キツネ 1974年 滋賀県 近江国信楽で、男のもとに女が現れ、仕えている姫君があなたを思い病に伏したので来て欲しいと言った。男が3日も帰らないので家の者が探したところ山中の廃寺で見つかった。話を聞くと女と一緒に暮らしていたと語った。狐にまどわされたのだろう。
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ネコタノコウシンヅカ 1956年 宮城県 郷士阿部某の娘が夕方向山の北裾の山路を通ると,突然身の丈6尺程の大猿が現れ,娘は失神してしまった。翌朝家人が失神している娘を見つけ,家に担ぎ込んだが,娘は日増しに痩せ衰えていく。ある日村の若い衆が見舞いにきて娘の額に手を当てようとしたところ,突然男の頭に柿の実が飛んできてぶつかった。見廻しても仲間しかおらず,翌日も同じ事が続いたので三日目には見張りをつけた。一人が娘の額に手を触れると,突然屋根裏から南瓜が投げ落とされる。上を見ると天窓から大猿が歯をむき出していたので,大勢で追いかけたところ向山のほうに逃げてしまった。その後も,見張っていないと大猿がやってくるので,刈田岳のマタギに頼んで大猿を撃ち殺してもらったが,同じ時刻に娘もあっとうめいて息を引き取ってしまった。その後村人は娘と猿の供養のために山の北麓に庚申塔を建ててやった。初め猿田の庚申塔といっていたが,現在では猫田の庚申塔といわれている。
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イギョウ,カイイ,キカイ 1974年 ある夏の暑い日、疲れて仕事から家に帰ったところ妻や下女の顔が馬に、子の顔が鬼に見えた。斬り殺そうと思ったが思いとどまりしばらく横になり休んでから再び見たらもとに戻っていた。
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ユウレイ,オンナ 1982年 新潟県 夜ふけの渡し場で、川向うから女の声で、オウイ、オウイと呼ぶ声がした。船頭がいってみると、人影は見えない。乗るように促すと舟が重くなり、誰かが乗ったようだった。川を渡ってから降りるようにいうと、舟が軽くなったような気がした。船頭が、こんな夜ふけに舟を出させておいて、あいさつもなくというと、首に縄をぶら下げ、目の玉のとび出た、まっさおな顔した女が長い髪を前にたらした姿で現れ、菩提寺へ行くといって草むらへ消えた。
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テング 1974年 寛政七年七月二十一日の朝、ある侍の子が門口で忽然と姿を消し、二十四日の朝に再び現われた。正気に戻ってから何があったかと聞くと、姿の見えないものに連れられて尾張や富士などを空を歩くようにして見て、母のことを思ったら帰ってきたと言った。
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ユウレイ 1974年 福島県 陸奥白川で、主人の息子の子を産んだ下女が暇を出され家に戻ったところ母親に殺された。下女の幽霊が夜、息子の前に現れるようになったので上人に助けを求めたら4・5日後に再び幽霊が現れ成仏できたと告げ歌を残した。
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ユウレイ 1974年 東京都 江戸柳原で、ある者が天和3年の夏に死んだ。その頃のある夕暮に幽霊が現れ下女の袖を引いた。下女は気絶したがやがて気が付いた。下女の袖がなくなっていたのを不審に思い翌朝妻の塚に行くとその袖が石塔の上にあった。
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オニ,ニンギョウ,ボウレイ 1930年 北海道 幕末に非凡な才能を持つ某のつくった大江山の酒顛童子の山車は青鬼や赤鬼を設えた奇怪な作品であった。そのとき、心中したが生き残った女が男の妄念に取り憑かれた。しかし、その鬼人形を外へ置くと亡霊は出なくなった。
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タケベラタロウ 1956年 宮城県 昔、巡礼の和尚さんがある村に入ると、1人の娘を真ん中にして家内中泣いている家があった。毎年秋の稔りのとき、向こうの山の神様に若い娘を人身御供として供えねば、田も畠も荒らされる、今年はこの家の番だという。和尚さんがその山の社に隠れていると、夜になって大勢の者がやってくる音がして「あのことこのこと聞かせんな。竹箆太郎に聞かせんな。近江の国の長浜の、竹箆太郎に聞かせんな。」と歌う。和尚さんは近江の国へ捜しに行くと、竹箆太郎とは小牛のようなブチ犬だった。和尚さんは竹箆太郎を連れて帰ってきて娘の身代りに長持の中へ入り、やってきた者たちと対決した。翌朝村人たちが行ってみると多くの猿が死んでおり、針金のような毛をした一番大きな猿が竹箆太郎にのどを深く噛み切られて死んでいた。それからはみんな安心して暮らすことが出来た。
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キツネ 1975年 宮城県 馬で魚を買いに行った帰り、立派な身なりをした腹病みの女にあったので馬に縄でゆわえつけた。夜が明けると狐の姿になったので悪さをするなとさとして縄を解いた。夜中になって「ほいほい」と声がするので、次の朝見ると一晩のうちに田が三反耕してあった。
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ユウレイ 1975年 慶長年間、ある城主が死んだ後、夜な夜な妻のもとに訪れた。乳母の女房が幽霊を問い質すと、一子をもうけることができなかったのが心残りだと答えた。男子が生まれたら現れなくなった。
