キツネ 1974年 寛政八年二月、大きな狐を見た。高さは大きな犬ぐらいで、背のなかさは五尺ほどあり、谷にのぼるのはとぶように速い。けれども色や動作は普通の狐と同じだった。
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(カイチュウヨリアガリソウロウモノ) 1982年 京都府 享保11年2月25日、海中より、首は鳩のようで長さ1尺程、胴の長さ5尺程、腹は赤白斑で、歯は喉まで生え、甲は唐傘の骨のようで筋が少し高くタバコの葉に似て、胴の幅は3尺程、鰭は柔らかである物が上った。これが上った前の夜は、海中でうめき声がして1里四方に聞こえた。翌日その死体が浜に上った。
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〔イギョ〕 1975年 静岡県 慶長19年4月5日、駿府の浜に異魚が上った。形は亀に似て首が大きく犬のようである。背は黒く甲羅のようで、三又の尾と大鰭があった。20数人でこれを担いだ。
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ダイジャ 1982年 宮城県 船で海に出た人が、沖の方で大きな音がするので鯨かと思って見たら、大きな蛇だった。櫓を櫂に変えれば蛇は恐れるときいていたので櫂を持ったら蛇は逃げたが、大蛇の起こした波でクガサマ山まで船が行ってしまった。
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(ヒカルオオアワビ) 1974年 千葉県 寛文5年5月に、安房国亀崎という所の海上に、夜ごと光があった。人々は不審に思って海底に入ってその光を見たら、およそ7、80丁ほどの大鮑だった。
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カイギョ,ヤマメ 1934年 静岡県 明治34年の夏、淵に1尋もある奇怪な大魚が泳いでいた。網を投げると網がズタズタにされるので鎌に長い柄をつけて突き刺して捕らえた。大きさは4尺に近く、暗灰色で虹色の斑点があった。怪魚の正体はヤマメのずば抜けて大きなものであった。
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バンレイ 1974年 東京都 天明年中、ある者が鰻を仕入れたが買った覚えのない大鰻が2匹混っていた。裂こうとしたが手慣れているにもかかわらず錐で手を刺してしまった。他の者がさばこうとすると腕に巻きついてきて、尾で脇腹を打ってきた。助けるつもりはないからおとなしくしろと言ったら料理できたが、死体を焼く匂いがした。その夜丑3つ時のころ、鰻の生け簀の所でおびただしい音がして、驚いて行ってみると、上にのせた石はそのままだった。中を見ると多くの鰻が蛇のように睨んだ。もう1匹の大きな鰻は消えていた。
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ウツロブネ 1973年 茨城県 享和3年3月24日、常陸国原舎浜に、奇妙な形状をした船が漂着した。形は釜のようで、上は黒塗り、四方に窓があった。船の高さは1丈2尺で、中に20歳ほどの女性が一人乗っていた。身長は5尺で雪のように白い肌と黒い髪をした美人だった。言葉は一切通じず、服も見慣れないものだった。また小さい箱を持っており、人を近づけなかった。船内には敷物が敷かれ、菓子のようなものや肉類があったという。
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サカナノヌシ 2000年 愛知県 日間賀島の海にさかなのぬしという大きな鯛がいた。この鯛は何度も同じ岩の上で寝ていたので、岩に鯛の形がついた。村の人はこの岩をたいのかたと呼ぶようになった。この岩をまたぐと波に押し切られて溺れるといい、今でも避けて通る。
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オヤマサン 1961年 島根県 倉田のお山さんの御神体は岩で、元は海中にあった。そのころ鯨に「俺は神さんになる」と言ったところ鯨は一笑に付し、「お前が神様になったら毎年浜の前に行ってやる」と言った。ところが本当に神様になったので、今でも毎年1度は鯨が瀬にやってきて潮を吹く。
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リュウ 1974年 高知県 土佐高知で元禄14年6月晦日に空が朱色に代わり、風が強く吹いた。それを見ていた黒田又市という者が空を見ると、長さ3丈ほどもあろうかという大竜が雲の中に泳いでいたという。それは姿は黒く、鱗は白銀のようで、目の色は金色に光っており、4つの足をのばしていたという。
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クジラ,オンナノカオ 1933年 佐賀県 鯨がある漁師の夢枕に立ち、明日は大宝山参りでこの沖を通るから、どうか自分を捕らないでくれと頼んだにもかかわらず漁師はその鯨を網にかけた。すると物凄い雲が現れ、その雲の中で女の顔が笑った。とたんに暴風雨となり、鯨組全員は海の藻屑と化した。
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イヌ 1935年 沖縄県 国が大旱魃になったとき、人々は水を求めて海に漕ぎ出した。ある山から1匹の犬が出てきた。犬の体がとても湿っていたので、不思議に思った人々は犬の後をついていった。すると山奥に湧き水があり、犬は水中に入るとたちまち石になった。
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アワビ 1928年 千葉県 岸和田の海岸には大きな鰒魚が住んでいて、大傘を開いたほどの大きさであったという。誤ってその殻に触れると海が荒れると信じられている。ひとりの乙女が船人である恋人に会うために鰒魚を怒らせようとしたが、度を越してしまい、乙女の船は転覆し、これを助けにいった男も海の藻屑となった。
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コクジラ,キッチョウ 1999年 新潟県 寛文元年には、鯨が生きたまま打ち上げられると、金銀山の吉兆と言われた。寄り鯨が恵みをもたらす存在として考えられていた。
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コイ 1936年 京都府 昔、水泳の得意な若者が千鳥ヶ淵にもぐっていくと、直径1尺ほどの眼をした大鯉が現われた。若者は逃げたが、それが原因で病死した。
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(フナユウレイ) 1932年 長崎県 平戸島附近で聞いた話であるが、あるしけの夜に船をつける場所もわからず途方に暮れていると、傍らを大きな帆前船が通っていったので、その後についていくと、その船は平戸の瀬戸の方に進んでいった。しかしついて行った船は瀬に乗り上げてしまった。
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オオフカ 1972年 沖縄県 漁師が水中に潜ったところ大鱶が襲ってきた。観念しつつ赤い鉢巻を鱶の目の前に広げたところ、何故か大鱶は逃げていった。
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ウシオニ 1991年 島根県 松平の家来の老人が、ある夜海上で城を見たがすぐ消えた。翌日8尺くらいある男が泳いできて相撲を挑んできた。老人が什比べをしようと提案すると男は船に大鮑を乗せてきた。それを持ち帰るとその男は牛鬼だと皆に言われた。老人は鋼の玉で撃って男を仕留めた。
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キツネ 1943年 福島県 6月、サナブリのためエイを買っての帰り道、松魚原の狐塚の前で犬が大きなエイを引きずって行くのを見た。自分のよりもだいぶ大きいので、早速犬を追いかけて取り返し、喜んで帰宅したが、よく見ると魚ではなくて、棒に筵切れをつるしたものだった。
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