ヤマノカミサマ 1969年 秋田県 1940年前後のこと、村が大火に見舞われたとき、山神神社の前にとてもきれいな若い女の人が立っているのを見た人がいる。山の神様だろうと言われた。
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キツネ 1993年 岩手県 話者18,9歳の旱魃の年の5月のある日、暗くなってから米を買いに出かけたら、神社の神様が牛のように見えた。きつねだなと思って友達の家に逃げた。暫く休んでまた歩くと、今度は井戸の脇のあぜ道で周りをふさがれて歩けなくなってしまった。もう帰ろうと思って山道を行くと、ニシという屋号の家の倉の横で火が燃えていて、山々や土沢の町がガラッと見えた。倉の横で火なんか危ないなと思うと、ウサギのような足音が通り過ぎていった。きつねが諦めて山に入ったのだろうか。
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イナリダイミョウジン,オヤテイサマ,イナリサマ 1983年 岡山県 加茂町小中原には、守護神として稲荷大明神を祀っている部落があるが、この部落は明治44年4月4日に火災にあい、大半が焼けてしまったことがあった。後に、この火事の1週間前にオヤテイ様が激しく鳴いて飛び回っていたことが分かり、それは稲荷様のお告げだったのだろうと考えられた。
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ゼンチョウ,ヒノタマ 1946年 岐阜県 小さな部落のほとんどが全焼した火事の数日前、提燈ほどの大きさの火の玉が出た。
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(チイサイニンゲン),イタチ 1964年 福島県 ある夕方、井戸ばたで仕事をしていたら、かたわらに60センチメートルほどの人間が突然でてきた。たとえようもない見ぐさい(見苦しい)顔であった。「ぽこ、ぽこ」と青赤い火が2,3メートルも立ち上がってぽっと消える。いたちのしわざだという。
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カンノンノミズ 1932年 長野県 明治10年頃のこと、塩尻峠を登っていた若い躄が、清水の湧き出る場所で水を飲み、ふと見上げると観音様がいた。彼は近寄って額づいていたが、そのまま深い眠りに落ちた。目を覚ますと躄は立ち上がれるようになった。この噂が広まり、観音様をお参りする者が日に日に増えたが、供え物をめぐって人々が争うと、観音様は忽然と消えてしまったという。
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エンマドウヨコチョウノカイ 1956年 宮城県 明治の中頃,附近一帯の道路工事に伴って泥沼を埋め立てた。工事完成の数日後,夕方そこを歩いたら髪を振り乱した白い葬衣の女が現れて,何か訴えたげにしていたのを見た者が出た。昔塩竃明神の火災の時,この池にお釜が飛んできて埋まった。明神を信仰していた門前町の妓楼の遊女も焼け死んで,その魂がお釜に縋ってここに埋まったので,今回現れた女はその幽霊だということであった。一方,その幽霊は塩竃の遊女ではなく,近くの弓ノ町が遊女町であった頃無残な死に方をした女があり,その墓石が道路工事で古池の傍らに埋められてしまったために怨んで現れたという噂もあった。円福時近くに住む丹野某と言う請負師がこれを聞いて古池近くを掘らせるとそれらしい墓石が出土,これを厚く弔うとその後幽霊は現れなかったと言う話も行われている。
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ヒトダマ,ヒノタマ 2003年 長野県 大正5年6月頃、夜中家の池にたたずんでいると、隣家の庇からファーンと揺れながら火の玉が出た。翌朝になって隣家の少女が亡くなっていた。目撃した火の玉は人魂だったと世間一般の事として聞かされた。
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トビカンノン 1984年 長野県 寺に落人が逃げ込んでいると言う噂が立ち、織田信長軍がその寺に火をつけた。数日して、村人が川の滝壷近くにあるこの寺の仏像を見つけた。火が熱いので御本尊が自ら川に飛び込んだと言われるようになった。
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アカボウズ 1974年 京都府 日野一位資枝が若い頃、家の子に向かって深夜まで酒を飲んで物語を聞かせていたところ、屏風の後ろがにわかに明るくなり、誰かが紙燭をもって歩いている気配がした。そこで屏風の後ろを見てみると、火焔の中にあかき法師が立っていた。人を呼んだところ、たちまち消えてしまったという。これはあか坊主といってこの家に吉事がある兆しだという。
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タヌキノヒ 1984年 香川県 夜がふけてから真向かいの山に火が見えて、傍の家の障子の桟がありありと見えることがある。きれいな娘が味噌桶をかかえており、その着物の縞目まではっきり見える。これは狸の火だという。
