カンノン,ニオウサマ 1930年 奈良県 昔、貧しい行者が長谷の観音に山ごもりの後、下山の途中で最初に会った女を妻にせよとの示現を受け、そのとおりにした。美しい女房だったので、王城の大殿という人が様々な勝負を挑んで女房を奪おうとしたが、神仏の加護でそれはかなわなかった。最後の勝負は相撲で、妻が連れてきた60歳ばかりの痩せた男が安々と相手の力士を投げた。これを不思議に思って後をつけていくと、男は近江の大山寺の仁王様であった。行者は長者となった。妻は瀧蔵観音の化身だった。
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ヘビ,アマゴイ 1954年 三重県 長徳寺の大器和尚が読経すると、一美女が参詣して読経の終わるや退出するのが続いた。女に問うと、門前の淵に潜む蛇が法力で姿を変えたのだった。女が礼に贈った竜鱗を持って錫杖ヶ岳へ登り雨乞いをすると旱天にも必ず雨が降った。
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ダイジャ,ビジン,ウナギ 1939年 香川県 川淵に美女の亡霊が現れて髪を梳くという噂があった。旅の僧がこれを退治しようと祈ったところ、大蛇の体は縮まり、鰻になって去り、上流に滝が出現した。それが雄瀧雌瀧。
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スクイヲモトメルオンナ,クビ 1956年 宮城県 ある冬の夕方、1人の若侍が、荒町から真福寺(愛宕橋際)へ下る細小路の只木惣助の門前で美しい女に出会い、「自分はこの近くに住む囲い女(妾)です。今夜切られるので助けてください」と頼まれ、約束はしたが、そのまま河畔の自宅に帰った。床について真夜中、川の方から「助けて!」という悲鳴が聞こえ、間もなく若侍の家の路地に女の首が飛んできて、恨み言をはいたという。
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アキゾウヌシガフチ,バケモノ 1967年 福島県 弘源寺の近くを顕蔵主淵という。この近くに浪人夫婦が住んでいたが、弘源寺の僧が、その浪人の妻に懸想して何度も言い寄ったが、婦人は応じず、夫に告げた。怒った浪人は僧を切り殺し死体を川岸に捨てた。その後浪人がこの川岸を通ると、化けものが浪人の前に現れ、その後気が狂って死んでしまった。これは僧の祟りだといわれた。
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リュウ 1932年 奈良県 ある美男子の許に、ある夜美しい女が尋ねてきた。2人は夫婦となり子も生まれたが、男は妻について、草履が濡れている事と、井戸で水鏡をしている事を不審に思っていた。ある時それを尋ねたら、妻は亀山の原の池に牡竜とともに住む牝竜の化身であり、池が井戸とつながっているのだと言い、池へ帰ってしまった。池を訪れ妻を呼ぶと牡竜が現れ男を食おうとした。逃げ帰ったが病に倒れ子とともに死んでしまった。
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タヌキ 1992年 奈良県 狸がきれいな着物を着た娘さんに化けて出てきた。男の人がついていったら、寂しい所に連れて行かれた。そして男の人は険しい崖を上って帰ってきたという。
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ダイジャ,ミョウケンボサツノオンツカイ 2001年 岩手県 前妻が姿を消し、長者が新しく妻を迎えようとすると、川上に相応しい娘が居るとのことだった。さっそく向かおうとしたが、そこへ行き着く為には、前妻が姿を変えたところの大虵が住む滝の橋を渡らなければならなかった。困っていると、妙見菩薩の使いと名乗る童子が現れ、菩薩が守るとの旨を伝えて飛び去っていったので、長者はその橋を渡ることが出来た。
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オオガオノオンナ,タヌキ 1933年 長野県 ある晩、一人の侍が畳一畳もある大きな顔の女に出会った。慌てて逃げてから知り合いに話し掛けると、その男も同じ顔だった。狐に化かされたのである。
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シンランショウニン 1979年 山梨県 ある日の夕暮れに、1人の旅僧がやってきて泊まった。翌朝、ここは清浄なところだから何日か行をやりたいというので、堂へ案内した。婆さんが家の内に水の出る所はないものかと捜していると、その旅僧が場所を示した。掘ってみると清水がわき出した。ただし、この水はこの家の入用だけしか出ず、女性が不浄の時には汲んではいけないと約束した。ある時、婆さんが約束を忘れて水を飲んだところ、水が止まってしまったが、坊さんに話して拝んでもらうと、また水が出てきた。後にこの名僧は親鸞聖人であることがわかった。
