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怪異・妖怪伝承データベース
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検索対象事例

ヤマウバ,オオイケノヌシ
1984年 愛知県
福富新蔵という郷士が、岩の上で異形の大女が髪を振り乱し、月の光で鉄漿をつけているのを見た。矢を射掛けると手ごたえがあり、血をたどっていくと与八郎の家に着いてその妻が臥せっていた。しかし寝所にその姿はなく、血痕がありそれをたどって行くと美濃各務の広池の岸まで続いていた。ここで名を呼ぶと白い苧綛が流れ寄り、拾い上げてみると血に染まったそれは先に見た山姥の髪ほどの長さの白髪の束であった。このことから与八郎の妻は山姥でありこの大池の主であったと解釈され、白髪は持ち帰られて供養された。このことからこの池を苧がせ池と呼ぶようになった。与八郎と山姥の子である京丸は長じて母の正体を知り、山姥の化身であった母の供養の為に寺を建てて弔った。

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ヤマンバ
1995年 愛知県
楽田の本宮山で福富信蔵という男が狩をしていたら、光るものが見えた。山姥の目の玉が光っていたのだった。鉄砲で撃つと血を流して逃げていった。血の跡を追うと大きな釜屋に入ったので、変わったことはないかと訊くと、家内が具合が悪くて寝ているという。その家内が山姥であった。山姥は逃げて、岐阜のおがせの池に入ってしまった。その池では魚を取ってはいけない。話者が20歳くらいのころ、その池の魚を食べて赤痢で死んだものがいたという。
類似事例

リュウジョ,ヤマンバ,ダイジャ
1995年 愛知県
各務原市の広沼には竜女が住み、妙齢の乙女になって里に出たり、山に入って山姥になったり、谷に出て大蛇になったりして、人や家畜を害して困らせていた。山で福富信蔵に矢傷を負わされて反省し、大安寺笑堂禅寺の済度を受けて白髪を剃り、八木山に登った。その白髪が苧に似ていたので、広沼を苧ヶ瀬池というようになった。
類似事例

イケノヌシ,ダイジャ
1984年 新潟県
長福寺のおとわという下女が奥山に蕗を採りに行き、腰巻を汚す。それを洗っていると、池の主が現れ、池で腰巻を洗った者は自分の女房になる掟だから3日後に迎えにいくという。おとわは床についてしまうが、主の大蛇がやってきて、おとわを渡さなければ大水を出すといい、とうとう池の主に嫁ぐ。数日後に池の中央に浮島ができており、それはおとわが池に住み着いたしるしだといってその池を「おとわ池」とよぶようになり、旧6月23日はおとわが嫁いだ日だといって、村人は池に供物をする。
類似事例

ジャタイサツキヒメ
1961年 山梨県
南朝の落武者吉野某が落伸びて甲州河内領福士の奥に世を避けている間に村長の娘との間に生まれた女児をさつき姫といった。姫が17才の夏、征者2、3人をつけて村の上手にある池のほとりに出かけさせたが、娘が行方知れずになった。村中を探すが、知れず、多数の僧を招いて池畔で施餓鬼供養を営んだ。すると読経が終わらぬうちにどこからともなくさつき姫が現れ、自殺し先立つ不幸を母親に詫びて蛇体と化し、元の池へ姿を消した。すると雷鳴豪雨で山が崩れ池が氾濫し、蛇体さつき姫は福士川から富士川の彼方へ所在をくらました。
類似事例

リュウ
1932年 奈良県
ある美男子の許に、ある夜美しい女が尋ねてきた。2人は夫婦となり子も生まれたが、男は妻について、草履が濡れている事と、井戸で水鏡をしている事を不審に思っていた。ある時それを尋ねたら、妻は亀山の原の池に牡竜とともに住む牝竜の化身であり、池が井戸とつながっているのだと言い、池へ帰ってしまった。池を訪れ妻を呼ぶと牡竜が現れ男を食おうとした。逃げ帰ったが病に倒れ子とともに死んでしまった。
類似事例

