ヤマンバ 1936年 青森県 宝之助という男が塩鮭と鱈を牛で運んでいると山姥に出会って、荷物も牛も食べられてしまう。山姥から逃げた男は逃げ込んだ家にいた25、6歳の女の言うとおりしだみを噛んでいた。その音を聞いた山姥はこがにはいって蓋をしてもらって寝た。蓋に重石をして熱湯を注ぎ込んで山姥を殺し、宝之助と女は夫婦になって幸せに暮らしたという。
類似事例 |
|
イヌガミ 1939年 島根県 妻女とその家で飼っていた牛の右目が疼痛を起こし、みるみる腫れ上がった。祈祷師に占ってもらったところ、犬神に憑かれたことがわかった。牛は医者の治療により治ったが、妻女は右目を失明した。その後、その家では不祥事が続いた。
類似事例 |
|
ヤマウバ 1984年 岐阜県 雪の夕暮れ、50歳くらいの大食いで力持ちの女がやってきて滞在する。女は仕事を手伝ったがいくら苧績をしてもまったく苧環が大きくならない上に大食いなので家人はこれを疎んで茶碗の中が空洞になるように飯をよそってやっていた。春が来て女は「ひんぬりごきにごちそうさま」と飯の盛り付け方に皮肉をいって笹の葉にくるんだ薬を置いて出て行った。女の残した小さい苧環は紡いでみるといくら繰っても繰り切れなかった。繰っているうちに放置していた赤ん坊が泣き死んでしまったが、この薬を与えると生き返ったという。女は猪ノ洞谷の一の滝近くの岩穴に住む山姥だろうと言われた。
類似事例 |
|
キツネ 1977年 福島県 塩峯峠で、ある若者が女性によって御殿に招かれた。女は山ほどご馳走を出して、「明日来るときはお守りを捨ててきてくれ」と言った。その時若者を呼び止める人がいて、行くなと忠告し、襟首に大きな縫い針をさしてくれた。翌日若者は女のところでお守りを捨てた。すると女は悲鳴を上げた。夜明けに血の跡をたどっていくと、縫い針で口が裂けた女狐が死んでいた。若者を呼び止めた老人はつんぼ神様だった。
類似事例 |
|
ダイジャ 1936年 新潟県 女達が歩いていると、途中の堤で若い衆が行く手を遮った。急いでいるというと、若い衆は女の腰にかけた手ぬぐいを貸せと言った。帰りには同じ所に牛が寝ていた。これは若い衆に化けていた大蛇が待っている間に眠ってしまい、牛になったのだろう。
類似事例 |
|
ウシ,コンジキノブツゾウ 1928年 長野県 強情に寺参りをしようとしない老婆が河原で布を洗っていると、牛が出てきた。老婆が牛をののしりながら追いかけていくと、牛が善光寺に入っていった。老婆も本堂に入ったが、そこに牛の姿はなく金色の仏像だけがあった。翌日、村の観音堂の本尊の首に、牛に奪われた布がかかっていた。
類似事例 |
|
キツネツキ 1954年 山形県 27歳の未婚女性が狐に憑かれた。行者とその弟子が4時間半かけても狐は落ちなかった。再び祈祷を始め、般若心経を経文の末尾から繰り返し読み、狐憑きに向かって四方から矢を射続けた。すると狐が落ち、女はまもなくすっかり元気になった。
類似事例 |
|
ノギツネ 1967年 山形県 三蔵院の法印さまが山道の途中で野狐の耳に法螺貝を当てて吹き、驚かせた。道を行くと急に暗くなり、一軒の家に泊めてもらったが、その家のお産寸前のかがが死んでしまった。法印がうろたえていると死んだかがが起きあがって鉄漿(お歯黒)を付け始め、その顔を法印にべたーっと付けた。法印は目を回し、目覚めるとまだ昼日中であった。
類似事例 |
|
ヘビ 1974年 愛媛県 予州宇和郡藤田村で、ある女の所に夜な夜な夫が帰ってきて、後に懐妊した。女は病気になり、その側に蛇が来て女を守るようにいた。女は蛇の子のようなものを1斗ほど生んで死んだ。病中に女が下女に語ることには、「夫ではなく蛇であった。自分は生きながら畜生道に落ちた」と泣いたそうだ。