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ヘビニナッタボウサマ 1987年 長野県 昔,肥後の国に住んでいた坊様が多くの人を救いたいと考え,信州の善光寺に月参していた。四日目には必ず四泊と呼んでいるところにやってきた。ここには美しい池があったが,この池は見つめるものを蛇に変えてしまう恐ろしい池だった。坊様が池の中を覗き込むと,体が熱くなってきて見る見る蛇の姿に変わっていき,しばらくして池の底に消えてしまったという。
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ヘビ,イケノヌシ 1928年 石川県 娘がぶらぶら病で衰えて死にそうになったとき、老僧が来て、医王山の池の水を飲ませよと言った。飲んだところ本復したが、お礼参りの折にふたたび飲むと、娘は池に入り蛇になった。池の主に嫁いだと言われている。
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ヤナギノコンバク,ニョニンノスガタノユウレイ 1956年 長野県 美青年が幽霊が出るという噂を聞き、退治するために現地に赴いた。女の幽霊は古い柳の霊だと名乗り、成仏したいという。青年は自分が僧侶になって引導を引き渡すと言うと、幽霊は喜んだ。仏になった青年はミイラになっている。
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ヤマノカミ,サルガミ 1965年 岐阜県 滝の向こうの国にたどり着いた旅の僧が、村人に歓待され、嫁をもらってそこで日々を過ごすことにする。村人に徐々に肥えさせられた僧は山の神(猿神)への生贄にささげられようとしていたのであった。(話の後半は省略されている)
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ダイジャ 1939年 福井県 およねという女が、夜道に迷って池にはまり大蛇となった。その後は、化けて男の元に通っていた。成仏を願って、報恩講には川からやってきて参っていた。およねの墓を見つけて供養すると、報恩講には雨が降らなくなった。
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タキゾウゴンゲン,ジュウイチメンカンノン 1930年 岐阜県 昔、貧しい行者が山ごもりの後、下山の途中で最初に会い、妻にした女は瀧蔵権現の化身であった。形見に留めておいた金色の片手は新長谷寺の十一面観音に用いられた。この左手は永く女の手にように暖かく、柔らかであったという。
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リュウジョ 1970年 山梨県 日蓮上人が身延山で説教をしていた時、竜女が女に化けて聴きに来ていた。竜女は日蓮上人に見破られて正体を現し、身延山の鎮守になった。また、日蓮上人が流された佐渡にも竜女教化の話がある。美しい娘が日蓮上人の読経を聞きに来ていた。娘は結縁のために袖に曼荼羅を書いてほしいと頼んだ。上人は願いどおり書いたが、娘は実は蛇だったという。
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ダイジャ,リュウグウ 1987年 和歌山県 釣りをしていた若者が美しい女につれられて立派な御殿に行った。若者は女と情交を重ね、帰りに鮎をもらった。こんな日が続いたが、ある日女は若者を帰さなくなった。若者の身を案じた家族が探しに行くと、滝壺の中で大蛇に巻かれた若者を見つけた。一同は若者を救う術がないとあきらめて帰った。
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ヘビ,カニ 1976年 京都府 昔、綺田に美しい女がいた。ある時、村人が蟹を食べようと沢山取っていたのを、女は魚と交換して助けてやった。次の日、女の父が蛇が蟇を呑んでいるところを見つけ、蟇を逃がしたら娘をやると言った。蛇はすぐに蟇を放して去った。その夜、どこからか男が現れ、昼の約束の通り来たという。まだ娘に話していないというと去った。娘はそのことを聞いて仏前で読経をはじめた。蛇が現れ閨に入った。村人が戸を開いて中を見ると、女は無事で、蛇が数万の蟹に挟まれて死んでいた。村人はその所に寺を建立し蟹満寺と号した。
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イタチ,オンナノスガタ 1952年 一人の若者が使いの帰り薄暗くなってから、隠里の道を通ったが、急に喉が渇いた。するときれいな女が大盃に満たした水を持ってきた後、姿を消した。イタチが女に化けたという。
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