キツネ 1991年 静岡県 ある寺の住職が檀家に接待されて帰る夜道、提灯が倒れて火が消えた。灯なしに歩くと何度も同じ道に出る。民家で火を求めたが誰も出て来てくれない。あきらめて歩き出すと狐の姿が見えた。さらに歩かされて寺に帰ると衣も脱げ、お土産もなかった。昼間戻ってみると、提灯には爪痕がついていた。とりやめていた寺の豊川稲荷のお祭りを再開したら、そういうことはなくなった。
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テング 1968年 福井県 話者の家が酒造りをしていたころのこと。夜、段の岳から天狗が提灯を点して欅の木に止まり、酒倉に入ってピーと音を出して酒を飲んだ。家長はその音を聞くと「今年も良い酒ができたので、天狗さんが来てくれた」と喜んだ。
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キツネ 1943年 愛知県 50年ほど前の話。じいさんが川へ夜釣りに行った。川の向こうに提灯が1つともったので、狐の仕業だなと思っていると、急に寒気がして、提灯がどんどん増えた。これはいけないと思って、狐は火を嫌うので煙草を吸って帰った。家に入るときは狐にとり憑かれないように、後ろ向きになって入った。次の日に再び近所の人と釣りに行った。また提灯がともったら、連れが寒さを訴えた。やはり提灯が増えたが、2人で近寄ってみたところ、狐の方がまけてだんだんと火を消していった。
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テング 1940年 岩手県 山から天狗が通ってくる酒屋があった。姿は見えないが、通いに来たときには必ず大風が吹き、なにやらただならぬ空気が流れる。酒屋の主人は天狗が通い来てもべつに商売に支障はなく、かえって火の用心がよくなったとさえ言っている。
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キツネ 1997年 岐阜県 小和知のある女工が、ある夜製糸組合へ行く途中に何者かに飛びつかれた。気付くと持っていた提灯が無くなっていた。次の日に探しても見つからず、これはきつねの仕業であるということになった。その辺りにはきつねの穴がたくさんあり、提灯の種油の臭いを嗅ぎつけたためと思われた。
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テング 1922年 神奈川県 夜遅く集会などから帰る途中に、不意に提灯をとられて高い木の頂上へ持って行かれたことがあった。これも天狗の仕業である。
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テングサマ 1984年 埼玉県 むかしは白石でも草ぶきの屋根だった頃、ある家では雨もりがするのに忙しくて屋根をふくための草刈りをする暇がなかった。ちょうどその頃、近所の人たちは草を刈って干しておいた。ある晩のこと、その家の人が、庭でガヤガヤする音をきいたが、そっとしておいたら、庭に刈った草が積まれていた。近所の人たちはこれを取り返しに来たが、1晩のうちに運ぶことはできないので、天狗さまのしわざにちがいないということになり、近所の人も草をとり返さずに帰っていった。それで人並みすぐれている人のことをあの人は天狗さまだという。
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コウボウダイシ,カレミズ 1948年 兵庫県 昔、乞食坊主がある家で茶をのませてくれといったが家のものは「お前みたいな乞食坊主によう飲ませぬ」といって断った。坊主が、「それでは結構だ」といって去り、それ以来、ここには水が出なくなったという。
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テング 1993年 福井県 大きな岩石があり、ここの天狗がいると恐れられていた。ある日この近くで三左衛門という人が炭を焼き始めた。天狗が現れ「ここはわしの庭だから、すぐ帰れ。笛を吹き、太鼓が鳴ったら下山しろ」という。無視していると数日後に天狗が現れ「もう一度合図するので、帰れ」という。風が強くなり、雨も降り出したので下山した。あまりの大嵐となり、三左衛門の家は倒れた。
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キツネ 1985年 新潟県 隣村からの帰り、提燈の火を消されて道に迷った人がいる。狐の仕業。
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テング 1950年 埼玉県 山の中のある洞窟に昔天狗が住んでいて、村人が頼むと酒宴に必要な縄、ホラ貝、椀、膳を貸してくれたが、あるとき村人が壊してしまって返さなかったところ、それ以後は頼んでも貸してくれなくなった。
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テングノチョウチン 1951年 埼玉県 ある人が夜中に女の子を連れてネノ山に登ったとき、真っ暗だったので「天狗さん提灯をつけてくれ」というと、周りに次々と灯がついて真昼のように明るくなった。別の人が見た天狗の提灯は、一つだけ青白く光っていた。
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キツネノチョウチン 1943年 福島県 村の庄屋が夜、山道で「おまん狐」に化かされて道に迷ってしまった。腰をおろして煙草を一服していると、向うに提灯が見える。近づいてみると自家の定紋入りだ。その提灯に従って歩いていくと、里に出た。信心している白狐稲荷様が助けてくれたのだろうとのことだ。
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テング,オテング 1970年 山梨県 夕方、大輪の桂川であみぶちをしているとお天狗がいたずらをして真っ暗にして家へ帰れなくしてしまう。その様な時には、ぶちあみをかぶって一服すると元のように明るくなる。
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キツネ,チョウチン 1972年 長崎県 親戚に重病人が出たので、医者を頼んだ。川の所まで迎えに行ったところ、川向こうで提灯の火が見えた。明かりの前で「来てくれてありがとう」と言ってそこで別れた。後で聞いたところ、医者はそこには居らず、考えてみると提灯には紋が付いていなかったという。
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テングサマ 1983年 富山県 古い木の高には天狗さまがおられる。また、古い木の中には天狗様といって神様がおられるが、夜中に木を切る音がする。
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テングサマ 1929年 新潟県 山には天狗様がいて、ふもとの村があらされて困るので、占女の神口を聞いてみると、それは天狗様のたたりだといわれた。毎年お酒を天狗に供えなさいと告げられたので、その通りにした。その酒は翌年の10月八日までに天狗が全て飲んでなくなっているという。
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オヨメサン,キツネ 1938年 長野県 夜遅い帰り道、持っていた提灯が突然消えて、月夜のように明るくなり、向のほうに美しいお嫁さんが歩いていくのが見えた。気味が悪いのでたばこを吸うと、そこは川の中だった。家へ帰るとみやげのごちそうがなくなっていた。
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キツネ 1938年 長野県 呼ばれた帰りに遅くなって提灯を借りてろうそくを2本持っていた。狐にお参りすると狐がついてきたのでろうそくを1本投げると道がなくなった。困ってもう1本投げてやると、道があって家へ帰ることが出来た。
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キツネ 1938年 長野県 家の婚礼を手伝いに来ていた人が12時ごろひとりで提灯を持って帰った。翌日、方角がまったく違うところの人が、ぼろぼろの提灯やその人の持ち物が落ちていたと届けてくれた。その人は昨夜のことは覚えておらず、朝戻ってきて疲れたといって寝続けた。着物は穴だらけ、土だらけであった。
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