(オニ) 1981年 昔、安房の猟師が遭難して鬼島と思われる島へ漂着した。島民は長け1丈2,3尺あり、全身赤く毛色は白く、額に8寸位の角が生えていた。積荷の酒を勧めると喜んで呑み、船を押し出してくれた。
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(ヒカルオオアワビ) 1974年 千葉県 寛文5年5月に、安房国亀崎という所の海上に、夜ごと光があった。人々は不審に思って海底に入ってその光を見たら、およそ7、80丁ほどの大鮑だった。
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ウミボウズ 1976年 先年、阿州・土州の境の沖で、高さ10丈ばかりで、上が細く末広がりで、大仏のようなものを見た。頭と思しきところもあるがはっきりしない。船の先、5、6町ばかりを通っていた。暫くして次第に薄くなり消えた。船頭が言うにはこれが海坊主であり、晴天で凪の日に出るが、めったに見られないという。
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ウキモノ 1956年 五月のうららかな花曇のような日、海上数里の沖に大きな魚のような小岡のようなものが時折現れて浮動するという。船で近寄ってみても何も見えない。
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マツ,カイブツ 1922年 岩手県 上閉伊郡栗橋村字古里に大きな松の木があり、日光を遮っていた。耕作物の邪魔になるので伐り倒そうとしたが、次の日になると元に戻っていて伐ることができなかった。ある日夢に一人の翁が現れ、木の伐屑を毎夕方に焼き棄てれば成就すると告げた。言うとおりにすると木は倒れ、それを用いて船を造った。しかし、不思議なことに船は一夜のうちに姿を消してしまった。あるとき、漁夫が橋野川の川上で得体の知れないものを見つけ、大权で突き刺した。一度帰り、次の日再び現場に行くと何もいなかった。探している内に漁夫は狂い、あたりは風雨となり大洪水が起こった。一夜たつと河口に突如として奇岩が現れた。人々は、漁夫の突き刺した怪物の化身だと言い囃した。
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レイビ 1959年 長野県 鎌倉時代初期に仇を討たれた者の子供、犬房丸が流されてきて、命尽きた場所には墓がある。そこから霊火が出て、対岸の狐島でもそれが見えたということである。
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(ホウライサン) 1982年 広島県 享保11年4月16日昼9ツ時、安芸国厳島の沖に蓬莱山が出現した。あちこちが金屏風を立てたように見え、岩は5色できれいなものであった。時間は2,3歩の間見えた。海老浦の役人が注進に及んだと言う。
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ムジンノフネ 1975年 千葉県 房州安房郡山刀村で、万治2年5月頃船を出して漁をしていると、無人で白幣束を1本立てた船がどこからともなく現れた。近付こうとするが近付けない。その夜山の方から多くの人が物を運ぶ声が聞こえてきた。翌日みてみると昨日の船が山上の船越大明神の神前に備えられていた。
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ミノムシ,ボウレイ 1993年 滋賀県 琵琶湖上を丸小船で航行中ポツン、ポツンと光るものがあり、なんだろうと手で払うと一面金粉を撒いた様に散らばりぎらぎら光った。妙だと思い眼を凝らすと何もない。飯野浦の見える所まで来るといつとはなしに消えてしまった。古老に聞くとそれはミノムシといい、水死した人の亡霊が浮いたものという。他にも出会った人がいた。
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ウツロブネ 1973年 茨城県 享和3年3月24日、常陸国原舎浜に、奇妙な形状をした船が漂着した。形は釜のようで、上は黒塗り、四方に窓があった。船の高さは1丈2尺で、中に20歳ほどの女性が一人乗っていた。身長は5尺で雪のように白い肌と黒い髪をした美人だった。言葉は一切通じず、服も見慣れないものだった。また小さい箱を持っており、人を近づけなかった。船内には敷物が敷かれ、菓子のようなものや肉類があったという。
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カイチュウユウレイシュツゲンビ 1974年 静岡県 文政9年の大晦日に、異国船が遠州海上に漂着してきたが、それとは知らない海賊が獲物にしようと近づくと、船の形が異なり、また甲板上にひげの長い外国人を見て幽霊だと逃げ帰ったという。このあたりでは大晦日は海中幽霊の出現日と言われていた。
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オオニュウドウ 1975年 ある船乗名人が晦日に出航した時、海上で急に風が変わり黒雲が出て背の高さ1丈ぐらいの大入道が現れ、「恐ろしいだろう」と問うてきたが「恐ろしくない」と答えると消えた。
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ヨリトモ,サザエ 1935年 千葉県 頼朝が房州に逃れて勝山沖の浮き島に遊んだとき、ここの栄螺の角のために手か足かに怪我をした。そこで栄螺の角を封じてしまったといい、今日なおこの島の栄螺は土地の人からは角なし栄螺と呼ばれている。
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コビト 1978年 源行任朝臣が越後守の頃、広さ2尺5寸、長さ1間ばかりの小船が流れてきた。遊びで造った物にも見えず、どんな小人が使っていたのだろうと考えていると、ある老人が以前にもこのような小船が流れてきたことがある。この船を使う人の国が北方にあるのだろうと語った。
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オオアワビ 1974年 千葉県 寛文5年のこと、房州平群郡にある亀崎の海中が突然光り輝いた。その原因を探すと海中にいた、8間ほどの蚫だったという。
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エンコウ 1939年 島根県 えんこうは海にもいる。漁夫が沖で釣りをしていたら、えんこうが現れた。漁夫は糸目算に船を漕いで逃げ帰り、汀に乗り上げてから後ろを見るとえんこうがついて来ている。漁夫は家に帰り、翌朝汀に行ってみると、船が木っ端微塵に砕けていた。
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リュウセキ 1976年 新潟県 越後国蒲原郡勝屋村のある百姓が、山で径5、6寸ぐらいの丸い石を拾ったところ、ある日、石が二つに割れて中から煙が立ち昇り、にわかに雷鳴大風雨がおこった。割れた石の中には丸い穴があったという。
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ウミグモ 1976年 筑紫の海人が伝えることには、南海の小島に船が漂着したとき、海岸から大きな蜘蛛が現れ船に糸を吐き付け引っ張り始めた。腰刀で切り払って逃げた。
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アサトガミ 1929年 鹿児島県 手久津久の船は湾で一艘の見知らぬ船に泊を頼まれた。同時に大船から早く泊へ引き返せといわれ急いで見知らぬ船とともに泊の入り口まで引き返した。たちまち海は荒れ、恐ろしい風化となった。浜へ上がって湾をみると、船はひとつ残らず波にのまれていた。大船の主は気象を知らせるあさと神である。
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(カイチュウヨリアガリソウロウモノ) 1982年 京都府 享保11年2月25日、海中より、首は鳩のようで長さ1尺程、胴の長さ5尺程、腹は赤白斑で、歯は喉まで生え、甲は唐傘の骨のようで筋が少し高くタバコの葉に似て、胴の幅は3尺程、鰭は柔らかである物が上った。これが上った前の夜は、海中でうめき声がして1里四方に聞こえた。翌日その死体が浜に上った。
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