スギヤクシ 1956年 宮城県 天平(729~749)の昔、孝謙天皇が御不例で、医薬効なく太史に占わせたところ、陸奥にある高さ数十丈の大杉の枝葉が雲をしのぎ、その陰が皇居に達しているさわりと分り、大納言某を遣わして伐採を命じた。某は築館の地に大杉を発見し伐ったところ、伐り口から血が流れ、翌日はふさがって元通りになる。幾ら伐っても同じことであった。杉の東北の広野にある茅萱を縄とし伐り口をふさげば伐れるという占いによりようやく伐り倒す。切りくずは飛散して一片もなかった。天皇の御病も治り、勅命で伐り口に仏堂を立てた。のち慈覚大師が薬師如来を安置した。
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(ビワコ),フジサン 1983年 孝霊帝の4年に、淡海の国では地面が裂けて湖水となり、同時に富士山が出現したという。都良佳富士記という書物にも、富士山が一夜にして現れたと記す。
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フジノヌケアナ,〔ビワコ〕 1982年 孝霊天皇の時、駿河国の富士山は一夜のうちに出現した。それと同じ時に近江国に大きな湖(琵琶湖か)ができたという。
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オロチ 1971年 滋賀県 近江の国、栗本郡と野洲郡の境に大川があった。三上山で2川に分かれそのうち南川は土山に当り大渕となっていた。その渕に昔から大蛇が住んでいて、近辺の住民は困っていたが手の打ちようがなかった。嵯峨天皇のとき、雷が鳴り天地振動することがあり、時の博士が占うと先の大川に住むおろちが天皇の命を奪おうと振動させているということだった。そこで天皇は近辺の農民を招き大蛇を退治すべしと命令した。近隣農民数万人が打寄ってついには退治した。その時の出来事から様々な地名がつき、また褒美として大光明寺を給わった。
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ドウマンヅカ,セイメイヅカ,セイメイヅカ 2002年 福島県 昔、ある所に大きな杉があり、田地の妨げになるのでこれを伐った。その後、朝廷に祟りをなすので、天子は安倍清明・蘆屋道満を召して平癒を祈らせた。これを祀るために壇を築き、道満塚・清明塚とした。
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ヘキレキボク 1976年 広島県 推古天皇の36年に、安芸国で昔より祟るといわれている古木を切ろうとした。雷雨が始まったので、切れと命令した人が祟るなら私を祟れと言った。すると雷雨が止み、木を切ることができた。
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マツ,オキナ 1922年 岩手県 上閉伊郡金澤村の折合の瀧に五葉の松と栗の木とセノ木の3巨木があった。枝葉が繁って景観が悪くなるので伐り倒すことになったが、何度伐っても翌日には元に戻っており、なかなか伐り倒せなかった。偶然、山中で出会ったセノ木の精を名乗る老翁の智恵を借りて伐り倒したが、栗の木は倒れるときに大洪水を起こした。その水の勢いで栗の木は下流の角端へと流され、水を押し塞いだ。村人はあわてふためいたが、川上から大石が転がってきて、巨木を真っ二つにした。
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コウボウシミズ 1990年 長野県 崩越の川岸に湧き出ている清水を弘法清水という。御嶽山へ登ろうとした僧侶が、この地の百姓の丁寧な道案内に感心して、用水が引けなかった土地に錫杖をつきさして清水を湧かした。おかげで田が開けたという。
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ニチレン,シミズノサクラ 1935年 山梨県 文永11年閏5月17日に日蓮上人がこの村を通過しようとした時に、大変のどが渇いたので、持っていた桜の枝を地に打ち込み、祈願を込めたところ忽ち清水が湧出したという。その桜は根付いて木になったという。
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ツエ 1925年 新潟県 永禄年間、栃尾の常安寺の門察和尚のもとに血脈を乞いに来た老翁が杖で穿つと清水が湧き出した。その杖は成長し、埋めになり、神木とされた。
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ヒカワミョウジン,ジュウイチメンカンノン 1974年 東京都 天暦年中に近江国甲賀郡の連林という僧が、東国修行の為に氷川へ来た。その日の夢に白髪の老人が現れて、地中に長年埋もれているので掘り出して安置してくれれば、この地の守護神となると告げた。そこで近辺を探してみると、ある場所が金色に輝いており、掘ってみれば十一面観音像があった。そこで社を建てて祀ったという。治暦2年の関八州の日照りでは、この社に雨を祈るとたちまち大雨となった。
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ゴシンタク,サトミヤ 1931年 長野県 里宮は鎌倉時代からあったが、荒れてしまっていた。延宝か天和のころに冠者殿宮を造営しようとした時、山から切った木材を運ぼうとしても動かなかった。里宮の祟りだと思い伺いをたてると「我が宮を建ててから彼の宮を建てよ。神は逆礼を受けない」という御神託があった。その後、旱魃のときに里宮に願をかけると、5月27日の午の刻に雨を降らすというご神託があり、その後雨が降った。
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リュウ 1974年 奈良県 むかし和州が干ばつに見舞われた時、一匹の竜が人々の苦しみを思って雨を降らせた。すると大竜が怒ってその竜を3つに裂いて下界に投げた。その裂かれた竜が墜ちたところに3つの寺を建てたという。
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リュウジン 1928年 徳島県 王余魚谷に住んでいた貧しい猟師はある日、深山で美しい妙齢の婦人に出会った。婦人は竜神から紀州の那智の瀧と、この王余魚瀧に住めといわれ、来てみたところよい住処なのでここに住むといった。そして、自分がここに住んでいることは誰にも言うなと猟師に口止めをした。旱魃の時には雨乞いに霊験を顕したという。その後、洪水で社が流されたが、漁夫に発見されたときには何の破損もなかったと伝えられている。
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シオノイケ,シオノイ,シヨミズ 1989年 山梨県 塩のない奈良田の村の人々のために孝謙天皇が祈願したところ、ただの水たまりがたちまち塩の池に変わった。
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コウボウダイシ 1931年 東京都 昔、旅の僧が飲み水を求めたとき、心のやさしい女性が機織の手を止めて遠くから新しい清水を汲んできてそれを進めた。水に不自由していることを知った僧は水を出してやるといって、柳の木か何かの枝を地面に突き刺すと、そこから泉が湧き出し、井戸になったといわれている。そのときさした木は根付いて大木になったという。
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(ヤマノカミノタタリ) 1942年 高知県 息子が、山の神のお怒りを受けて患い、お詫びに松と杉を山の神の前に植え、根元に五穀を埋めるまじないをして治ったという。
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アクリュウ 1931年 大阪府 推古天皇2年、蘇我馬子らが神呪を誦して悪龍を封じた。ところが、悪龍の執念は深く、その後も度々旱天をもたらしては人々を困らせた。弘法大師がこの地を踏んだ際、龍王を祀ったため悪龍も感じ入り、地下から清水が湧き出して周辺の土地は元通り潤った。
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シオノイケ,シオノイ,シヨミズ 1989年 山梨県 塩のない奈良田の村の人々のために孝謙天皇が祈願したところ、池がたちまち塩の池に変わった。
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エンノギョウジャ,ウンペンショウニン 1974年 京都府 大宝年中に、役行者と雲遍上人が清滝に訪れた時、雷雲起こり、大雨が降り、大杉の上に多くの天狗が現れた。そこで二人は秘呪密言を唱えると、目の前に地蔵・竜樹・富婁那・毘沙門・愛染が現れて光を放ち、天狗はどこかにさってしまったという。そこで二人は山の中に神廟を建て、かの大杉を清滝の明神と崇めたという。
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