ツツジノムスメ,マショウノケシン,アタタカイモチ 1987年 長野県 山口に暮らしていた美しい娘が,毎夜太郎山や妻女山を越えて男のもとへ通っていた。いつも温かい餅を持ってくる。これを不審に思った男は娘に問い詰めた。すると娘は男に会いたい一心でやってくるという。しかしますます疑いを深めた男は娘の殺害を思いつく。待ち伏せしていた男は,裾をひるがえして駆け登ってくる娘の姿を目撃し,谷底に突き落として殺害した。それから娘が落ちた辺りには,真っ赤なつつじが咲き乱れるようになったという。
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ヤマノモノ 1983年 岩手県 大勢子供がいる家族の娘が、桑刈りの合間に行方不明になった。それから何年もした風雨の激しい日に娘は帰ってきた。何年も山で暮らし、髪も顔も山の者になっていた。家族は味噌汁など作って歓待したが、娘は「辛くて食べられない」と泣きながら山へと帰って行き、山で山の者として暮らした。
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キツネ 1998年 奈良県 冬の寒かった時、お祖母さんが身ごもった狐の巣に綿を持っていった。翌春、きれいな娘さんがお祖母さんに家を訪ねてきた。けれども、お祖母さんが玄関に出てみると誰もいなかった。不思議に思っていると、玄関の入り口にお盆に載ったお餅が置いてあることに気づいた。狐がお礼に来たのである。
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タヌキ 1992年 奈良県 寂しい所を馬をつれて荷を運んでいたら、小柄な娘が現れ、「馬に乗せて一緒に連れて行ってくれ」と言った。それが毎晩のように続いた。今日こそは手をつかまえて家に引っ張り込もうと考え、娘の手をつかまえて帰った。家の前まで来た時、娘が「痛いから持ち替えてくれ」と言うので持ち替えた。そして思い切り引っ張ったら、手はナンバキビに変わっていた。
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キツネ 1987年 岐阜県 炭焼きが夜帰るときに、山からきれいな娘が付いてきた。話かけても一言もいわない。一休みして、どこの娘だろうと思って振り返ると、誰もいなかった。
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コウノイケ 1956年 宮城県 昔、一郎二郎三五郎という者が、沼で草を刈っていると二十歳ばかりの美しい娘が出てきて「わたしは大阪の鴻の池の者で、わけあって3年前にここにきた。向こうの様子が知りたいのであなたが上方詣りに行くついでに向こうにいる妹にこの手紙を持っていってくれまいか」と言ったのでひきうけた。娘はお礼に「毎朝米一粒入れてかき回すと昨日使っただけのお金が出てくる」どんぶりをくれた。一郎二郎三五郎は鴻の池(淋しい山の中の沼で故郷のと似ていた)に着いて、娘に言われたとおりポンポンポンと手を3べん打つと、故郷で会った娘と瓜二つの美しい娘が出てきた。一郎二郎三五郎が手紙を渡すとたいそう喜び、すぐに返事を書き「姉に届けてください」と頼み、馬をくれた。故郷に帰り、また沼にいって娘に妹の手紙を渡すと娘は非常に喜んで「あのどんぶりを大切にしてくださいね」と言うと消えていった。ある日隣の慾深かがが(母)がとっていき、一度に米をどっさり入れたので、どんぶりが割れて、二度と金が出なくなってしまった。
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タヌキ 1974年 愛媛県 みよという所の炭焼きが、祭りの晩に山奥へ炭焼きに行った。薄暗くなったころに餅を取りに家に戻り、餅を小屋の中に吊り下げて寝た。夜中に目を覚まし外へ出ると、女の声がした。その声について5分ほど歩くと声が消え、小屋から離れた場所にいた。狸に化かされたと思って引き返すと、狸に餅を全部取られていたという。
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ダイジャ 1963年 山梨県 けちな親子が息子の嫁に「飯の嫌いな子」をもらいたがる。ある日息子が山で泣いている女に出会う。「誰かに嫁にもらいたい」と女は言い、息子が「飯が好きか」と尋ねると、女は「飯ほど嫌いなものはない」と答えるので嫁にした。息子の留守中に女は大釜で飯を炊いて一気に食い、押入れに入って「人くさい」という。息子はただものではないと思い、「山へかえれ」というと、女は「帰るが飯を籠一杯に持っていく」という。籠を背負って山へ行くが籠がだんだん軽くなるので振り向くと女の着物を引っかけた大蛇がいた。
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(カサジゾウ) 2001年 新潟県 冬の夜、山奥でお婆さんと二人で暮らしていたお爺さんが、菅笠を売りに町へ行ったおり、雪をかぶっていたお地蔵さんに笠をかぶせたところ、そのお地蔵さんが恩返しに餅をついてくれた。
