ジャタイノマツ 1967年 福島県 海岸に蛇体の松と呼ばれる二股の老木がある。昔、慶長の頃、与吉という百姓がおり、お松という娘があった。ある時、殿様が与吉の家で休んだ際に、お松を侍女にすると城へ連れ帰った。ところがお松は家に帰りたがって言うことを聞かないので、小船に乗せて竜神の淵に捨ててしまった。お松は海岸に泳ぎ着いたが、力尽きて女面蛇体の死体となって海岸に打ち上げられた。親たちはこれを見て悲しみ、娘の名にちなんで松を植えた。この松が大きくなったものが蛇体の松である。この松は霊験があるという。
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ヘビ 1974年 和歌山県 昔、美人がおり、美しい若者が通ってきた。誰一人その姿を見た者がいなかったので、若者の着物の裾に糸をつけた。翌日糸をたどると、大きな川池に続いていた。その正体は蛇だった。美人な娘は俵一杯の蛇の子を生んだという。
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ダイジャ 1978年 石川県 昔、ある邸宅のお嬢様を池の大蛇が見初めた。大蛇は美しい男性になり娘のもとに通い、娘はやがて子供を身ごもり、子供が産まれた。もし蛇の子を孕んだら、5月に菖蒲湯を湧かして入ると良いという。それが転じて中絶するには菖蒲湯に入るとか、頭が痛いときに入るとかいう。
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ヘビ 1985年 福島県 昔、きれいな娘の所に男が通い、娘のおっかさまがあとをつけて行くと、立派な男は蛇だった。そこでおっかさまは娘に今度男が来たら衣装に針をさせといい、娘がその通りにすると、蛇はうなった。蛇のおっかさまがそんなとこに通っているからこんなことになったんだというと、蛇は子供を作りこんできたから大丈夫だ、そして、菖蒲湯をつけると子は流れてしまうのだという。娘のおっかさまがさっそく菖蒲湯に娘をいれると蛇の子供が出ていった。そのために5月の節供の夜には菖蒲湯をたてる。
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リュウジョ,ダイジャ 1977年 岐阜県 寺の先祖であるお坊さんの妻が出産の際に「絶対に覗いてはいけない」と頼んだ。約束を破り覗くと、妻はとぐろを巻いた大蛇の姿となっていた。すると妻は池に飛び込み、そのまま姿を現さなかった。その池の跡地には竜宮乙姫の古井という井戸があり、底が深く琵琶湖と繋がっているという。その後、生れた子どもは境内のかやの木の実を舐めて育ったと伝えられる。
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ウエノヤマノマツ 1968年 愛媛県 上の山の松は笠松といい、昔、人骨が出たことがあった。誰かが入定したのだろうといわれている。この松を切ったら祟りがあり、切った本人だけでなく親類中が死んだという。また、その家では口の曲がった子が生まれるという。
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オカネウムムスメ 1956年 宮城県 昔、名鰭沼のふちに夫婦が住んでいた。子どもになかなか恵まれず、願かけて神に祈っていると、春の猫柳の芽がふくれる頃、嫁の腹が大きくなり、ついに女の子が生まれた。しかし片目片耳の子だったので、人目をさけてボロに包んで納屋においておいた。あるとき用事で、どうしても子を背負って町にいかなければならぬことになったので、慎重に包んで出ていった。町の用事がすんで帰るとき、石の上に子どもをおろして休んでいると、腰のまがった白髪の爺さんがきてボロをはがして子どもを見て「これはいい子だ。神様の授かりものだ。今にお金を生むから毎朝米一粒ずつつかませておけ」と言い残して消える。ためしに米一粒つかませるとお金を一つ産んだ。夫婦はしだいに金持ちになったが、慾の出た夫婦は「うんとつかませたらうんと生むだろう」と、ある日つかみきれないほど米をつかませると、子どもは死んでしまった。
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カリヤスミョウジン 1956年 宮城県 もと赤沼大明神といって沼のほとりに祀られた水神。昔、身に錦をまとい、宝冠を頂いた気高い1人の女行者が村に来て、一夜の宿りを乞うたが、見慣れぬ高貴な姿の上、出産間近い身重な様子を見て宿を貸す者がない。女が軒の下でもいいからと頼むと、年老いた夫婦が哀れに思って世話をしてやり、経塚で子を産んだ。この子は神であった。刈安草を敷いて生まれたので刈安明神という。このあたりは刈安草が多く、これを染料としたものは、他所のものと比べ甚だ佳品である。
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ヤマンカミサマ,ジゾウサマ 1933年 熊本県 昔、子のない夫婦が地蔵様に祈ったら、嫁が妊娠した。婿が仕事で山に入ったとき、山ン神様が「今度生まれる子は14歳のときに河難がある」と話しているのを聞いた。生まれて14歳になった子が魚釣りに行ったとき川に落ちたが、どこからか坊様が来て助けてくれた。その坊様は地蔵様が変じたものだった。