サカサヤツハシノイケ
1956年 宮城県
元禄の頃(1688~1704),清水小路の連坊小路寄りに浅間某と言う大身の侍の屋敷があり,八ツ橋の池と言う小沼があった。浅間某はこの池の辺の離れ家に綾目という愛妾を住まわせ,彼女を大変愛していた。しかし本妻撫子は嫉みから情夫大橋某と共謀して綾目を殺害,池の泥深く埋めた上,主人には綾目が不義を犯し出奔したと讒訴した。その秋,浅間某が歌舞妓五月女を宴席に侍らせた。五月女が化粧をしていると鏡に自分ではなく姉綾目女の顔が映る。他人に見せても五月女の顔に違いないと言うので不思議に思っていると,その夜の夢に綾目女の霊が現れ,自分は殺されて池の底に埋められている,怨念を果たしてほしい,と話して消えた。この話を聞いた主人が池の底を浚わせたところ,愛妾の遺骸が出てきた。五月女が再び鏡に向かうと,杜鵑が一羽そこからとび出して西の方に飛び去った。また,池の水がそこに通ずる小溝を逆に西の方に流れるようになったので,これを逆川(サカサ)と呼ぶようになった。
類似事例

ダイジャ
1990年 鳥取県
日光地区は昔、大港だった。出雲の国造が勅命で上京の折は大洪水で困ったが、供の三女が海に入り水神の妻となると、沖から大波が来て港が閉まり、白砂の道が出来て国造は無事上京した。以後は数町歩の大池となり、竜神、魔物のすみかとなった。千年後、鹿野城主亀井武蔵守が日光池の干拓を行うと、雷鳴が轟き滝の如く雨が降り、海岸に大魚が打ち上げられた。これは池の大蛇に違いないという話になった。以後、武蔵守は体調が悪くなり、寝ていると枕元に美しい女官が立つ。占い師によると池の大蛇のなすわざという。そこで日光大明神の社を建立した。
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ダコツ
1973年 新潟県
越後の国頸城郡小丸山の辺にある柳が池に、本妻が供に命じて妾を沈めさせ殺した。その夜本妻とその時の伴の者が熱を出し、家の中を走り回った。加持祈祷をしたが、やがて取り殺された。その後も種々怪異の事があり家が絶えた。池でも夜、女の泣き声等があり、後に蛇身になった。数年後聖の教化で怪異は止み、後に池は荒れはてて、池の水も乾いて毒蛇の骨が出てきた。今は勝楽寺の宝物になっている。
類似事例