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タヌキ 1992年 奈良県 狸がきれいな着物を着た娘さんに化けて出てきた。男の人がついていったら、寂しい所に連れて行かれた。そして男の人は険しい崖を上って帰ってきたという。
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ツツジノムスメ,マショウノケシン,アタタカイモチ 1987年 長野県 若者は,毎晩毎晩細い身で険しい山を越えてくる娘に疑いを抱き,魔性の化身に違いないと思うようになった。娘と関係を続けると,いずれ食い殺されてしまうのではないかと考えた若者は,娘の殺害を決意する。山中の断崖で待ち伏せしていると,娘が疾風のような速さで通り過ぎようとした。若者が踊り出て娘の体をつくと,娘は叫び声を上げながら谷底に落ちていった。その後,娘の落ちた辺り一面に真っ赤なつつじの花が咲き乱れるようになった。娘の血が花と化したものだという。
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ジゾウサマ 1980年 岐阜県 老婆(老人ともいう)が船津へ正月の米を買いに行った。家へ帰ってくる途中、道端の地蔵様に会うたびに米を供えていると、とうとう米がなくなってしまった。老婆は「地蔵様に供えたのでしょうがない。稗か粟で正月をしよう」と言って寝てしまった。すると夜、外で声がした。朝、米俵が玄関前に飾ってあった。お地蔵さんが持ってきてくれたのだろうと言い、良い正月を送った。
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ミガワリジゾウ 1987年 長野県 昔,女中や下男を沢山使っている長者がおり,昼食を田に運ぶ仕事を女中にさせていた。その中に信心深い娘がいて,村の地蔵の傍を通る時には一椀に飯を持って通っていたが,「娘が男の所に飯を運んでいるのではないか」と噂するものが出た。そこで長者は娘を問いただしたが,地蔵にあげているという娘の言葉を信じず,焼け火箸で顔を焼いて白状させようとした。ところが不思議なことに娘は火傷せず,地蔵様の額に火箸のかたがついた。その後,長者は貧乏になり,娘は無事に暮らしたという。
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ウブメ 1979年 山形県 話者が17才の時、蚕の桑が不足したので親族の家に桑をもらいに行く途中に、棒木を積んだ川原から橋を渡ろうとすると、女が棒木に腰をおろして子供を抱いており、手を振ってきた。不思議に思いながら通りすぎると「今晩は」と挨拶してきた。その女は縞の着物を着ていたのがはっきり見えた。帰りにもその女はいて、恐ろしくなり逃げ帰ったという。
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キツネ 1997年 長野県 娘が蚕さまの手伝いで親戚の家に行き、夕方お三社の森へ差しかかると白髪のおばあさんがボタ餅をすすめた。お父さんが迎えに出ると娘が頭を下げていたので背中をたたくと、狐が逃げて正気に戻った。
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オオカミ 1956年 福島県 ある精神が不安定だった娘が、5月5日の柏餅を持っていなくなった。寺の坊主に占ってもらうと西と出た。西の山を探したが見あたらず、50日ほど経った7月15日に村の獣医が偶然、沢の穴で見つけた。着物に苔が生えていた。狼が憑いていたのが呑まず食わずだったので、ひもじくなって出て行ったんだろうと言われた。
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テング 1922年 岩手県 炭焼きをしていた子供が、大檜のところで白髪の老人に連れ去られ、岩屋に住むようになった。食べたことも無いようなおいしいものが出てきたりしたが、両親が祈願をこめた八幡神社のお告げには天狗も逆らえず、子供を返した。
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テングカクシ 1951年 埼玉県 若者がある日突然姿を消し、天狗隠しだと部落総出で捜したが判らず、半月後にぼろぼろの着物で気が抜けたようになって帰ってきた。夜は天狗と山中を歩き、昼は天狗と寝て、食事は天狗が持ってきたという。
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タヌキ 1990年 香川県 昔、夜中の3時頃ばくちを打っての帰り道で菅生橋にさしかかったとき、てぬぐいで姉さんかぶりをした娘さんに出会った。声をかけても返事がない。ふりむくと娘の姿はなく、青い目が光っていた。村の人に話すと狸の仕業だと言った。
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オンナノキョウジン 1953年 埼玉県 女の狂人が嫁装束を行李に詰めて山に入った。初めは美しく着飾っていたがだんだんとぼろを着て小鍋を持ち、村に食物を貰いに来るようになった。真冬でもボロの一重で寒くないようだった。
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