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イケノヌシ,ダイジャ 1978年 新潟県 宝暦元年の名立くずれでできたタナの池の側を小林家の男性が歩いていると、美しい女性が来た。男と女は結婚し、子供が産まれることになったが、産室には部屋いっぱいの大蛇がいた。女は杖一本を残して消えた。子供が泣いたら杖で水面をたたけと言われていたのでその通りにすると、女が出てきて子供を池の中に連れ去った。しかし、この後タナの池の周りではこの家だけが栄えたという。また、今もこの池の一画に冬でも凍らない部分がある。
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ショウブユ 1956年 宮城県 昔、ある女のところに通う男がおり、女が身ごもった。隣の老婆の教えに従って男の素性を確かめると、太い松の木にたどり着いた。幹に耳を当てると「菖蒲湯にはいると子供が流れる」と声がし、その通りにすると子供を下ろすことができた。これが菖蒲湯の由来だという。
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ウバイシ 1990年 長野県 宮向こうの上田に、姥石がある。昔、嫁いで三年経っても子どもが産まれない女性がしゅうとに追い出され、石に抱きついて泣いていた。するとまもなく子供が出きたので、家へ戻ることができた。以来、その石へ願をかけると子宝に恵まれるという。
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ウブヤ 1956年 京都府 川近くの水田の中に立てられた産屋でお産をした。陣痛が始まると夫が先導して妊婦を産屋に移した。その時、橋を渡らずに梯子と板などで仮橋をかけて渡った。大昔、川から流れ着いた材木を大原明神のお告げとして産屋を立てたのが始まりだという。ここで出産すると大原明神の加護があるという。
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ヒメギミ 1931年 岩手県 松崎村の蒪菜沼(昔のミゾロヶ池)には京都から下ってきた美しい姫君の庵があった。この近くの観音堂には姫の持仏が祀られており、沼には金が沈んでいるといわれている。今でも、沼の中にある男石女石の近くに美しい姫君が裸体で浮かんでいるのが時々見えるという。
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オイソガモリ 1975年 高知県 大百姓の家の女中お磯が、作男の子供を身ごもった。主人はお磯を家へ追い返した。お磯は途中の桧の下で産気づき、子を産み落としたが、山犬に襲われて死んだ。それ以降主人の家では不幸が続き、桧のそばに祠をたてた。今ではお産の神様となっている。
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オセンサン,オセンマツ 1993年 静岡県 ある農家の水田の中に松の古木と祠がある。昔、大井川が氾濫したときにオセンという女性の溺死体とともに流れ着いて根ついた松といい、手をつけると祟りがあるといわれている。
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ヘビ 1979年 徳島県 ぜんべえの娘のところに、美男子が通ってくるようになった。ところがこの男が何となくおかしいので、針に糸を通して着物につけておいたところ、糸は井上神社のつづら渕で消えていた。蛇が化けていたのだと判ったが、娘は妊娠してたらい三杯のオタマジャクシの卵のようなものを産んだ。馳馬の栗の木の下に捨てると、そこからミョウガが生えたが、これは食べてはいけないと言われていた。
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オンナ,フエヲフクオト,ヘビ 1984年 長野県 3月の節句になると、決まって池から美女が現れて笛を吹いていた。しかし池が埋め立てられてしまった。村人が近くに小さな池を作ると、翌年から笛が聞こえてきた。その正体は美女ではなく真柏の木に巻きつく大蛇だった。
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ダイジャ 1976年 和歌山県 川津明神の縁起。昔、長者の娘にもとに男が毎晩通った。娘が妊娠したので母親が怪しみ、ある晩男の裾に糸をつけて翌朝たどると、滝に岸の洞穴に着いた。男は滝に住む竜が化けていたのであった。娘が生んだ子は若宮八幡と名づけられて祀られた。また、美少年に化けた滝の淵に住む蛇が村中の美人と交わった。その蛇を守護神として祀ったのだともいう。
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マルイワノカシワン,ユメマクラ,ミズノカミサマ 1987年 長野県 昔,ある村に働き者の若夫婦がいた。子がいなかったが,川の水を大事にし,田圃の行き帰りに道祖神にお参りしているうち,男の子が生まれた。
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