類似事例 |
|
イヌガミ 1951年 徳島県 老女が急に泣いたり、情緒不安定になった。おどしてみると犬のように犬神持ちの家のほうに走り去っていった。老女は倒れてしまったが、介抱すると元に戻り、自分が何をしたのかは覚えていなかった。
類似事例 |
|
オンナ 1913年 岩手県 ある猟師が、女を鉄砲で撃ち殺そうとしたら、手足がしびれて声が出なくなり、そのまま女はにたにた笑いながら行き過ぎてしまった。この猟師はあとで病気になった。この女を見た者は、病気になるか、死んでしまう。
類似事例 |
|
ウマ,カイコ 1940年 中国 頼みごとを叶えてくれたら妻となることを、飼っていた馬と約束した女がいた。ところが、望みが叶っても実行に移さないばかりか、父親がその馬を殺して皮を巻中に晒した。すると、その皮が女を取り巻き、桑樹に飛び去った。女は蚕にされてしまったのであった。
類似事例 |
|
(ムクイ) 1974年 東京都 牛を虎の皮で縫い包み、さらに鳴かないように口を縫いつけて見せ物にしていた者がいた。口を縫っているので食物が食べられず、5、6日で死ぬので、取り替え取り替え5、6匹に及んでいた。その頃から精神に異常をきたし、牛の啼くまねをしながら死んだ。
類似事例 |
|
ヤマイヌノオンガエシ 1941年 岐阜県 昔、ある老婆は口に猪の骨が刺さっていた山犬を助けたが、家に帰る途中で、その山犬はお礼に猪一匹の死体まで案内してくれた。
類似事例 |
|
ダイジャ 1938年 栃木県 若い呉服商人が若い女が峠にひとりで立っているのに出会い、道連れとして旅をし、やがて夫婦になった。子供が生まれたが、男が様子が変なのを疑って覗くと、大蛇が授乳していた。気付いた女は眼球を取り出し、子供が泣いたらしゃぶらせるように言って姿を消した。噂が広まり、眼球が役人に取り上げられたので男が峠へ行くと、大蛇がもう一方の眼球を渡した。
類似事例 |
|
ヘビ,ミズクモ 1987年 徳島県 ある人がすげを採りに山へ行き、石の上で弁当を食べていると、くもが来て足の親指にすげを結んで淵の方へ引き込もうとした。その人がすげを木株に移し掛けると、株ごとひっくり返された。怖くなって逃げると大きな蛇が現れたので、牝牛を身代わりに助けてくれと言った。その晩、家の牛がひどく鳴き、翌朝見てみると牛は死んでいた。
類似事例 |
|
ヒノタマ 1951年 兵庫県 牛に車をひかせて帰っていたら、頭ほどある黄色い光りものが現れ、音をたてながら飛びまわり、股ぐらを抜けて飛び去った。20日くらいは頭が上がらなかったという。
類似事例 |
|
カワコ 1965年 兵庫県 ある人が牛を川出ししていたら、川コが牛を引こうとしたので、牛が驚いて走り出し、川コをマヤ(厩)まで引いてきてしまった。川コが命乞いするので助けてやると、一本針をくれた。その針はうてばどんな病も治るという。
類似事例 |
|
コマイシ,オンナ 1984年 長野県 隣の部族からの不意打ちによって捕らえられた男を追いかけてきた女が、男が殺されるところを見た。その瞬間、女は連れていた馬の手綱を着つく引いたので、馬の前足が岩にくい込み、足を痛めた馬と女は谷に落ちた。女の悲しみの蹄の跡といわれる。
類似事例 |
|
オンナ 1921年 岩手県 上閉伊郡上郷村に住んでいた美しい娘が急病で死んだ。その3年後、六角牛山という深山に狩りに行くと、女がいて、死んだようにみせかけられ、人ではない夫に連れてこられたのだという。狩人はこの話を他の人にすると、女の命も自分の命もなくなると言われた。
類似事例 |
|