オオヒト 1929年 青森県 嶽の湯で笛を吹いていた人が、あるとき外に人がいることに気がついた。気味が悪くなったので、ある晩笛を吹きながら障子の外を見ると、巨大な人影があった。そして用意していた刀で斬りつけた。人影は山に消えていった。その後は血が滴っていた。正体は大人だろうということになった。
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ヒヒ 1976年 新潟県 延宝か天和のはじめ、ある山家の老人が山から帰ってこなかったので、その妻がいぶかしがり、人に頼んで山を捜索してもらった。すると山奥に老人の笠とわらじが落ちていたので、それを怪しみ、村で山狩りをした。ところがなにもなかったので下山しようとすると、風が藪を吹くような音がしたので振り返ったところ、赤熊を被って目が星のように光る獣が襲ってきた。大力の若者が鎌で眉間に切りかかったが、若者を谷へ投げ落とした。残った者は逃げ帰り、越後公へ訴えた。そこで江戸より軍師を呼び、山狩りを行わせた。獣が現われたので、それを鉄砲で仕留めた。
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キツネ 1956年 宮城県 明治の中頃,北郷の者が大河原で魚を買い,酔って帰ってきたところ,洞門附近の杉山で身の丈一丈六尺以上もあるような大男に襲われて背後から羽交締めにされた。しかし男は柔術の心得があったのでこれを投げ飛ばし,麓の茶屋まで駆け下りて事の顛末を話した。茶屋の老爺から何か生臭物を持っていなかったかと聞かれて調べると,魚を包んで首に結んでいたはずの大風呂敷が無くなっていた。背負い投げで飛ばしたのは自分の大事な包で,狐に一杯くわされたのである。
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ウシオニ 1991年 島根県 松平の家来の老人が、ある夜海上で城を見たがすぐ消えた。翌日8尺くらいある男が泳いできて相撲を挑んできた。老人が什比べをしようと提案すると男は船に大鮑を乗せてきた。それを持ち帰るとその男は牛鬼だと皆に言われた。老人は鋼の玉で撃って男を仕留めた。
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キツネ 1956年 宮城県 藩政時代,角田館主石川家の家臣で館矢間にいる若侍達が,城下での稽古から帰ってくる途中魚などを持っているとよく狐にだまされた。ある時若侍達が,竹刀の先に魚を結び付けて夜道を無事に帰ってこれるかどうか賭けをしようということになり,一人が竹刀を持って出かけていった。朧月夜の並木道に差し掛かると,向うから竹刀を肩にした武芸者風の大男がやってきて,すれ違いざまにいきなり打ち込んできた。若侍が思わず竹刀で受け止めると大男は消え失せてしまったが,気がつくと竹刀の先の魚の包も無くなっていた。
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バンレイ 1974年 東京都 天明年中、ある者が鰻を仕入れたが買った覚えのない大鰻が2匹混っていた。裂こうとしたが手慣れているにもかかわらず錐で手を刺してしまった。他の者がさばこうとすると腕に巻きついてきて、尾で脇腹を打ってきた。助けるつもりはないからおとなしくしろと言ったら料理できたが、死体を焼く匂いがした。その夜丑3つ時のころ、鰻の生け簀の所でおびただしい音がして、驚いて行ってみると、上にのせた石はそのままだった。中を見ると多くの鰻が蛇のように睨んだ。もう1匹の大きな鰻は消えていた。
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イジュウ 1974年 京都府 延宝年間のこと、京の南にある吉祥寺村で、吉祥天女のご開帳があるというので、近隣の村々から六斎念仏を行う者が多く集まった。その彼らが打つ鐘や太鼓の音を恐れたのか、怪獣が出てきて、ある百姓の家の縁の下にかけ入った。それを生け捕りにすると、顔は狸に似て、鼻から額まで黒く、うなじは白い。さらに背は黒く、腹は白く、徳利のような丸い尻をしており、尾はなくて前足はモグラのようで、後ろ足は長く犬のような獣だった。餌は串柿だけ食べたという。
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ケショウノモノ 1974年 武州で夜周囲に人家のないところで寝ていると、二十四,五歳の賤しくはない女が現われた。化生のものだと思い殺そうとしたが身体が動かなくなった。女の帯を銜えると女が食おうとしたときからだが自由になったので斬り付けた。女は消えた。この所の神は人を嫌っているという事もあるかと思い、社を出た。
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テングベエ,ダイコクテン,エビスサブロウ,ホテイ 2001年 京都府 そのころ盗人の大将に天狗兵衛という者あり、手下を引き連れ左近丞の家に押し寄せる。大黒天が天狗兵衛の頭を割ると、首は同へ収まってしまう。えびす三郎は釣竿を振って盗人の手下のきつね兵衛の鼻にかけ、生け捕りにする。布袋は座禅の最中で微動だにしない。かくて盗人は退散し、福の神たちは昼夜の酒宴を行い、管弦に興ずる。
