ロクブノタタリ 1982年 宮城県 六部は1人では歩かない。小金を持っているので、できるだけ2人1組で歩く。2人組の六部が泊めてもらって翌朝出ようとしたら、連れの六部は先に行ったといわれた。不思議に思って鍋の表面の油で占ったら、連れの六部はこの世にいないと出た。そして竃の灰の中にその六部の鈴があった。六部を殺した家は祟られる。
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〔オンビョウオオテンバ〕,ネコ 1956年 宮城県 儀八郎の老母おさんがある時から急に敏捷になり生臭物を好むようになった。猫踊りのような踊りを見せることもあった。その頃鶏などが攫われる事件があったので,近所には恐ろしい噂が広がっていた。その頃のある日の夕方,六部が一人浜街道をやってくると杉並木の辺りで突然頭上から怪物が襲い掛かってきた。斬りつけると手応えがあったが,怪物は逃げ去ってしまった。その夜六部が儀八郎の家に宿を乞うと,急病人が出たということで一旦断わられたが納戸の一間を借りることができた。夜更けに隣室の物音で六部が目を醒まし,そっと窺うと子猫たちが遊び戯れており,犬程もある虎猫が後肢で立って行灯の油皿を舐めている。翌朝六部は主人に昨夜来の事情を話し,その夜二人で老女の部屋に飛び込んだ。ようやく怪物を仕留めてみると老母の姿であったが,朝日に照らしてみると骸はやはり古猫であることが判明した。この怪猫は松崎の猫渕に棲んだ古猫で,その死骸を埋めたのが猫石だと言われている。儀八郎はその後六部に金塊を贈り,六部はこれを観音像にした。その後観音像と由来書は儀八郎の子孫の家に届けられ,今も保存されている。
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ヒキガエル,ロクブ 1931年 長野県 ある家に六部が泊まった。その六部が持っていた大金を奪い、それを資本に商売をはじめた。その家には蟇がたくさんいるようになった。やがてその家は悪疫が広まり家運も衰えた。六部の祟りと言われた。
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カイビョウコタババ 1987年 長野県 昔,ある六部が根津村の長命寺大日堂にお篭りしていると,子猫が沢山集まってきてうるさく鳴く。よく聞くと「国分寺の小太ばば来なけりゃ踊りにゃならん」といっており,大きい怪猫が嵐と共に入ってきて子猫達と共に踊り狂った。六部が仕込杖で怪猫を刺すと,血を滴らせて逃げていった。次の日,「小太ばば」が門前の小太郎の家の老婆であることを知り,訪ねてみると,老婆は昨日足を痛めて寝ているという。六部がお薬師様に祈願して法力を身につけ小太郎の家に乗り込むと,老婆は怪猫の本性を現して尾野山に逃げ込んだ。家を探すと,縁の下から老女の白骨が現れた。小太郎は薬師様に願をかけ,六部の助けで尾野山に飛びつけて怪猫を仕留めた。今も国分寺の裏に六部の石塔があり,小太郎屋敷という地名も残っている。
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ムソロクブ 1919年 徳島県 ある年の暮れに、川の渕で庄屋が、前の晩に泊めた六十六部を殺して秘蔵の宝物である金の鶏と蚊帳を奪った。血まみれになった六部の足は川へと滑り込んだ。その頃庄屋の家で下男が餅をついていると天井から血みどろの足がぶらさがり、1羽の黄金の鶏が現れ米を食い尽くした。その後片足と鶏は六部の笑い声と共にどこかへ消え。その後も色々禍が続いたので庄屋の主人は墓を建立した。
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ロクブ,サル 1937年 兵庫県 狒々に人身御供にされそうになった庄屋の娘を六部が助ける。再び旅に出た六部が狒々の毒により倒れていると、爺さんと婆さんが助けてくれ、地蔵さんにこもるように言われる。その家の息子が戻って爺さんと婆さんを殺し、六部にその罪を着せた。初めに助けられた娘が六部の絵姿の異変によってそれに気づき、打ち首にされそうになった六部を助けた。
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ロクブ 1916年 大阪府 ある夜、一夜の宿を求めた六部が会った。ところが翌日家を出る姿を見たものはおらず、六部はそのまま消えてしまった。その後、その家は急に金持ちになったが、そのうち一家は今、一人お迎えを待っている一人の老婆を除いて死に絶えた。
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ロクブ,タタリ 1976年 宮城県 上久保は旧家。昼日中黒煙が上がるので村の人が駆けつけると何事もないということが何度かあり、石の雨が降ることもあった。六部を殺した祟りではないかという。
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フルネコ,オオカミ 1916年 滋賀県 昔、木に登り一夜を明かそうとしていた六部を、狼たちが食おうとした。あと少しで届かなかったので、狼たちは太郎婆という古猫を連れてきた。狼の上に乗り飛びつこうとした古猫の額を、六部は刀で斬った。翌日六部は太郎婆の家を訪ねすべてを話し、実は人間でなかった太郎婆を風呂に入れて煮殺した。その後祟りを恐れて祠を建てたのが今の狼神社である。
