋で煮てその煮汁を七日間川の上流から流したところ,翌日に川の主の年を経た大鱈が死んで浮かび上がった。娘もやがて回復した。その川を毒川と呼び,また鱈を煮るとき小豆を入れると骨まで煮えると言われている。
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クモ 1931年 愛知県 昔、村の大家に男が働きにきた。男は真面目に働いていたが、暇を取るとき、旦那を籠に入れて山奥に入っていった。旦那は木の枝につかまって逃げていたが、蜘蛛に化けて捕まえに来るという話を聞いていた。夜に大きな蜘蛛がきたので、これを焼き殺した。
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タヌキ 1982年 群馬県 タヌキが、じいさまに化けて囲炉裏に当りにきた。お婆さんが相手をしていたが、そのうち囲炉裏一杯にきんたまを広げたのでタヌキだと思って、クヨキリ(熱い灰)をきんたまにぶっかけたらタヌキは驚いて逃げ、山で正体を出して死んでいた。
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トウジョウ 1976年 山口県 坊さんが宿を借りた。家人が外出中に家の隅の壷をふと見ると、トウジョウという蛇がうじゃうじゃととぐろをまいていた。坊さんが煮え湯を入れてトウジョウを殺すと、たいへんに感謝された。トウジョウは人に憑いて肛門から体の中に入り込み、体を食いぬく。
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ムジナ 1943年 山梨県 三左衛門という老人が毎日町へ薪炭を売りに行く。その帰り道、狢が男の子に化けて、魚などを食べてしまう。怒った三左衛門は狢を騙して連れ帰り、釜茹でにすると脅して爐のそばで炙ってやった。狢は「澤の火炙り三左衛門」と言って逃げ、その後悪さをしなくなった。
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カイブツ 1988年 奈良県 里に夜な夜な怪物が現れるので、宗介という猟師が退治することになった。怪物を捜して山中をさまよい、疲れて木の根に倒れたところに怪物が襲ってきた。鉛の玉を放ったがすべて跳ね返されたので、鉄の玉を放ったところ怪物を仕留める事ができた。怪物は鉄鍋を被って玉を防いでいたが、最後の鉄の玉は鍋を割って頭を打ち抜いていた。この怪物を葬った塚を鍋割れ塚と呼ぶ。
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キツネ 1979年 岐阜県 下洞集落から安郷野集落に抜ける間の寂しいところを夜、朝鮮の人が馬車を引いて通りかかったらお化けがたくさん出て脅された。その人は人家に駆け込んで血を吐いて死んだという。脅したのは狐だった。そこから何年かして遺骨が出たので、祀った。
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ヤマウバ 1984年 岐阜県 雪の夕暮れ、50歳くらいの大食いで力持ちの女がやってきて滞在する。女は仕事を手伝ったがいくら苧績をしてもまったく苧環が大きくならない上に大食いなので家人はこれを疎んで茶碗の中が空洞になるように飯をよそってやっていた。春が来て女は「ひんぬりごきにごちそうさま」と飯の盛り付け方に皮肉をいって笹の葉にくるんだ薬を置いて出て行った。女の残した小さい苧環は紡いでみるといくら繰っても繰り切れなかった。繰っているうちに放置していた赤ん坊が泣き死んでしまったが、この薬を与えると生き返ったという。女は猪ノ洞谷の一の滝近くの岩穴に住む山姥だろうと言われた。
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イワナ,カワノヌシ 1982年 長野県 湯が湧いている所の近くに寺があり、坊さんが住んでいた。あるとき村人が大きな岩魚を捕まえてきた。山の主かもしれないので、殺生はしないほうはよいという坊さんの話も聞かず、村人は煮て食べてしまった。坊さんが唱えごとをすると、湧いてきた湯は水になり、たくさんあった藤も消え、魚もいなくなってしまった。
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タラ 1961年 岩手県 村のある女のもとに毎晩美男が通ってきた。小豆を煮た湯で足をすすがせると、男は具合が悪くなって帰り、それきり現れなかった。翌朝道ばたには大きな鱈が死んでいた。男の肌はいつもいつもひやひやとしていたといい、大鱈のフツタヅ(化物)かと言われた。
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ヘビ 1941年 秋田県 怠け者の男が蛇を傷つけた。蛇は復讐しに来たが、釜で煮られて死んだ。その後、蛇の祟りで家は没落した。
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タメミズチョウジャノゲジョノタタリ 1995年 宮城県 溜水長者が息子の結核を治すために、下女を殺してその肝を食べさせた。話者の夫の父が病気になったとき、祈祷師に拝んでもらうと、その下女が頼ってきたのだと言われた。祈祷師に言われて、下女を祀った山の中の地蔵様を拝んだ。
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オニババ 1955年 新潟県 昔、爺さんが町へ物を売りに行く途中に、山で鬼婆に出会い、持っていた荷物を取られた。次の日、爺さんは鬼婆の餅を食べたり甘酒を飲んだりしたあと、鬼婆を熱湯で殺して仇を取った。
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