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オロクジゾウ 1922年 新潟県 ある村で毎年盂蘭盆の夜に盆踊りが始まると決まって見知らぬ若い女が現れ、美しい声で音頭を取った。誰だかわからなかったが、いつしか「お六」と呼ばれるようになった。ある夜よくない男達がお六をとらえようとしたが、村端の石地蔵の辺りで姿を消した。その後、娘が来ることはなくなり、村はさびれた。娘の正体は石地蔵とされ「お六地蔵」としてあがめられた。
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ビジョノヤシキ 1956年 宮城県 仙台藩士日向某が泉田出雲を尋ねると,同家の土塀の出格子から,内側の庭園に美女がいるのを見た。主人に庭にいる美女は誰かと尋ねると,「あなたも見たか。春の長閑な日は路地の向うの畑に佇んでいる事もあり,暮れ方には白装束に散らし髪で茶の間の前の釣瓶井戸で水を汲み上げている時もある。前代の本田伊賀,つまり源之助の父が住んでいた時からそういう変異があったと語り継がれてきた」と話した。雨の降る淋しい夜などに腰の曲がった老婆が破れた鉦鼓を首に掛けて軒下を徘徊する事もあったという。但し家や人に害をなしたり凶事が起こることはなかった。
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〔ジョウゲンチュウ〕,オキクムシ 1974年 滋賀県 近江国志賀郡別保の里に常元やしきと俗称される家があり、ここに居る者は必ず禍があるという。その故を尋ねると、蒲生家の侍だった南蛇井源太左衛門なる無頼が諸国で悪行を重ね、生まれ故郷の別保に帰って剃髪して常元と称した。慶長5年に以前の罪で捕縛された常元は、その家の柿の木に縛られて最後には斬られた、しかしその骸を木の根本に埋めたところ、数日後、顔や目口鼻がある人を縛っている姿に似た妖しい虫が、毎年多く墳上に現れて、蝶に化けて消えたという。人々はこれを常元虫といった。
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〔センビキイシ,チビキイシ〕 1956年 宮城県 多賀国府があったころ、この里に住む女に通う男があった。近くに大石があり他所へ運んで砕かれることとなったが、男はその大石の精であった。運ばれていく前夜、男は女に別れを告げ「明日は何百人で引いても動かぬが、あなたになら引かれよう」という。はたして動かない石を「わたしがひく」と女が申し出る。気狂いに引かせるのも面白いと女に引かせると軽々と動く。女は国府から褒美をもらって幸せになる。これを千引石といい、志引観音堂の丘の下の田に残る。
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クビヅカ 1956年 宮城県 寛文頃(1661~1673),津谷東禅寺住職木陽和尚は学徳が高く尊敬されていたが,無実の罪で訴えられ打首に処せられる。和尚は村の方を睨んで,「もし罪名の如く破戒の罪があれば我が首は地に落ちるが,無実なら首は飛び上がるだろう」と言い残した。刎ねられた首は何処ともなく飛んでいき,その後村に怪異が続いた。食事中血塗れの腕がぶら下がってきたり,夜更けに怪しい呻き声が聞こえたり,針仕事をしている女が後ろ髪を掴まれて引き倒されたりした。1,2年後,日山という托鉢僧が秋の夕方野路を通ると,後ろから自分の名を呼び止める声が聞こえるが姿が見えない。よく見ると一人の僧形の姿があり,「自分は無実の罪によって刑死したが,供養する者もなく,妄執で浮かばれず迷っている。供養してもらいたい」と頼んだ。翌朝その辺りの草叢を調べると,石に噛り付いたままの骸首が見つかった。日山が懇ろに弔ってやると,その後村の怪異は絶えた。村人達も供養碑を建てて厚く祀り,参詣者が絶えなかった。
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ココツ 1974年 京都の侍が出世のため妻を捨て権力者の娘と結婚して東国へ行った。やがて捨てた妻が恋しくなり京都に戻って家を訪ねたら昔のように迎えてくれた。一夜明けたら妻はおらず、骨が転がっていた。隣人に尋ねると去年の秋に死んでいた。
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ユウレイ,モノノケ 1973年 ある侍に恋をした女へ他の侍が偽恋文を出した。女はよろこび、それから夜にまぐれて侍と忍び会った。やがて侍は女のもとに来なくなった。女は侍に近付いたが侍は知らぬ事なので取り合わなかった。やがて女は病死したがその夜より侍の寝床に幽霊が現れるようになった。
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ヒトリモノノオトコ,ヤマ 1995年 島根県 ある独り者の男が、若い頃に畦を塗っていると、後の山からおいおいという声が聞こえた。知らん顔をしていると、上の山へ連れ上げられて、晩になっても戻ってこなかった。手分けして探したが見つからず、鉄砲を撃って戻った。すると、夜に男は見つかったが、はだしで雪袴はもぐらだらけになっていた。どこにいたか聞いても何もわからなかった。
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カネ 1975年 滋賀県 近江国文保2年三井寺回禄の時、鐘を叡山が奪った。しかし撞いても鳴らず、強いてこれを撞けば、三井寺に帰りたいと言うように鳴った。衆徒は怒って鐘を無動寺の上から落として捨てた。すると毎夜小蛇が現れ尾で割れ目を叩いた。すると割れ目は元に戻った。
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