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ニゴリガイケ,ロクブ 1943年 徳島県 昔、ある初夏の夕暮れ時に、某氏の家で六部が一夜の宿を乞うた。六部は桐の箱に入った黄金の鶏と、部屋の大小よって大きさが変わる蚊帳を持っていた。翌日、2、3人の若者に六部は斬られた。鶏は飛び去ったが、蚊帳は庄屋の手に入った。庄屋の家で餅をついていると、血の流れている足が2本天井から下がり、餅が血で赤くなった。六部の呪いだという。
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(シニンノシャッキントリ) 1982年 群馬県 沼田のある家で16歳の娘が亡くなった。葬儀の相談をしていたところ、死んだ娘が動いて戸を開けようとしていて、取っ組み合いになり、皆逃げた。おじさんが引返して話を聞くと、「この家に金を貸して死んだ六部がいて、その金を取って来るまでわたしを行かせないというので、取立てにきた」と言った。家のものに確かめるとそういうことがあったというので、娘の手に金を握らせると、ばったり倒れて動かなくなった。
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ヘビ,カエル 1937年 兵庫県 蛇が蛙を飲み込もうとしているのを見て、お爺さんが3人娘のひとりを嫁にやるので逃がすように言う。末の娘が嫁に行くことになるが、蛇聟のせいで、だんだん病身になる。そこへ六部が来て拝んで助ける。六部は助けられた蛙の化身であった。
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ロクブ 1955年 山形県 ある家に六部が泊った。金を持っていたので細引きで絞め殺した。六部は「この家を絶やして六地蔵にしてやる」と言った。一時栄えたが、はたしてやがて絶えた。
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サカサダケ 1974年 栃木県 ある家で、六部を殺して金を取った。その六部の杖が根付いてサカサ竹になった。
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タタリ 1922年 徳島県 桑野川上流に濁ヶ淵という淵がある。六部が持つ黄金の鶏と1寸四方の箱に収まる蚊張が欲しくて、ひと太刀浴びせて水の濁った淵に落とした。その家では六部の祟りで餅をつけば血が入るようになった。
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オオカミ,タロウガハハ 1970年 滋賀県 六部が柳ヶ瀬の三昧の松の木の下に泊まっていると狼が出たので、木の上に逃げた。狼は梯子のように繋がって六部の元に登ってきたが、届かない。そのうち「太郎が母を呼んで来い」という声がして、大きな狼がやってきた。六部は手裏剣をぶつけて撃退した。翌日村を訪ね歩くと、頭に傷を負ったお婆さんがいた。その御婆さんは「シュンショウ寺に妹のショウリが母がいるから、こんなことはするな、太郎が母は死んだと伝えてくれ」と言って息を引き取った。お婆さんも子どもも妹も、人間に化けた狼だった。
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ヤマネコ 1955年 高知県 婆が仕事に行って山小屋で泊まった晩、家の猫が茶の間で踊った。爺は気味が悪いから殺してしまった。あくる日、山小屋へ行ってみると、婆が猫に食われて死んでいた。
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ロクブ 1959年 山梨県 非常に貧乏な家に六部が便所を借りにやってきた。六部が便所の入り口に掛けておいた弁天様をこの家の老婆が盗って返さなかった。六部は怒ってこの家の長男は生かさないといって去った。その後裕福になったが長男は早死にするようになった。
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タタリ 1973年 岩手県 京津畑集落のある家では、金目当てに旅の六部を殺した。その孫の孫の代になって祟りがあり、子どもの身体が不自由になった。
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リュウグウ,クロネコ,ダイダイ 1929年 長崎県 ある日、妹が売れ残った薪を海に投げ込むと、海から女が出て竜宮に誘った。帰る時、黒猫を貰えと言われたので途中で出会った人に所望すると、毎日小豆を五合食べさせろと言われた。そうすると黒猫は毎日五合の金の糞をして妹は金持ちになった。姉がこの黒猫を借りて、一升小豆を食べさせると、黒猫は死んでしまった。妹が猫の死骸を庭に埋葬すると、橙の木が生えその実を正月に飾るようになった。
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