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シュテンドウジ,イバラキ 2001年 京都府 正暦3年3月26日に大江山に登る。鉄門があり、酒田公時が打ち破る。都から持参した銘酒を鬼に飲ませる。酒呑童子は肴に人間の腕を取り出す。酒呑鬼は17、8歳に見える美男であった。酔って奥の一間に入り、正体を顕して寝入る。丈は9尺8寸もある。各々声をかけ目を覚まし、一言王の怨みと言い首を打った。その頭は天に飛び上り、頼光の頭に食いつく。渡辺綱は茨羅鬼の部屋に入る。茨羅鬼は綱の姿になる。大勢押しかけたがどちらが本物かわからない。頼光が都の綱には額に痣があるといい、急に眉間の上に痣の出たほうを退治した。外の鬼も撫で
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チョウチンコゾウ 1956年 宮城県 堤通りの東横丁、北七番丁と北六番丁の中間あたりで数年前から時々あったことだが、雨の夜など、提灯を下げて南へ下っていくと、12,3歳の小僧が小提灯を持ってあとさきになって行く。ふと振り向いたその顔は酸漿のように真っ赤なので思わず悸(どき)っとした。北一番丁あたりで消えうせた。そこは以前富岡十之介の屋敷だった。十之介は正徳年中7月15日の夜、妻を町の盆火見物に連れて行き、帰宅するとどういうわけか乱心して、井戸のあたりで妻を斬り捨ててしまった。それ以後、夜更けにそのあたりで妖火が燃え上がり、界隈の評判となった。
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ヨウカイ 1974年 大阪府 安永3年10月晦日真田山付近を大阪の侍が歩いていると耳元で声はするが姿が見えないということがあった。やがて虚無僧と町人と同道することになったが僧は妖怪のようなので斬ることにしたら姿が消えた。侍の気迫で逃げたのだろう。
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ヨウカイ 1977年 享保初年頃、剣術指南をしていた江戸大久保の浪人が年末に闇夜を弟子と歩いていると門柱の飾りの竜が襲いかかってきた。弟子は逃げたが立ち向かうと動かなくなった。次に寺から女が現れ耳をつかまれたら不意をつかれた為気絶してしまった。戻ってきた弟子に醜態を見られた。
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カッパ,カイブツラシキモノ 1928年 福岡県 元禄の頃の話。ある女房が雪隠に坐っていると、怪物らしきものの手が尻を触った。翌日も同じようなことがあったので、刀を持って入っていた女房がその手を切り落とした。数日後、夫の枕元に河童が手を返してほしいときたので、その場で手を接がせ、接骨法を聞いて返してやった。翌朝、庭先に礼の鱸があった。
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ミミノスリバチクライアルオオキイヒト 1956年 静岡県 春たまりに魚を採りに行ったときのこと、耳のすり鉢ほどある大きな人が現れたので、恐ろしくて逃げてきた。
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オオザル 1933年 広島県 ある武家の家に夜な夜な怪物が出るという噂が流れたが、主人は害がないならとほっておいた。ある武士が厠の窓から現われた手に掴まれたが、引き戻して頭を殴りつけた。正体を見ると、年老いた白毛の大猿であった。
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ヤクジン 1976年 東京都 天保8年2月下旬、次女の乳母が日暮れに急に寒気立ち、夜着を被って打ち伏せていたところ、翌朝になり、昨夜より風呂敷包みを背負った男が側にいると言った。これは疫神かと、種々の札を枕元に掛けたところ、男は立ち去ったといって全快した。ところが上野の祭礼に主人とせがれとで行ったところ、急に歯が痛くなり、家に帰ると治った。すると乳母が再び寒気を訴えた。そこで刀を抜き乳母を峰打ちにしたところ、男がすぐに立ち去るので、障子を開けて欲しいと言った。障子をあけると乳母はそこで倒れたが、そのまま起き上がり正気となった。早く塩をまいて箒で掃き清めよ、と言った。
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ユウレイ,オンナ 1982年 新潟県 夜ふけの渡し場で、川向うから女の声で、オウイ、オウイと呼ぶ声がした。船頭がいってみると、人影は見えない。乗るように促すと舟が重くなり、誰かが乗ったようだった。川を渡ってから降りるようにいうと、舟が軽くなったような気がした。船頭が、こんな夜ふけに舟を出させておいて、あいさつもなくというと、首に縄をぶら下げ、目の玉のとび出た、まっさおな顔した女が長い髪を前にたらした姿で現れ、菩提寺へ行くといって草むらへ消えた。
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イキリョウ 1982年 島根県 大きな家の納屋の2階を借りて寝泊まりをしていると、毎晩、苦しくて目が覚めるようになった。ある晩、目を開けると、真っ黒い大きな四角い顔をしたものが胸を押さえており、小さな目が2つあって、体には黒い毛がいっぱい生えているのが見えた。手刀で切りつけると姿を消した。家の主人には長い間病気の息子がいたが、これ以後次第に快復していった。
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オンリョウ 1974年 茨城県 常州飯沼弘経寺のある僧が病気になった時、身長8尺程の大法師が現れ刀で斬りかかってきた。毅然とした態度で問答をすると大法師は消えた。
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