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ネコタノコウシンヅカ 1956年 宮城県 郷士阿部某の娘が夕方向山の北裾の山路を通ると,突然身の丈6尺程の大猿が現れ,娘は失神してしまった。翌朝家人が失神している娘を見つけ,家に担ぎ込んだが,娘は日増しに痩せ衰えていく。ある日村の若い衆が見舞いにきて娘の額に手を当てようとしたところ,突然男の頭に柿の実が飛んできてぶつかった。見廻しても仲間しかおらず,翌日も同じ事が続いたので三日目には見張りをつけた。一人が娘の額に手を触れると,突然屋根裏から南瓜が投げ落とされる。上を見ると天窓から大猿が歯をむき出していたので,大勢で追いかけたところ向山のほうに逃げてしまった。その後も,見張っていないと大猿がやってくるので,刈田岳のマタギに頼んで大猿を撃ち殺してもらったが,同じ時刻に娘もあっとうめいて息を引き取ってしまった。その後村人は娘と猿の供養のために山の北麓に庚申塔を建ててやった。初め猿田の庚申塔といっていたが,現在では猫田の庚申塔といわれている。
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フジョウノバツ,マサユメ 1937年 秋田県 保呂羽山権現の元宮の別当の家で火事があり、参詣者でこの家に泊まっていた多くの人が焼死した。これは別当家の老婆が死んだのを秘していた不浄の罰だという。その夜、別当家より他家へ嫁いだ嫁が火事の夢を見ていたという。
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ヘビ,タタリ 1959年 鹿児島県 大正年間のこと、この部落に住んでいる者が1匹のガラガラ蛇を殺した。珍しいものだったので、小学校に寄付し標本とされた。それから間もなくして、小学校で原因不明の火災があった。数日後、ヘビを殺した者の家もまた火事になった。佐太婆さんと呼ばれる物知りによると、これは殺した蛇の祟りであり、蛇は小学校の敷地にあった寺の住職の亡霊だという。そのため蛇を綺麗に洗い埋葬した。しかし、それからしばらく部落では子供の数が増えなかった。
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ドクジャ 1976年 静岡県 桜村に池の社という方5町程の2つの池がある。毎年8月彼岸の中の午の刻に半切り桶に赤飯を盛って水泳が達者なものが池の半ばまで押し行き池の真中で手放す。池の水が渦巻いて桶は水中に沈む。伝えによると昔、国主が入国した頃、妾とこの池辺りに遊興した。すると俄かに池に波が立ち妾が池に引き込まれてしまった。国主は怒って池に焼いた石を投げ入れさせ続けた。7日7夜続けたところ毒蛇が死んで浮かんできた。頭は牛のようで、背に黒い鱗があり、白い角が生えていた。また肥後の阿闍梨皇円の霊魂がこの池に入ったとも言われる。
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ヌマノヌシ 1977年 福島県 炭焼きに行った美しい娘が、毎晩沼で水浴びをしていた。沼の主が娘に惚れ、あるとき娘の足を引っ張って持って行った。主が食ってしまったという。沼には何かしら主がいるというが、沼が乾いてしまったので、主は後ろの山を越えて行ってしまったという。
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オロクジゾウ 1922年 新潟県 ある村で毎年盂蘭盆の夜に盆踊りが始まると決まって見知らぬ若い女が現れ、美しい声で音頭を取った。誰だかわからなかったが、いつしか「お六」と呼ばれるようになった。ある夜よくない男達がお六をとらえようとしたが、村端の石地蔵の辺りで姿を消した。その後、娘が来ることはなくなり、村はさびれた。娘の正体は石地蔵とされ「お六地蔵」としてあがめられた。
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テン,タイショウ 1941年 新潟県 本堂から火が出ると見かけない小僧が出てきて、鐘を付いたり村中に知らせて廻った。これをやっていたのはおそらく寺のタイシャウ(貂)であろう。
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ビシャモンサマ 1968年 愛媛県 京都の鞍馬山が焼け、3体の仏体のうち1体が行方不明になった。数日後、神ノ浦の山頂で火がともるので、部落のものが見に行くと焼け焦げた仏体があった。これを毘沙門天として祭ったという。
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テング,アカイキモノヲキタハナノタカイヒト 1958年 岐阜県 昭和30年頃の事。ある家が火事になったとき、子供が「赤い着物を着た鼻の高い人が来て火を焚けと言った」と言った。それが天狗だろうということになった。
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