シバイゴヤノカイ 1956年 宮城県 宿直の高橋庄七郎がうとうとしていると,突然奥の舞台の方で皿が落ちて割れるような音が聞こえた。戸の隙間から覗くと舞台の片隅がぼうっと明るくなっており,廻り舞台の辺りから白い霧のようなものが湧き立った。それが次第に「藤娘」のような舞姿の娘の形になって,すべるように自分の方に近付いてきたので,高橋は気を失ってしまった。気がついたときには舞台は真暗闇で,藤娘に似た霧のような姿も消えていた。
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(チイサイニンゲン),イタチ 1964年 福島県 ある夕方、井戸ばたで仕事をしていたら、かたわらに60センチメートルほどの人間が突然でてきた。たとえようもない見ぐさい(見苦しい)顔であった。「ぽこ、ぽこ」と青赤い火が2,3メートルも立ち上がってぽっと消える。いたちのしわざだという。
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ヒノタマ 1933年 鹿児島県 ある夜、大きな火の玉が村中の空を飛んだ。光が明るく、見ている人の影が地に映ったほどだった。
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ヒノタマ 1981年 茨城県 会館に集まっていると、周りが明るくなって火の玉が現れた。青白い光を放ち、尾を引いて飛んでいった。ザーッという大きな音がした。
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シバイゴヤノカイ 1956年 宮城県 宿直の遠藤某が場内を一巡した後布団に入って寝ていたが,一時を過ぎた頃何となく息苦しくなって目を醒ました。すると部屋の外でズスリ,ズスリと草履を引きずって歩くような音がする。思わず身を起こすと,突然舞台の方で大石を投げ落としたような大きな音と,舞台の板がめりこむような大きな音がした。場内の電灯を全てつけて明るくし,「誰だ」と怒鳴りながら舞台にいってみたが,何の異常もなかった。
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チョウチンコゾウ 1956年 宮城県 堤通りの東横丁、北七番丁と北六番丁の中間あたりで数年前から時々あったことだが、雨の夜など、提灯を下げて南へ下っていくと、12,3歳の小僧が小提灯を持ってあとさきになって行く。ふと振り向いたその顔は酸漿のように真っ赤なので思わず悸(どき)っとした。北一番丁あたりで消えうせた。そこは以前富岡十之介の屋敷だった。十之介は正徳年中7月15日の夜、妻を町の盆火見物に連れて行き、帰宅するとどういうわけか乱心して、井戸のあたりで妻を斬り捨ててしまった。それ以後、夜更けにそのあたりで妖火が燃え上がり、界隈の評判となった。
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カナシバリ,ヒトノテ 1994年 京都府 若い頃炭窯に泊り込んで炭焼きをしていた。その晩は何かの気配で目覚めたら、周囲にぶら下げてある筵の間から人の手が出ていた。その瞬間金縛りにあって身動きができなかった。
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ヒカルトリ 1981年 和歌山県 夜の山道を若者が歩いていると、炭俵が置いてあった。それを谷に蹴飛ばしたら、闇の中に光る鳥が飛び交った。その人は驚いて逃げ帰った。
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アヤシキコト 1993年 東京都 赤坂伝馬町で、夜な夜なあやしいものが現れた。まるで池袋の怪のようである。ある夜、筆をおいて置いたら、字のようなものを書いた。
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ムジナ 1933年 長野県 夜、遊びにきた近所の友達と一緒に子供たちだけで遊んでいた。9時頃、急に土間の戸が開いて「郵便、郵便」という者がいたが、出てみても誰もいない。11時頃帰ろうとした友達が庭に出ると叫び声をあげたので訳を聞くと、何もかも玉色に光っていたとのことだった。狢が化かしたのだった。
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キツネノチョウチン 1937年 大阪府 夜、向こうから提灯の行列がやって来るのに出会った。不審に思った男が誰何すると、一瞬にして灯が消えた。しばらくすると、そこから離れた場所で提灯の行列が進むのが見えた。
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バンバ 1965年 山形県 暗くなって大風が吹き、生暖かい風が吹いてきて山鳴りがした。ひとつまなぐが現れ、鉄砲で撃つと提灯の明かりのようなものがぶらさがり、白髪の婆んばが糸車をくるんくるんと廻していたのでこれも撃った。血の跡を辿った先の穴に火を付けると煙は虻になった。
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ハナ,バケモノ 1935年 熊本県 暗くなりかける頃、魚売りが夫婦坂で若い女に会った。女が煙草の火を欲しがるので、煙管を差し出すと、女の鼻がにゅーっと伸びた。驚いて魚笊を捨てて家に逃げ帰ると、嬶に化け物に会ったことを話した。すると嬶の鼻もにゅーっと高くなった。魚売りは驚いて気絶してしまい、気がつくと夫婦坂で倒れていて、夜が明けかかっていた。
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キツネ 1972年 千葉県 話者の家族が使いから帰るとき、夜道で狐が葉っぱを取ってチョンチョンとしているのを見た。そうしたら狐が消え、提灯の火も消えて、朧月夜だったのが闇夜になった。化かされると動いてはいけないと言うので、その場から動かずまた火をつけた。しばらくすると、また元の朧月夜に戻った。
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タヌキ 1994年 京都府 番に炭焼き小屋で窯焚きをしていたら、鋸で木を伐る音がした。狸が化かしに来ているに違いないと思い、矢庭に燃えた木をつかんで音のするほうへ投げつけると、炎の明かりの中に、黒いものが逃げていくのが見えた。
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キツネ,ヒノタマ 1976年 山形県 夜遅く歩いていると狐に化かされる。夜道を歩いていたら、狐が現れて逃げていった。少し歩いていたら、提灯のような火の玉が現れた。驚いて逃げ、それからは村の人たちは夜遅く歩かないようになった。
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カワウソ 1938年 石川県 ある冬の夜、道端の一段高い桑畑に白張の提灯が立っていた。また別のところには、その桑畑を端から端へ、ちょうど青竹が鳴るようにカラカラと大きな音が鳴った。
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トオリアクマ 1976年 昔ある武家が庭を見ていると、植込から炎が上がり、その向こうの塀から白襦袢で髪を乱し槍を持った男が飛び降りてきてこちらを睨んだ。心を落ち着け再び見ると消えていた。代わりに隣家の主人が乱心していた。
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カガヤイタヨウナスガタノヒト 1992年 奈良県 昼間、子供たちが薬師堂に遊びに行ったら、輝くような姿の人が出てきた。そして子供たちに「お前ら、来いよ、来いよ」と言った。子供たちは怖くなり、逃げ帰った。
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バケモノヤシキ,アヤシキコトドモ 1974年 東京都 三年坂中程にあった屋敷は化け物屋敷であった。夜更けに仕事していると側にいた女の顔が伸び縮みしたり、恐ろしい顔になったり、座敷で火が燃えたり、病気で寝込んでいる女が掃除しているので寝込んでいる部屋に行くとやはり寝ていて、戻ってみると掃除していた女は消えていた。
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