ウスギヌヤマノヨウカイ
1956年 宮城県
上沼村の東北部北上川の近くに薄衣山という岡があり、そこは村の墓地で人家はなく、老松が茂って昼も薄暗いような場所で、得体のしれない妖怪が出て人々を怯えさせていた。この山の南方の弥勒寺村(中田町)に、剣道の心得のある豪胆な米三という若者がおり、化け物退治を決意した。病臥している妻を理由に家人が引き止めるのも聞かずに出かけ、松の大木にのぼって見張っていると、使いの者が「妻が命を落とした」「出棺だ」と迎えに来た。米三はそれを怪しみ、もし本当だとしても、どんなことがあっても退治するまでは家に帰るまいと決心したので我慢して帰らなかった。暫くすると我が家の方向から弥勒寺の方へ妻の葬儀と思われる提灯の行列が見えた。妻の亡霊とおぼしき白いものが飛んできて、恨み言を言い足元に手をかけるばかりになったとき斬り払うとギャッという叫び声がして、ドドッと転がり落ちる響きがした。朝になって降りてみると夥しい血溜りがあり、血痕が北上川まで続いていた。家の妻は生きており、それ以後怪異はとまったという。
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カガミトタビビト
1956年 宮城県
家を離れて旅を続ける1人の旅人がいた。のどが渇いたので沢にいって水を飲もうとしたら、道端の笹のかげに小さな鏡が落ちていたので懐に入れておいた。いつの間にか日が暮れたのでそこで野宿していると、夜更けに「与右衛門さん、与右衛門さん」と自分の名を呼ぶ者がいる。「誰だ」と聞くと、「おはまでござりす」と言い、見ると磐城に残してきた妻だった。「あなたが旅に出てから泣き続け、子の与助も春にホオソ(疱瘡)で死んで張り合いもなくなり、あなたを追ってきました」と涙ながらに言う。旅人は悲しくなったが、ふと懐で触れたさっきの鏡を出すと女の腕が写り、それは毛むくじゃらだった。火を焚いて化けの皮をはがそうとすると女は火を嫌がり、饅頭をすすめた。旅人が半分に割いて女にすすめると女は腹を痛がり泣き出した。旅人はまだ馬鹿にする気かと棒で女をたたきつけようとすると狐は正体をあらわして逃げていった。いつの間にか明け方となり、旅人は「おはまやー、与助やー」と叫び、鏡を見ると、宵の明星がピカピカと輝いていた。
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(ノロイ)
1976年 山形県
羽州米沢北に百子沢という所に小池がある。昔、長者の家で非常に髪の長い女が働いていた。ある失敗をして、主人が打ち殺そうとしたところ、池に飛び込み、家族を亡き者にして、この場所を池に変えてやると言った。その言葉通り、長者の家は死に絶えて、池となった。
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メッコヌマノカイ
1956年 宮城県
沼のほとりに身を隠していた平氏の残党の従僕で茂右衛門という弓の名人が,沼に大魚が2尾泳いでいるのを見つけ,そのうちの1尾を射た。矢はその目を貫いていた。その夜彼の夢にもう片方の大鮒が現れ,「私達はこの沼の主の夫婦鮒だが今日夫があなたの矢で殺され,生き長らえる望みも無くなった。あなたの殺生が恨めしい」といって消えたので茂右衛門は後悔したが,翌朝未明ふらふらと沼のほとりに歩いていった。岸辺には2尺余りの雌鮒が片目を潰して死んでいた。数日後村の人が沼のほとりで片目を刺されて死んでいる茂右衛門を発見したが,その手には大きな片目の魚を握っていた。彼の目を刺したものはわからなかった。それ以後沼の鮒は皆片目となり,それを捕る者もいなくなった。その沼を「メッコ沼」というようになった。
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オカネウムムスメ
1956年 宮城県
昔、名鰭沼のふちに夫婦が住んでいた。子どもになかなか恵まれず、願かけて神に祈っていると、春の猫柳の芽がふくれる頃、嫁の腹が大きくなり、ついに女の子が生まれた。しかし片目片耳の子だったので、人目をさけてボロに包んで納屋においておいた。あるとき用事で、どうしても子を背負って町にいかなければならぬことになったので、慎重に包んで出ていった。町の用事がすんで帰るとき、石の上に子どもをおろして休んでいると、腰のまがった白髪の爺さんがきてボロをはがして子どもを見て「これはいい子だ。神様の授かりものだ。今にお金を生むから毎朝米一粒ずつつかませておけ」と言い残して消える。ためしに米一粒つかませるとお金を一つ産んだ。夫婦はしだいに金持ちになったが、慾の出た夫婦は「うんとつかませたらうんと生むだろう」と、ある日つかみきれないほど米をつかませると、子どもは死んでしまった。
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リュウ
1988年 奈良県
池に竜が住み村人を食ったので退治することになった。池の堤でかがり火を燃やして騒いだが、竜は現れない。そこに通りかかった武士が池に矢を射込んだ。竜は武士をつかんで天高く昇って行った。やがて雷光がして真赤な雨が降り、竜の体がズタズタに裂かれて落ちてきた。村人は竜の屍骸を埋めて竜象寺を作った。武士はとうとう現れなかった。春日明神の化身であったと言う。
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ダイジャ,アクリョウ,カンノン
1974年 東京都
姥ヶ池というところに一軒の家があり、姥とその娘が住んでいた。姥は旅人を泊めて殺しては衣裳をはいでいた。ある日浅草観音が笛を吹いて、旅人に危険を知らせ、旅人は助かった。また、浅草観音は姥が地獄に落ちるのを憐れんで、児の姿で姥を訪ね、姥は児と誤って娘を殺してしまった。その後母は池に身を投げて大蛇となったが、神にして祝ってその悪霊をなだめると守りの神となって、諸々の病をしりぞけるようになった。大蛇と化したが供養により守りの神となった。
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ヤシャガイケ,ダイジャ
2002年 滋賀県,岐阜県,福井県
越前の北の方に伝わる話。美濃国安八太夫の娘お里が身につけていた針の鉄分のため大蛇は病気になったのでお里は実家へ返される。これを聞いた越前の長者は越前側に水を流してもらいたいため娘を後妻として夜叉ケ池に嫁入りさせた。これを知ったお里は怒って夜叉ケ池で大喧嘩が起こったが、長者は男を雇ってお里を弓で射殺してしまった。
類似事例

ダイジャ
1988年 奈良県
お亀という美人の人妻がいた。毎夜草履が湿るので夫が尋ねると、亀山の池に遊びに行くのだという。お亀は子どもを残して池に行ってしまった。夫は困って池に行くと、お亀が現れて赤子に乳を飲ませ、もう来るなと言った。子どもが泣くので夫がまた池に行くと、今度は大蛇が大口を開けて追ってきた。その場所を大口と言う。男は家に戻るとすぐ死んだ。その池をおかめが池とも呼ぶ。
類似事例

タツオンナ,ヤマウバ
1984年 岐阜県
人々を苦しめていた龍女が与八郎の妻になるが、山姥の姿になっていたところを新蔵に射られ、済度を受けて成仏した。
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コウガサブロウデンセツ
1987年 長野県
竜宮で暮らしている間も,甲賀三郎は妻の事が頭から離れず,遂に竜宮の人々の制止を振り払って地上に帰ってきた。闇を抜けるとそこは浅間山の麓にある真楽寺の池であった。三郎は自分がながむし(蛇)の姿になっている事に気付いて嘆き,蓼科山の頂上に立ち,妻の名を大声で呼んだ。すると遠くのほうから妻が自分を呼ぶ声がする。三郎は竜の姿で空に飛び上がり,諏訪湖の真ん中へ飛び込んだ。実は妻も竜になって湖の底に暮らしていたのである。二人は何時までも抱き合っていた。
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カッパノヒデンセッコツヤク
1956年 岩手県
旧仙台領江刺郡の北上川畔二子町城下に住んでいた小田島大炊之助という侍の家で,夜厠に女中衆が入ると怪物が出て悪戯をする。主人が夜上厠してみても何事も起こらないので,女装して屈んでいるとやがて冷やりとしたこわばったものが触ってくる。大炊之助がそれを捉え,隠し持った短刀で斬り離すと怪物は叫び声を上げて逃げ去った。よく見るとそれは水掻きのある痩せた腕であった。それから三日目の夜,夢現の中で化生の者が大炊之助の枕上に現れた。跳ね起きて脇差を構えると,化生の者は平伏して「この河の鎧が渕に棲む河童だが,向後悪戯はせぬゆえ腕を返して賜れ」という。切り離した腕を返しても仕様があるまいというと,それには秘薬があるからというので,秘薬の処方と引き換えに腕を返した。河童は妙薬を取り出し,見事に腕を継ぎ合わせてみせた後,その処方を伝授し,帰っていった。手負いの者の治療に大変もてはやされたが,代替わりの後はさほどでもなくなった。
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